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壊れた洞窟の隙間で待ってます

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壊れた洞窟の隙間で待ってます

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【1章】

「こちらローザ……っえ! 瑛菜、大丈夫なの?」
 ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は銃の手入れをしているところ、熾月 瑛菜(しづき・えいな)から携帯電話で「お願い助けて」と連絡を受けた。
「うん……うん。ごめん、ちょっと聞こえづらいみたい」
「どう…つ、…………で」
 電話越しに、瑛菜から途切れ途切れの声が聞こえてくる。電波状況がよくないようで、しっかり耳に付けて聞き取ろうとしても全部はわからなかった。
「アテナも一緒……子供? えっ! ちょっと待って!」
 ローザマリアが聞き返したとたん、電波がぷっつりと切れてしまった。着信履歴からリダイヤルを繰り返すものの繋がる様子はない。
「どうしたの? 緊急事態っぽいけど……」
 手入れを手伝っていたパートナーのエリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァ(えりしゅかるつぃあ・にーなはしぇこう゛ぁ)は眉を潜めてローザマリアに小声で聞く。仲の良いアテナ・リネア(あてな・りねあ)の名前が出たせいか、電話の内容が知りたいようだ。
「そうみたいなの。 瑛菜とアテナが多分洞窟かな……そこに子供もいるみたいよ。電波が途中で途切れてしまったから心配だわ」
「洞窟!? エリー心配なの……。ねぇローザ、助けに行こう?」
「きまってるじゃない! エリー行くわよ!」
「早く行かなくちゃね、瑛菜とアテナが待ってるの!」



「瑛菜がどうとか……さっきから騒がしいのですが」
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は周りの人たちがざわざわしていることがうっすらとしか把握できず、落ち着かない様子だ。
「わらわは洞窟で何かあったとさっき耳にしたぞ」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)は先ほど通ってきた人だかりを指さす。
「洞窟? あそこは不審者が出没すると耳にはしていましたが……」
 どうしたんだろうね、と紫月 睡蓮(しづき・すいれん)プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)も心配そうな表情を浮かべる。
「そこの四人! ちょっといいー!?」
 一人の少女が勢いよくこちらに走ってくるので、唯斗たちは驚いてそちらの方に向いた。
「あ……、はい。かまいませんよ」
 睡蓮は驚いたためか少し間を置きながら返事をする。
 駆け寄った主は伏見 明子(ふしみ・めいこ)だ。みつあみおさげを揺らしながら息を切らしている。
「うちの後輩が……っ! 瑛菜たちが大変なの! あなたたちも協力してくれないかしら?」
 明子は手短に洞窟で起こったことを伝える。
 助けに行くのに、明子一人では危険だと判断したためこうして協力を募ったのだ。
「そうでしたか。風の噂はよくわからなくて……。そういう事なら俺たちも手伝いましょう!」
 パートナーのエクス、睡蓮、プラチナムに目配せで「かまいませんね?」と合図をする。3人とも縦に首を降ってOKサインを出した。
「ありがとう、頼りになるわ。さっそく行くわよ! 一刻の猶予も争うんだから」