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【学校紹介】空京大学へ行こう!

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【学校紹介】空京大学へ行こう!

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 6.御神楽講堂前

 
 ご存じ、空大最大の出資者――御神楽環菜を記念してたてられた大講堂。
 円形に白い色調の建築物は涼しげで、真夏の最中、ひときわ大学構内では目を引くようだ。
 講堂の周囲には大きな広場があり、本日はその中央に屋根つきの立派な野外ステージが設けられている。
 
 ジリリリリ……ッ。
 
 場内にベルが鳴り響く。
 さあ、開幕です――。
 
 ■
 
「見学者」の1人――メルティナ・伊達(めるてぃな・だて)は、パートナー屍枕 椿姫(しまくら・つばき)と共にサークルの宣伝を聞いていた。
 もっとも、椿姫はメモ書きに専念している。
(おバカなメルティナに、小難しい専門的な話は無理でしょうからね。私が代わりにちゃんと聞いておかなければ!)
 という理由だが、一抹の心配がない訳でもない。
(これでメルティナ自身にも、何か目標が出来てくれればよいのだけれど……)
 椿姫の心配をよそに、メルティナには早新たな知り合いが増えたようだった。
「キミも、サークルの宣伝聞きに来たの?」
「はい、気になるサークルがないかな? って」
 答えたのは、火村 加夜(ひむら・かや)だ。
「そのついでに御神楽講堂も、てことなんですけどね」
「俺は、ちょっと違ってさ……」
 口を濁したのは、桐島 匠(きりしま・たくみ)
「パートナーが……その、体調を崩しちまって。土産話にでもならないか? と思って」
「蒼空学園だしねえ」
 メルティナはステージから御神楽講堂へと目を向ける。
「あれも、いいと思うよ。携帯電話の画像にでも取ってあげたら? きっと喜ぶと思うけど」
「そうかい? い、いや、そうかもな! ありがとよ……て、えーと、あんたの名前は……」
「メルティナ・伊達。メルティナでいーよ! それにしてもよほど大事なパートナーなんだな」
「パートナーと言えばですね……」
 声を潜めて、加夜は眼鏡の縁をつまんで持ち上げる。
「私のパートナーを見かけませんでしたか? 『鶏』がどーのこ―のと言って、いなくなっちゃったんですが……」

 ■
 
 その頃――。
 
 加夜のパートナー・ノア・サフィルス(のあ・さふぃるす)は、講堂近くの公道で王大鋸に保護されていた。
「えーん、ボクのニワトリぃ〜」
 大鋸の頭を指さして駄々をこねる。
「お? 鶏、て、こいつのことか?」
 と大鋸、モヒカンに半信半疑で手を当てる。
「そう、加夜の好きなニワトリだよ!」
「加夜? だれだそいつぁ?」
「ボクの契約者だよ! それより、ニワトリさん、こーどーってどこにあるの?」
 つんつん。
 輝く瞳で、ノアは大鋸を見上げる。
(困ったぜぇ、こいつお子様じゃねえか!)
 名目上とはいえ、曲がりなりにも委員長であるからには大鋸は忙しい。
 けれど子供に弱いのも彼が彼たるゆえんなのだ。
「じゃ、送ってやるから。それでいいか? じょーちゃんよぉ」
「うん!」
 ノアは無邪気に頷く。
 
 こうして、ノアと大鋸は取りあえず顔見知りにはなったようだ。
 
 ■
 
 一方、サークル宣伝をきゃいきゃい言いつつ総て聞いたメルティナ達は、1番まとも(?)なサークル宣伝をした【推理研・空大支部】に興味を持ったそうな。
 空大での、今後の活躍をお祈り致します。

 ■
 
 さて――。
 サークル宣伝がステージの上でばかりあるとは限らない。
 中には「蛇の道は蛇!」とばかりに、変化球で勝負してくるサークルの存在もある。
 
 そのうちのひとつ、【のぞき部】の椿 薫(つばき・かおる)は、広場の入り口で入部希望者を待ち続けていた。
 だが、待てど暮らせど希望者達は来ない。
「おかしいでござる! このタテカンのどこが面白くないでござるか?」
 小脇にかかえた立て看板の文言を覗き込む。
 
