リアクション
キアリの変化
その後の話。
キアリの表情に、明らかな変化が出てきた。
以前とは違い、明るく、みんなと打ち解けようとしている。
今回の一件でみんなとの行動したからだろうか?
これまでのように、ルズだけに心を向けるのではなく、みんなと仲良くしていく気持ちが、手に取るようにわかる。
もちろん、今でもそばにはルズがいる。彼はキアリのパートナーであることに変わりはないのだ。
だが、今までのような「ルズ依存症」ではなくなっている。
ウィング・ヴォルフリートは、元気になったキアリにこう助言した。
「いっそのことキアリがミリルとも契約を結んで3人でいればいいじゃないか。キアリも同性の友達ができたことだしさ」
「それも、いいかもね!」
さらりと受け流すキアリの応酬も、自然体になってきた。
七尾 蒼也も、キアリを力強くサポートすると宣言した。
「俺たちは日本での生活を捨ててきたんだろうか? 家族や友達、どんなに離れていても大切な人はいる。それはパートナーにとっても同じことじゃないかな? うるさく言っちまったが、俺でよかったらイルミンの先輩としていつでも話を聞くぜ、キアリ」
「ありがとう。なにかあったら蒼也に相談するね」
エル・ウィンドは、ある日キアリを誘って、誓いの湖まで出かけた。
そこで彼は指輪を渡しながらキアリにプロポーズを敢行! 泉で愛を誓いたいという慣習にのっとった告白だ。
しかし、キアリは「お友達ならね」とニッコリかわされる。その後腐れのない様子を見て、エル・ウィンドも、気を悪くすることはなかった。
一方、マナ・ファクトリは、キアリに思い出話っぽく語っていた。
「キアリ、私、ルズとミリルの再会を見たときに、提案しようと思ってたことがあるの。
もし、ルズがミリルのもとに行ってしまうのなら、ミリルに携帯電話を持たせたらどうかしらって。
そうすれば、いつでもルズの声がいつでも聞けるじゃない!
でも、その必要はないみたいね。今でもちゃんとキアリのそばにはルズがいてくれるし」
「うん、でも、もしルズがミリルのところに行ってしまっても、受け入れるつもりでいたわ」
感動の再会を見たキアリは、かつての独占欲から解放されて、寛大な気持ちに包まれているようだ。
「そういえば、ベア・・・・・・魚助けられたかな?」
しばらく戻ってこないパートナーをふと気づかうマナ・ファクトリだった。
「ええっ! まだ戻ってなかったの!?」
驚きあきれる一同であった。
こんにちは。マスターのヴァイオリン弾きです。
今回のリアクション小説は、PCのみなさんのアクションによって、全く結果が変わりうる、いわゆるマルチエンディングの要素を持った話でした。
幸い、みなさんは3人のNPCが幸せになることを望まれており、ハッピーエンドを迎えることができました。
食欲の秋ですが「木の実」の食べすぎには、ご注意ください。