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リアクション
【第6感チーム】
「次〜36番の【第6感チーム】さ〜ん、スタートしろやー!」
呼ばれて立ち上がったのは、犬神 疾風(いぬがみ・はやて)、水神 樹(みなかみ・いつき)、エミナイル・フランディア(えみないる・ふらんでぃあ)だ。
■第1問目■
「なぁ、ちょっと聞きたいんだが……誰も問題の解答が解らないって本当か?」
すでに扉をくぐっているのに疾風がそんな事を今さら言いだす。
「私はなんとなくなら……」
「わたくしはさっぱりよ!」
樹は遠慮がちに言い、エミナイルは何故か自信たっぷりに答える。
頭上をちょろちょろ飛んでいるコウモリは誰かに近づこうとすると樹がランスで追い払うというのを繰り返している。
「じゃあ、俺についてこい! 多分大丈夫だ! ここは右だぁ」
「あ、ここは――」
樹の制止する声が聞こえないのか一気に開けて、扉の奥へと消えて行った。
『ここで1人脱落どす』
『どうなったのか映してみまひょぅ〜』
■水も滴る良いコース■
「ん? 誰もついてこなかったのか? 水も滴る良いコース?」
部屋の垂れ幕に掛かっていた、文字を読み上げる。
突然、上から水が大量に降って来る。
「お仕置き部屋にようこそ〜! この部屋に来た始めてのお客さんだよ、嬉しいな!」
いきなり頭上から声が聞こえ疾風が上を仰ぐ。
「何してんだよ!」
「決まってるじゃん! お・仕・置・き」
キャットウォークから話しかけていたのは沙幸。
「って、これただの水じゃないのか!? なんだかネットリするんだが……」
「あ、それローション入りだもん」
「何ー!」
さらに沙幸の反対側のキャットウォークから水風船が飛んできて命中する。
「くっさ! アンモニア臭っ!!」
黒子の姿をした健勝が無言でガンガン投げつける。
「そろそろ、バトンタッチだね! あとは宜しく〜」
沙幸が疾風の前方を指差すと奥にライトが当たり、燕尾服に仮面の2人が浮かび上がる。
「ようこそ、魅惑の水滴(みずした)コースへ!」
「……だ、そうです」
セルファがノリノリで、真人がちょっとうんざりした感じで言葉を発する。
「誰だ!?」
仮面のおかげで疾風には正体がばれていないらしい。
「ふふ、やーっておしまい!」
「えっと、ポチっとな……でしたっけ?」
軽くジャケットプレイをしながらセルファが真人に指示を出す。
ボタンを押す音がすると、疾風の足元が真人達に向かって動き出す。
「おわわわっ! なんじゃこりゃー!!」
「さあ、こっちの落とし穴に、いらっしゃ〜い」
セルファが手招きをしている。
その足元には確かに黒い穴がぽっかりと口を開け、疾風が来るのを待っている。
「うおお! そんな怪しげな穴に落ちてたまるかぁ!!」
叫びながら一所懸命に走る、走る。
しかし、さっきのローションのせいで滑る、こける。
「い、嫌だー!」
「うんうん、お仕置きは楽しいよね!」
沙幸は楽しそうに上から疾風の様子を見ている。
「あ、少し後ろに下がったね。私も――へっ!?」
あっという間にキャットウォークから転落をし、必死の形相の疾風の上へと落ちる。
「ふぎゅっ」
「ぎゃー!! 重いー!」
こうしてあえなく、落とし穴へと吸い込まれた2人だった。
「無様な姿が楽しかった〜!」
「いや、同じお仕置き部屋の沙幸君も落ちて行ってしまったんだが……」
「それも、良し!」
「はぁ〜」
吸い込まれた2人がどうなったかというと、出口の近くに設置された池へと飛びだしていたのだった。
■第2問目、第3問目■
なんとかエミナイルの勘で切りぬけ、無事クリアしている。
「ふっ……私の背中、エミナイルに預けるわ!」
「当然よ! わたくしの背も預けているんですから」
パラミタオオカミとの戦闘も、以前戦ったことのある樹が余裕で打ち倒した。
■第4問目■
エミナイルが火術でコウモリを狙い、樹が蛮族にランスで攻撃を仕掛ける。
ここでも、前に蛮族を相手したことのある樹が動きを読む。
的確にランスで突いていく。
悠々と勝利をつかみ、問題文をじっくりと見るがやはり解らない。
「きっと、こっちよ!」
エミナイルが指で示したのは右だった。
「あなたの勘を信じるわ」
そして2人で扉を開けたのだった。
■開拓コース■
扉を開けるとそこは真っ暗闇の部屋。
さっきまでと明らかに雰囲気が違う。
パッと明りが付き、2人は目を細める。
天井から下がっている垂れ幕には『開拓コース』と書かれている。
「?」
「どんなコースなのか、さっぱり分からない」
エミナイルが首を捻り、樹が呟く。
「へっへ、どちらも美人じゃねぇか」
チェーンソーの音と、竜司の声が前方から聞こえてくる。
「オレの女になるっていうなら……お仕置きは勘弁してやるぜぇ?」
「良い年してそんな格好している人の女になるだなんて虫唾が走るわ」
「同感だ」
エミナイルと樹が言葉で一刀両断にする。
「うおりゃー!」
青筋立てた竜司がチェーンソーを振り下ろす。
はらはらはらり……。
下着以外の服が切られ、下へと落ちる。
「っ!!」
「何をする!!」
「次はこちらのお仕置きです。これに着替えて下さい」
