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第11章 試合経過 その2
「引き続き試合の様子をお楽しみください。第五試合、ペネローペ・桜城さんのペアと、弁天屋 菊さんのペアによる対戦です」
普段は男装(といっても服装の話で、見れば女性と一目瞭然なのだが)のペネローペだが、今日は気が楽なのか珍しく白と黒のゼブラ柄水着を着て準備体操中。パートナーのウサリーナはウサギがモチーフのぬる族だ。ほかの選手たちを相手にやたらと愛想を振りまいている。
「頑張ろう、ウサリーナ。優勝すればウサリーナの知名度が更にアップすることだろうし……そうなったら僕も嬉しい(にこ)」
「ペネローペちゃん、一緒に頑張るウサ☆ ウサリーナも優勝目指すウサ☆」
対戦相手の菊は元シャンバラ教導団の団員で、パートナーのガガ・ギギはドラゴニュート。今大会もっとも攻撃的なチームといっていいだろう。
重そうな着ぐるみと裏腹に、ウサリーナが華麗に宙を舞う。ペネロ―ペは意外なパートナーの活躍に驚きを隠せない。そこで砂に足を取られて転んでしまうペネロ―ペ。気がつくと足下の砂がデコボコになっているではないか。ハッスルしていたウサリーナもやっぱり転ぶ。
一方の菊とガガは派手に飛び回ったりせず、文字通り地に足のついた試合運びを続けた。届きそうにない距離にあるボールでも、なぜか届くのだ。
勝敗はすぐに決した。ウサリーナは残念そうにペネロ―ペに抱きついている。
この試合を見ていたシー・イーは、菊・ガガチームの秘密に気がついた。あの身のこなしは、ドラゴニュートの武術を応用したものだ。
ドラゴニュートの武術には、体内のエネルギーを外部に放出する技法が含まれる。これによって身体の限界を超えた間合いを獲得できるのだ。この技法を応用すれば、気づかれぬうちに敵チームの足下を荒らしたり、本来なら届かないボールを打ち返したりすることもできよう。
「激闘でしたねぇ。では第六試合、チーム・うみうさぎ♪ 対ナナ・ノルデンさんのチームです」
うみうさぎ♪ の神楽坂 有栖はプリーツワンピース姿、ミルフィ・ガレットはと言えばリングホルターのワンピース水着。有栖はきゃっきゃとはしゃいでいるが、ミルフィは目が笑っていない。ここはパラ実の勢力圏、有栖に万が一のことがあっては困るのだ。
ナナ・ノルデンは白のビキニ、ズィーベン・ズューデンはスク水を着ているが、ズィーベンが錬金術的な防護を施したものなのだ、とナナは主張している。ナナはコートの後半、ズィーベンは前半を守るという布陣。
この対戦は序盤こそまともだったが、中盤から雲行きが怪しくなってきた。手の届かなかった有栖が隠し持っていたメイスでボールを打ち返し、それを見てズィーベンも火や電気をボールにまとわせる魔術スパイクで反撃しはじめたのだ。
何の競技だかわからなくなってきたころ、ボールが高く上がった。
「冥土戦技その壱! 梳駆流数羽射駆!(すくりゅーすぱいく)」
チャンスと見たナナが必殺のスパイクを打ちに行く。次の瞬間、にわかには信じがたい速度でミルフィが眼前まで飛んできた。空中戦はヴァルキリーの十八番、並の人間に勝ち目はない。
その後はミルフィがひとりで試合を進める形となった。
「この手の競技はヴァルキリーの独壇場なのでしょうか? さて次の試合ですが……」
コートに入っているのは剣の花嫁であるレティシア・トワイニングと、ドラゴニュートのシー・イーという異色コンビだった。レティシアのパートナーである高崎 悠司は大会本部に行ってしまったので、レティシアはひとりで美衣弛馬鈴に参加したのである。会場で似たような立場のシー・イーと出会い意気投合、チーム結成となった。
対戦相手は小鳥遊 美羽とベアトリーチェ・アイブリンガーのはずだが、姿を見せない。美羽は大会運営本部から不審な視線を感じ、試合を放り出して運営本部に向かっていたのだ。
しばらくしてレティシアとシー・イーの不戦勝が決まった。
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