『言わずと知れたパラミタNO.1の活気を持った部。
 MC、LCからNPCまで幅広くのぞきます。
 初心者にも先輩部員がやさしく指導します
 
 本日は『かるく実戦にいくでござる!』
 
 各協力者主催の催しをのぞくでござるよ。
 入部希望者は御神楽講堂前の広場まで、いざ参られよ!』
 
「これほど明瞭なサークル紹介はないでござるはずだが……」
 薫は小首を傾げるが、そーゆー問題ではないような。
「やはり、正攻法でステージで宣伝! の方が効果的でござったか!」
 ……その通りです。
「仕方がない! ここは、1人ででも『実践決行』にござる」
 シュタタタッ!
 薫は風の如く催し会場の控室を渡り歩く。
 
 きゃあああああああああああああああああああああーっ!
 
 彼が過ぎ去る所、女の子達の悲鳴が。
 ついで、雨あられの如く罵声と物が投げつけられてゆく。
「新入生の皆様、次はプールや、海で待ってるでござるよ!!」
 ニンニンニンニン!! と、ときの声を上げて、薫は去って行くのであった。
 
 今後ののぞき部の活躍に、こう御期待!
 
 ■
 
 さて、ステージでは観客達が見守る中、次々と注目株の団体が宣伝のためのアピールを続けていた。
 
 ■
 
 場内アナウンスが入る。
 
 喝采と共に幕が上がり、「冒険屋ギルド」の説明会となった。
 マイク片手に中央で説明を行うのは、ノア・セイブレム(のあ・せいぶれむ)
 傍らに、映像担当の機晶姫――メティス・ボルト(めてぃす・ぼると)が控えている。
「では、私、ギルドマスターのノア・セイブレムがご説明致します♪」
 にっこりとアイドルスマイル。
「まずは概要ですね!」
 
 ザッと概要を説明する。
 
 【冒険屋ギルド】
 ・冒険者の社会的地位確立の為に作られた、職業としての冒険者−冒険屋の相互補助組織。
  パラミタで一番大きな営利団体です。
 ・7月17日現在の登録人数54名。
 ・本拠地は空京。
 ・活動としては、学校を卒業後個人として仕事をこなす契約者も多いので、そのサポートを行います。
 ・その他の特徴としては、組織としての上下関係がないことですね。
  横の連携のみという形です……。

「次に、実際の活動の報告ですが……」
 ノアは相棒をちら見する。
「百聞は一見に如かず、と申します。メティス、映像をお願いね!」
「了解です! ノア」
 メティスが優雅に片手を掲げると、メモリープロジェクターが展開される。
 空一面に、全ての人々が笑っている映像が映し出された。
「これは皆さんが生きる世界で起こった現実です」
 ノアの説明と共に、映像は変わる。
 美しき水の都――ヴァイシャリー。
 パラ実生数千人が押し寄せてくる。
 撃退するレン・オズワルド(れん・おずわるど)をはじめとする「冒険屋」の面々。
 ヴァイシャリーの人々に、再び溢れんばかりの笑顔が戻って行く――。
「これこそが、創設者レンが冒険者として求めた報酬です」
 
 おお!
 