後ろのつい立から出てきたのはタキシードを着た月夜。
更にその後ろから何か服を持って現れたのはゴスロリ服を身にまとった刀真だった。
気が付くと竜司は部屋の隅に行き、蹲っていた。
なんともどんよりした感じで、さっきの言葉がかなりのダメージを与えたことを物語っている。
ゴスロリ服を着ていた刀真にビックリしていたら、いつの間にかタキシードを着せられていた2人。
「なんなの!?」
「一体何をさせるつもりなんですか」
刀真が慌てている樹達に次のお仕置きの説明を始める。
「この姿見の前に立って下さい。そしてこのセリフを」
2人の前にはそれぞれ姿見が用意され、月夜がセリフの書かれた看板を持っている。
「う……ルールなら仕方ない」
「……そうね」
諦め、姿見をキッと見つめる。
「きょ、今日も凛々しいね、樹、その姿にときめいてしまったよ。あなたを見ていたら今日も一日頑張れそうだ」
まず樹がセリフを読み終える。
「今日モ凛々シイワネ、えみないる、ソノ姿ニトキメイテシマッタワ。君ヲ見テイタラ今日モ一日頑張レソウダワ」
なんとも棒読みな感じでエミナイルの方も読み終える。
「そこで、自らに口づけを」
月夜の指示に赤面しながら柔らかそうな唇を鏡を押し当てる。
「では、あちらに進んで下さい」
着替える物もないので、そのままの姿で刀真の指した方へと歩いていく。
なんだか狭い道になり、照明も暗くなる。
突然、ぬっと壁からマジックハンドが出て来て、2人の体をくすぐっていく。
四方八方から伸びて来て、逃げられない。
「おしおきだべぇ〜」
壁の向こうから留美の声が響いてくる。
「女の子2人を弄べるなんて楽しすぎるのですわ〜」
「ホントにしょうもない奴じゃのう……まあ、わしも楽しいが」
留美とラムールのマジックハンドが際どいところをくすぐっていく。
『なかなか良い見世物どしたなぁ〜』
こうして笑い声がこの部屋とダンジョンの外に響き渡ったのだった。
【ホイップちゃんを救う会】
「58番の〜【ホイップちゃんを救う会】の皆さ〜ん、出番だオラ!」
「賞金800Gは欲しいかー!」
「欲しいー!」
「お仕置き部屋は怖くないかー!」
「怖くないー!」
すっくと立ち上がった波音が叫ぶ。
それに合わせて、チームが立ちあがっていく。
■第1問目〜第4問目■
最初に役割分担、それから注意点を上げていたので無駄なくクリアしていく。
勿論、ダンジョン内の壁を壊す事もなく、モンスターにも極力被害を出さないように倒していた。
「ちゃんと……はふはふ、もごもご……わらわのアドバイスを実行しておるようだな、ごっくん」
カナタはタコ焼きを頬張りながらスクリーンを見つめる。
「エルの野郎も真面目に戦ってるじゃねぇか。おっ、このイカ焼きうまいな。あとでご主人にも買っておこう」
隣に居るベアはイカ焼きを食べていた。
「そんなに美味しいんですか? そのイカ焼き。あとで私も買ってシルバと食べようかな」
「このタコ焼きもなかなか美味だぞ」
かき氷を口に運んでいた夏希にカナタが勧める。
■最終問題■
「また知った顔がいるな! あの時のアシッドミストは今も忘れないぜぇ! ヒャッハーヒャッハーヒャハヒャッハー!!」
蛮族の長がコマネチをして自らを鼓舞する。
その間にエルがチームみんなにディフェンスシフトを使用する。
「仮にも蛮族の長だからね、皆容赦なくやっちゃっても大丈夫そうだよ」
エルが早速、前へと出て盾役となる。
棍棒の攻撃をエルがガードし、そこへシルバがカルスノウトで背中を切りつける。
「やるね、シルバ!」
「そっちこそ」
後ろではケイが氷術の詠唱に入っている。
その横ではソアが雷術の準備をしている。
「ヒールが必要ならこっちに来てね」
和子は部屋の入り口近くの隅で体育座りをしながら邪魔にならないようにしている。
シルバが長から放たれるカウンターをかわす。
しかし、よろめき地面に尻をつく。
「くっ」
長が力を溜め渾身の一撃を入れる体制を作っている。
その瞬間を逃さず、ソアが雷術を放ち長を攻撃を止める。
ケイも痺れている長へ向かって氷術を足元へと打ち、動きを封じる。
それでも振り下ろされる棍棒の攻撃。
シルバに当たる刹那、エルが飛びだし庇う。
「ふぬぅ〜っ!!」
助けられたシルバが痛さで顔を歪めているエルを抱きかかえ、急いで和子の元へと走る。
足元の氷を棍棒で崩し動こうとする長をソアと波音の2人がかりで氷漬けとする。
もう攻撃は仕掛けてこない。
「エルさん、大丈夫ですか!?」
「死んでるか!? エル!」
「うぅ……お亡くなりに……」
嘘泣きの小技入り。
「ソアちゃんは真面目に心配してくれているのに、ケイと波音ちゃんのは酷くないか!?」
ヒールを掛けてもらっているエルが抗議をする。
それにケイと波音は頭をどつくという返事をした。
「大した事ないから直ぐ終わるよ!」
「良かった〜」
和子の言葉に庇ってもらったシルバが心底ほっとしている。
こうして、無事にこの部屋もクリアとなり、出口まで一直線に向かう事となったのだった。
出口の外ではお留守番していた3人が屋台の料理を色々抱えて待っていた。
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