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【サルヴィン川花火大会】花火師募集!?

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【サルヴィン川花火大会】花火師募集!?

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第3章 花火が上がれば

「極彩色 色広がれや 大花火☆」
 心に幸福を呼び起こす、幸せの歌に合わせて詩穂は一句詠む。
「昇りゆく 花火の中に また花火♪」
 大きな花火が開いた後、続けて小さな花火がその内側を彩った。それを見た詩穂は、そんな句を読む。
「た〜まや〜」
 次々と夜空を彩る花火に向かってルースが声を上げる。
 パラミタの屋号は分からないため、掛け声は地球風だ。
「綺麗だなぁ!」
 ウォーレンも声を上げた。
(この気持ちも俺自身も夜の華みたいなもの。夜に散って消える運命……)
 輝いては消えていく花火を見ていると、紅月は2人とは逆にしんみりとしてしまう。
 そうしているうちに、一際大きな華が開いた。
 赤から黄、そして蒼へと変わる花火は、ルースが作ったものだ。
「か〜ぎや〜」
 失敗することなく、綺麗に咲いた華に彼の声が大きく響く。
 次に打ち上げられたのは、赤色で『ありがとう』の言葉だ。手先が器用だというウォーレンが作った花火は、誰にでも読めるよう、ハッキリと夜空に輝いた。
「……あとで、ルカルカにお礼の差し入れしないとな」
 告げて、彼はこくこくと深く頷いた。
「あ……」
 次に上がったのは『ぜんぶ 好き』というメッセージであった。
 その花火を見て、紅月は思わず、その場から駆け出してしまう。
「お、おい!?」
 残された2人は何事だと驚き、顔を見合わせると、人ごみの中、彼を探し始めた。
「録れてますね」
 少し高台になった場所に陣取った陽太は、2台のビデオカメラを用意すると、会場全体の様子と、打ち上げられる花火の様子とを録画していた。
 録画された映像は、携帯電話を解して、学園のコンピュータを操作することで、ライブ動画の配信と称して、流している。
 次に上げられたのは、短いメッセージだ。だが、どうやら区切られているのか、次々と上がっていく。
――世界で一番貴女を愛しています。
 打ち上げられたメッセージを繋げると、こうなる。
(見てくれているでしょうか)
 誰から誰へのメッセージかは分からない。
 けれど、作った本人には、想い人へのメッセージなのだということは分かる。
 録画中のビデオカメラの画面を覗きつつ、陽太は想い人の姿を思い浮かべるのであった。
「あ、上がったよ!」
 そう声を上げたのは、レキだ。
 夜空に輝くのは美味しそうな『スイカ』と『メロン』を描く花火だ。
「なっ!?」
 ミアは思わず言葉に詰まる。
 2人が作ったのは、互いのことをどう想っているか、それを表すような花火だ。
 レキはミアのことを『スイカ』や『メロン』だと思っているのかと思うと、ミアは自然と怒りが湧いてくる。
 だが、次の瞬間。
 夜空に花開いたのは、『四葉のクローバー』を描く花火であった。
「これが、ボクが想うミアだよ。ミアはボクに幸運と希望をくれたから」
 ミアの方を振り返って告げるレキは微笑んでいる。
「わらわは……お主のパートナーで良かったと思うておる」
 その笑顔と言葉に、ミアはぽつりと呟いた。
 けれどその声は、次に上がった花火でかき消される。
『向日葵』が花開くのを見ると、ミアは頬をかいた。
「ボクは……向日葵?」
「ああ。わらわにとっては太陽のようなものじゃ。闇に住まう魔女が太陽に憧れるなど可笑しな話じゃがな」
 照れた様子のミアに、レキは一層、微笑んだ。
「あ。ほら、涼司さん、上がりましたよ!」
 夜空を指差して、加夜は声を上げた。
「加夜の花火か、どんな……だ!?」
 彼女の指差す先を見た涼司は、驚く。
 そこに上がった花火が描くのは、彼の――『涼司の笑顔』であった。
(気持ちが伝わったら嬉しいです)
 そう思いながら加夜は紅くなる頬に手を添え、俯いた。
「な、な、なぜっ!?」
 涼司はただ驚くばかりで、加夜の真意は伝わっていないようだ。
(今は、伝わらなくても……。次は恋人として腕を組みながら来れたら幸せです……!)
 そんな彼の様子に、加夜は決意するのであった。
『今日も今日とて猫煮込みうどん 明日は明日のざるナポリタン』
 連続で打ち上げられた花火が描いたのはそんなメッセージだ。
 ゼロは、屋台を巡りながら買っていた焼きソバを片手にそれを眺める。