 観客の数こそ少なかったが。
 学生達の間から、感嘆の声が上がる。

 レンは満足そうにステージ下から眺め、傍らのアクリトに助言した。
「冒険屋の依頼窓口を考える気はないのか? アクリト・シーカー学長」
「…………」
 アクリトは腕組みして、考え込む。
 彼の頭の中では、高度な計算がなされている様だ。
「エリート揃いの大学でも、実戦経験が無いのでは社会では軽んじられてしまう。
 その不安を解消する為にも、『冒険屋ギルド』の存在は意義深いものだと思うが……」
「君達イルミンスール生に助言されるまでもない」
 所詮は東シャンバラ側に立つ学生達の集団――アクリトの口調はどこまでも冷たい。
 だが、と続ける。
「我が校やシャンバラ全体の利に叶うというのであれば、一考の価値はあるかもしれんな。
 それにはまず、我が校での実績を作ることだ。揺るぎのない信頼関係を築くこと――まずはそこが肝要であろう」

 ■
 
 しかし、アクリトの口調が冷たかったのは、それだけのことであろうか?
 いいえ、実はステージ下の歓声には裏があって。
 彼らが説明会をはじめたちょうどその頃、ノアが所属する「秋葉原四十八星華」の同僚・カロル・ネイ(かろる・ねい)が営業活動をはじめたからであった。
「一応、あたし【空大アイドル】なのよね! ファンのためにも活動頑張んなくっちゃ!」
 という訳で、
 
 ・握手券
 ・頭なでなで券
 ・ハグハグ券

 の3種をブロマイドに付けて、地道に営業活動に精を出していたのであった。
「え? ハグハグ券……使いたいの? もう、キミッたら!」
 ビキニアーマー風な衣装のまま、きゅーっと、抱きしめてファンサービス!
 
 ……どうやら、「歓声」や「どよめき」の正体はこれだったようだ。
 これからも営業活動頑張って下さいね♪
 アイドル、万歳!
 
 ■
 
 2番手の如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は、【おっぱい党】の政党説明会を開いた。
 が、宣伝が薄かったのだろうか?
 観客の数は少ない。
 そもそもここは、会社説明会かサークル説明会の場ではなかったのだろうか?
「【おっぱい党】は立派な空大認可の【政党サークル】です!」
 ……失礼致しました。
 という訳で、正悟は情熱のままにマニュフェストを告げるのだった。
「たっゆんも、ぺったんこも、ちっぱいも、みんなそれぞれ夢の詰まったオッパイ。
 そんなオッパイはすべて正義です! 幸せを手に揉みしだく権利はあります。
 さあ、皆さん、是非ともオッパイ党に参加を!」
「我がおっぱい党はパラミタ第一政党を目指して、只今人員増員中です!」
「この機会に、是非我々と共に、クリーン(?)な政治家としての道を歩みませんか?」
 
 し――ん。
 
 聴衆は静まり返っている。
 党としての実績を聞かせた方が、ピンと来るのかもしれない。
「という訳で。ここは盛り上げるためにも、実力行使と行きますかな?」
「え? ええ!? ちょっと、タンマ! ラスティ」
 抗議の声もむなしく、女装した椎堂 紗月(しどう・さつき)は党員のラスティ・フィリクス(らすてぃ・ふぃりくす)に壇上に祭り上げられる。
「おっぱいの素晴らしさを身を持って証明するのです!
 さ、私に胸を揉みしだかれるのだ、サキちゃん!
 むろん、お客様にも!」
「て、じょーだんじゃねえや!」
 バキバキバキッ!
 たとえパートナーであろうと、紗月は容赦しない。
 ラスティはわきわきと両手を動かしたまま、お空の星となってしまいました。
 残念!
 
「うーん、我が党の党員補充にはつながらなかったか。ヒッジョーに残念だね……」
 正悟は端正な面に苦悩の表情を浮かべつつ、ステージを去るのであった。
 ともあれ。
【おっぱい党】は空大に足がかりを築いたのであった。
 3名共、パラミタ第一政党を目指して頑張って下さい。
 
