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PV作ろうぜ!

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序章 

 講堂内に並べられたパイプ椅子には、既にかなりの人が座っていた。
「冷たい飲み物はいかがですかー?」
 ワゴンを押しながら、そう声を出すのはミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)。時折「すみませーん」と手を挙げる人の所に行き、紙コップにお茶を注ぐ。
 どうぞ、と差し出すとたまにこんな質問がされた。
「どんなPV出すの?」
 そんな時はちょっと小首を傾げて、
「んー、私まだお店まだ作ってないんですよねー。だから名刺だけ渡しときます。お店できたらよろしく」
 そう答えて、紙コップと一緒に、自分の名前と自宅パソコン用のメールアドレスが記されている名刺を渡すのだ。
 お店が出来たら、宣伝・広報活動にも力を入れなきゃならなくなる。そんな時、PVとかCFをネットなりなんなりに流すのは有効な手段になるはず。
 ミルディアは、ポケットから今日のプログラムが書かれた簡素なパンフレット――というよりはプリントを取り出し、プログラムを見た。
「みんなはどんなネタ作ってくるのかな? とっても楽しみ」