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【蒼フロ2周年記念】ちっぱい教の野望

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【蒼フロ2周年記念】ちっぱい教の野望
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●ちっぱい教の野望


 ――空京某所。
 雑居ビルの廊下を歩く鈴虫 翔子(すずむし・しょうこ)の姿があった。そのまま戦場に持っていけるような高感度カメラを首から提げている。そして腰には愛飲する牛乳を入れた水筒を差していた。

「(C−DAY、か……その渦中をスッパ抜ければ特ダネになるよね!)」

 カメラマンとしての勘が、翔子にそう告げていた。
 彼女はちっぱいでもきょぬーでもない普通乳。故にどちらにも与しない中立派だ。
 それよりも、これだけの面白い騒動を見てるだけではもったいないと考え、カメラマンとしてC−DAYに関する写真を撮ろうと考えていた。
 では、何故ここにいるのか。
 いつもの思いつきとノリと勢いでちっぱい教に写真取材を申し込んだところ、二つ返事で承諾されたのだ。

「(なんでも、ちっぱい教の資金源になっている商品のCMの撮影があるって話だけど)」

 『商品』『CMの撮影』と聞いただけでも、ちっぱい教が資金源を持って活動している事になる。つまり、ある程度組織立って活動しているという証だ。
 やがて翔子は電話で指定された一室の前に来た。扉越しに写真取材の旨を伝えると、こちらもあっさり中に通された。

「(きょぬーじゃないから無警戒なのかな? カメラマンだから中立に徹するけど、それはそれで少し傷つくよ……)」
「撮影はこのリビングとダイニング、向こうの一室のみお願いします。CMの撮りはもう始まっているので、後程お願いします」

 誰にも見られないよう唇を尖らせながら、それでもカメラを構えるのはカメラマンの矜持か。
 そんな翔子に室内を案内する湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)

「キミもちっぱい教に?」
「ええ。何の因果かきょぬーのパートナーと3人も契約してしまいましてね。常日頃から虐げられている身としては、きょぬーに復讐したいと思いまして」

 凶司は黒縁のメガネを直しながら応えた。

「なぁに、手土産という程ではありませんが、パートナーを3人引き渡したら、今ではちっぱい教の同志Yですよ」

 クックックッと、喉の奥から笑う凶司。翔子のファインダーが捉えたのは、リビングに置物よろしく飾られているエクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)ディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)、そしてセラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)の石像だった。
 3人とも組んず解れつ、たわわに実ったエクスの水蜜桃をディミーアのマスクメロンが押し潰し、そんなディミーアにセラフが濃厚な口付けをしている痴態を晒していた。

『な、なんだお前ら!? やめ……いやぁーっ!?』
『まさか、凶司アンタ……!? く、エクス! 姉さんっ……』
『ふふふ、久しぶりに輝いてるわねぇ、凶司ちゃん。小悪党な顔してるじゃないの……いいわよぉ、今回はあたし達の負け……けど、こんな子供だまして屈服させられるとか、思ってないわよねぇ? 倍返し覚悟しときなさいよぉ?』


 凶司に騙されてちっぱい教のアジトに連れてこられたエクス達は、彼がちっぱい教の同志になる生贄にされてしまっていた。
 ちなみに、ちっぱい教の同志達はディミーア達に手は出していない。ちっぱい教の同志達に囲まれたシチュエーションを良いことに、セラフが姉妹達を手込めにし、その隙を衝いて同志達が石化させたのだ。

「(お陰でちっぱい教の情報を流せるけどな)」
「(C−Dayが発動したら真っ先に狙われると思っていたが……既にちっぱい教の手に堕ちていたか……)」

 凶司の情報を元に同志となった弥涼 総司(いすず・そうじ)は、ネフィリム3姉妹の隣にひっそりと佇む泉 美緒(いずみ・みお)の石像を見つめていた。
 凶司と異なるところは、手土産として【ソートグラフィー】で同志達の携帯に、ちっぱい教のネ申の1人、セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)の裸を念写したところだ。
 同志達は諸手を上げて喜び、総司を同志として温かく向かい入れていた。

 ちっぱい教の同志達は【ペトリファイ】や、どこからか手に入れた石化薬(アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)が調合したものらしい)を用いて、きょぬーをちっぱい教のオブジェ=広告塔にするのがC−Dayの目的である事を総司と凶司は突き止めていた。

「(ちっぱい教がきょぬーを殺めることのない、変態紳士の集団であることは分かった)」
「(攫っている時点で相当やばいけどな。しかし……何であんなに垂れ乳になっているんだ?)」
「美緒さんの……美緒さんの胸は……垂れていてもいい……触りたい……」

 そしてもう1人、総司の隣でうわごとのように問題発言をしているのがレロシャン・カプティアティ(れろしゃん・かぷてぃあてぃ)だ。
 なんとレロシャンは、百合園女学院内でアホ毛センサー(と言う名の第六感)で美緒の脅威を感じ取り、ここまで来たのだ。

『むむ、この感じは美緒さんがピンチです! 私が守らないと! 何故なら……

 あれは今から約一年前……。私が百合園での学園生活にも慣れきって、ちょっと物足りなさを感じていた時……
「うわっ、百合園生でよかった!」と思わせてくれたのが、当時新入生だった美緒さんのセクシーボディなのですっ!
 主に胸!
 ビキニアーマーもむしゃぶりつきたくなるくらい衝撃的でしたし!
 そして、バレンタインの時のチョコ化とか、遂に美緒ちゃんの胸を丸々1つむしゃぶりつけたあの甘い味はきっと美緒さんの蜜の味!
 それに続くホワイトデーの飴化の、あのミルキーな味は、美緒ちゃんのミルクの味だと私は思ったのです。
 もう思い出しただけで……デュフフ……』


 思わず美緒との出会いや今までの(主にきょぬーとの)関わり合いを思い出し、じゅるりと涎を百合園の制服のカフスで拭くレロシャン。とてもお嬢様とは思えない。

「私が独占できるなら貴方達に協力しますよ!?」

 斯くしてレロシャンもちっぱい教の同志Rとして活動していた。