波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

【借金返済への道】夢見る返済者

リアクション公開中!

【借金返済への道】夢見る返済者

リアクション



■□■□■□■□■


 聞き込みをする為、6人が薬屋へと到着した。
 扉を開くとおやじさんが直ぐにいらっしゃいと声を掛ける。
 店の中はちょうど客もいない。
「おやじ……すまんが聞きたい事がある。4日前、ホイップを訪ねなかったか?」
「う……」
 ソウガ・エイル(そうが・えいる)が無表情でおやじに迫っていく。
 きつい目で睨まれたのでおやじは言葉に詰まっている。
「ソウガ、それじゃあ怖いよ?」
 後ろに付き従っていたアリア・エイル(ありあ・えいる)がソウガの腕を取り、止める。
「む? そうか……すまん」
 そういうと、少し下がる。
「アイスタイガーの件以来だな、おやじ」
「ああ、そう……だったかな」
 今度はブレイズ・カーマイクル(ぶれいず・かーまいくる)が迫っていく。
「4日前、宿屋にいるホイップを訪ねたな? 何の用件だったのか詳しく話してくれ」
 威圧的な態度でおやじは、たじたじになっていた。
「あ、ああ。訪ねたよ……」
「それは何故?」
 しどろもどろになっているのを神和 綺人(かんなぎ・あやと)が優しく尋ねる。
「仕事を探す手段がネットにもあると言いに言ったんだよ。それと新しい薬も入荷したし……それに……」
「それに?」
 ソウガがまた無表情で聞く。
「ほ、ホイップちゃんの顔を見に行ったんだ。って、一体全体なんなんだ? 何かあったのか?」
「実はですね……」
 ちょっと神妙な顔つきで高潮 津波(たかしお・つなみ)がホイップの状況を説明した。
「そんなことが……」
 ビックリして固まっている。
「で、だ。まだ質問がある。ホイップと会った時、何か普段と違ったりしていなかったか?」
 ブレイズは鋭い眼光で詰め寄る。
「私は何も関係がない!」
「待て、別に犯人だとか、おやじが関わっていると言っているのではない。我々はホイップを目覚めさせるために行動している。だから知っている事を全てきりきり吐いて欲しい」
「……ホイップちゃんは何かそわそわしていたようだ。それ以外は普通だったよ」
「そうなんですか」
 アリアが相槌を打つ。
「それでは、何故そわそわしていたんですか?」
 続いて津波が質問をする。
「ああ、ホイップちゃんが時間を気にしていたんで、どうしたのか尋ねたら、このあと来客があると言っていたからそれじゃないかな。誰が何のために来るのかは知らないけれど……ああ、でもきっとタノベさんが行ったんじゃないかな。私が帰って来て、店を開けるとタノベさんが何か新しい情報は無いか聞きに来ていたんだけど、今度ホイップに仕事を依頼するって言っていたから。仕事内容は企業秘密だと言って教えてはくれなかったが……」
「タノベさん……か」
 話を聞いてソウガがこぼす。
 皆が同じ事を思っていた。
「では、新しい薬と言っていましたが『夢見放題』と言うのではないですか?」
 津波が聞くと、ブレイズが携帯を開き画像を見せる。
「さあ? こんな薬知らないなぁ……。新しい薬は……ほら、これだよ」
 カウンターの中から取り出したのはホイップの部屋にあったお香だった。
「これ! ホイップさんの部屋にもあったのですわ! もしかして、ホイップさんが購入されたんですの?」
 津波の後ろに居たナトレア・アトレア(なとれあ・あとれあ)が飛び付く。
「いや買ってはいないよ。ああ、それとこれはタノベさんのところから卸してもたったばかりなんだ」
「またタノベさんですわ……」
 ナトレアが声に出す。
 質問する事はしたと判断し、お礼を皆で言ってから外へと出る。
 外へと出ると直ぐにブレイズが携帯でケイへと電話を、ソウガはメールでも情報をまとめて送っておく。
「このまま待機だそうだ」
 電話を切るとブレイズが告げた。

「薬屋のおやじは色々と知っていたな」
「そうですね」
 情報をまとめながらケイと刀真が顔を見合わせた。
「薬屋のおやじ?」
 遙遠が聞き返す。
「ああ、薬屋のおやじはアイスタイガーの件からホイップに仕事を紹介したりしている人だ。元々、ホイップはその薬屋の常連らしい」
「アイスタイガー? あまり聞いたことありませんね」
 ケイの話に遙遠が食い付く。
「とても大きくて綺麗な虎さんです。アイスタイガーさんの居た洞窟の氷はキラキラしていて凄く綺麗だったんですよ。でも、眠っていたのを起こしてしまい、大変だったんです。希少生物とかで倒してはいけませんでしたし……。凍らされちゃった人も居たんです」
 ヴァーナーが説明をする。
「凍らされちゃったんですか? それはまた凄い……」
「はい。でもみんなで頑張って再び眠ってもらったんですよ。それに草原にいた蛮族さん達も更生して今は真面目に働いているんです」
 にこにこしながら話したのだった。

 ギルベルトは心配そうにいちるの顔を見つめ、頬へと手を触れようとした。
「何をしようとしているのですか? ギルベルト」
 その瞬間、ソプラノから警戒の声を掛けられる。
「べ、別に俺は心配で触れていたいとは……」
「悪戯しようとしたのでございますか?」
 ソプラノの表情がより警戒を増す。
「う……そ、そうだ! こいつがまだ起きぬのでな!」
「まったく……本当にギルベルトはどうしようもないですね」
「何!?」
「マスターにご報告させて頂きます」
「勝手にしろ!」
 ギルベルトは拗ねて一度部屋を出て行ったのだったてしまった。