 ■
 
 ステージは、イベント系サークル「アルティメットフリー」の宣伝に移って行った。
 
 ■
 
 宣伝を見にきたクロト・ブラックウイング(くろと・ぶらっくういんぐ)原 萌生(はら・もえにいきる)は、小声で講堂の評価で盛り上がり意気投合したところだった。
「いやいや、別にサークル宣伝なんぞに興味はなかったのだが……」
「俺もですよ。御神楽環菜の講堂とは、一体どんなものか。それだけが目当て立ち寄ってみたのですが」
 もっと奇抜なものかと思っていましたが、まあ、こんなところでしょう。
 存外まともだな――というのが、2名の一致した見解だ。
「しかしだな。それだけだと、やはり飽きてしまうだろう……」
 萌生がふわあと欠伸をしたところ、ステージが暗くなる。
「ん? 何だ何だ?! メイン・イベントか?」
 イベント系サークルだけに、と思う。
 だがスポットライトを浴びてステージの中央に現れたのは、変熊 仮面(へんくま・かめん)だ。
 
 きゃあ――あ!
 
 女の子達からの悲鳴が上がる。
 仮面のいでたちは、ヘルメットとタオルで顔を隠し、全裸に薔薇学マント、という姿なのだ。
 だが、彼女達の反応に一向に動じない仮面は。
「食堂の屋根の上から、8匹の猫を従え、はるばるステージまでデモ行進してきてやったぞ!」
 プラカードで、自分の主張を掲げる。
「カレー値上げはんたーい!」
「学食の乙カレー値上げ反対!」
「280Gは高いぞー!」
 猫達もにゃにゃにゃ〜と追従。
 福祉学科の「監視役」達が引きづり下ろそうと格闘するも、猫達に阻まれて、ステージ上にすら上がれない。
 仮面の行動は次第にエスカレートして行く。
「さ、キミも、貴様も! 俺の主張に賛同してくれないか?」
 ゲバ棒とヘルメットを押し付ける。
 魔の手は、萌生達にも及ぶ。
 げっ、という顔つきの萌生に無理やり渡す仮面の非道に、情に厚いクロトの堪忍袋の緒が切れた。
「我が友に、何ということをするのだ!」
 スマッシュパンチッ! 
 ついをつかれて、仮面は吹っ飛ぶ。
 と、そこに、如何にも気の弱そうな女の子が。
「おお! キミこそ、俺のヴィーナス! ささ、一緒に戦おうではないか!」 
 だが、その女の子は華のように笑うと。
「はい! 変熊さんのためなら、どこまでもおともしまーす!」
 女の子――七瀬 歩(ななせ・あゆむ)はニッコリと言って、仮面の手を取るのだった。
「でも、その前に。学食に『乙カレー』でも食べに行こうよ?」
「……は?」
「見学ばかりであきちゃったんだもん!
 それに百合園の女の子は皆お金持ちなんですよー。
 だからもう、カレーの値上げに変熊さんが怒る必要もないですよね?」
「…………」
 いつの時代も、野獣は美女に弱いらしい。
 かくして、変熊は無邪気な女の子に毒気を抜かれ、学食へと連行されていくのであった。
「あいつは、一体なんだったんだ?」
「さあー……」
 彼らの姿を、萌生とクロトと「監視役」達があっけにとられて眺めている。
 萌生がぼそっと呟いた。
「ま、この暑さだ。色々な奴がいても仕方がない」

 ■
 
 ステージはしばらく混乱をきたしたが、間もなく正常化する。
 アナウンスが入って、次は【推理研・空大支部サークル】の宣伝に移ることとなった。
 
 ■
 
「じゃ、次は私達、【推理研・空大支部サークル】の番ね!」
 明るく快活そうな美少女・ブリジット・パウエル(ぶりじっと・ぱうえる)の登場に、観衆達は癒されたようだ。
「でも、ブリジットで癒されるのは、サークルの説明を聞き終わるまでの間よね?」
 橘 舞(たちばな・まい)はパートナーをステージ下から眺めて、溜め息を吐く。
「何しろ、彼女の『めい推理』ぶりは、もうパラミタ中に広がっちゃっているって。私思うんだけどなあ……」
 ぶつぶつぶつ、小声でつぶやく。
 取りあえずは数少ない観衆達のために、宣伝後に振舞うお茶の用意をする舞なのであった。
「当サークルにご興味を持って下さり、まずは礼を言うわ!」
 えっへん、とステージ上のブリジットはマイク片手に軽く御挨拶。
「当サークルの要は、1にも2にも、私、ブリジット・パウエルの名推理につきるわ!」
「『めい推理』なんだけどね……」
 舞がさり気なくツッコミ。
「じゃ、パラミタを揺るがす数々の難事件を、冴えた推理でカキーンと解決に導いてきた
 私の名推理と推理研の輝かしい歴史を紹介するわよ!」
「だから、『めい推理』なんだけどね……」
 ぼそっとツッコミ。
「大きいものだと、
 墨死館の猟奇殺人事件とか、
 リトルブレーメンの蝋人形事件とか……
 最近だと空大キャンパスで起きた殺人事件もそうね」
「全部『めい推理』なんだけどね……」
 しつこくツッコミ。
「何? 舞、何か言いたりないことでもあったかしら? 私」
「ううん、何でもないわ! ブリジット。さすがはサークル代表だって、感心していたの!」
 キララ、舞は瞳を輝かせる。
「さ、皆様、御拝聴お疲れ様でした。お茶でも飲んでいかれて下さいな」
 そして後日、「【推理研・空大支部サークル】は美少女達がティーサービスをしてくれる嬉しいサークルらしい」、という噂がシャンバラ全土に広まるのであった。
 
 一方、笹井 昇(ささい・のぼる)は、ステージの下で熱心に【推理研・空大支部サークル】宣伝用のチラシ配っていた。
 彼は舞の実家の新米執事でもある。
「嬢様の為、及ばずながらこの笹井昇、猛暑の中でもベストを尽くす所存です」
 ギラギラの太陽の下であるが。
 天御柱学院制服の制服をカッチリと着こんだ彼は、至極真面目にせっせとチラシ配りに励む。
「えー、でもよぉー。オレ達【推理研天御柱学院支部】だよ? 空大関係ないっす!」
 非難の声を上げて、ダラッと休むのはデビット・オブライエン(でびっと・おぶらいえん)
 わ! 空大の女子大生って、レベル高っ!
 ナンパの用意をはじめる。
「駄目!」
 襟首をつかんだのは、昇。デビッドの脚がじたばたと空を切る。
「まったく、パウエル家の使用人として恥ずかしくないのか? デビット」
「つったって、オレは屋敷には出入り禁止だから。開店休業って奴っすよ!」
 にいっと笑う。
 まったく憎めないというか、何というか……。
「そんな真面目だと肩こっちまうっす、昇。
 差し当たっては1人に4、5枚渡して、よかったら友達にも渡しといてって言っとけばさぁ。
 それが要領ってもんだしぃ〜?」
 デビッドに悪びれた様子はない。
 そのうち舞の誘いに従って、観客達とのお茶会へと逃げて行った。
「ったく! だが私は、熱意と誠意で空大支部の会員獲得に貢献するぞ!」
 昇は1人生真面目に、日射病と戦いつつ、チラシをひたすら配り続ける。
 ただひたすら、お嬢様のために――。
 
 その努力と熱意は、正しく報われる。
 
「あの……チラシ見たんですが、こちらが推理研でしょうか?」
 お茶会が終わり引き上げようとする頃、サークルに興味を示した4名がブリジット達に話しかけてきたのだった。
 ノア・サフィルス、匠、メルティナ、椿姫の面々。
(やはり、努力は正しく報われるのだ――)
 よかった、舞お嬢様。
 明るく笑う一同の姿を見守りつつ、当面は頭に氷枕をあてがいながら、日射病の回復を図る昇なのであった。
 
 ともあれ、グループ活動による連携のせいもあり、【推理研・空大支部サークル】は人材の獲得に成功したようだ。
 
 ■
 
 観衆達が見守る中、ステージは幕を下ろす。
 と同時に、「見学会」終了の鐘が鳴った。