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【超勇者ななな物語外伝】超覇王の城の地図を探せ!

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【超勇者ななな物語外伝】超覇王の城の地図を探せ!

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◆第一章「誇り高きNPC」


 ドロシー・リデル(どろしー・りでる)によってマグ・メル地方へ超召喚されたメンバー達。『超覇王の城の地図』があるとされる『超危険な遺跡』に乗り込むため、近くの町で情報収集と準備を始めることになった。

「その超ドラゴン様を倒せばお家に帰れるのでしょうか?」
「さあな。俺もよく解らねぇが、まあフレイと一緒ならいいさ」

 戸惑った様子のフレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)に、ベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)がやや呆れた口調で言った。フレンディスはそんなベルクの言葉に
「はい! 私がマスターを守ります!」
 と、微笑む。ベルクはそんな彼女に見惚れた後、ごまかすようにそそくさと歩きだす。
「とっとりあえず! やる事は決まってるみてぇだし、さっさと片付けて……まてよ?」
「そうですね、早くお家に帰ってお夕飯を作りたいですし。
 えっと、たしかこういう時は町の人に聞き込みをするのが一番だと聞いた事が御座います。頑張って聞き込みをして次の行動フラグを立てましょう」
 やる気満々のフレンディスの隣を歩くベルクの意識は、少し別の方向へと飛んでいた。

(待て待て、よく考えろよ、俺。これってフレイと思う存分デート出来るチャンスなんじゃねぇか? ここなら誰もいねーし、いくらフレイが鈍感でも時間をかければ……今回こそ、俺の護衛任務じゃなくてデートだって自覚してくれるだろ)

 ふとそんな考えが思い浮かべば、それしかない気がしてくる。天然な思い人を持つと、いろいろ大変なのだ。
「よし! 適当な理由をつけてどっか雰囲気ある場所へ……」
「マスター? どうかされましたか?」
「いや、なんでもねー。いくぞ」
 何やらすごくやる気になっているベルクに、フレンディスは首をかしげた。

(そんなに早く帰りたいのでしょうか……ハッ! もしやお腹をすかされているのでは。早く帰って夕食の準備をしなければ)

 どこまでもすれ違う2人だった。


◆そこは酒場と言う名の「ワンダーランド」

「う〜ん、そう言えば、『“超危険な遺跡”にいる“超強いドラゴン”が“超覇王の城”内部の様子が描かれた“超地図”を守っている』と、聞いたことがあるような……」
「おおっ本当にこれしか言わないんだな!」

 フレンディスと、ベルクが酒場へ入った瞬間に聞こえたのは、そんな会話だった。
 酒場にいる客や従業員の全員がなぜか着ぐるみを身につけている中、アキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)ただ1人が着ぐるみを着ていなかった。

 ……いや、着ていないのが普通なのだが。

 とにかく、フレンディスとベルクは、アキラが何をやっているのか、と傍に寄っていく。
「それで地図についてなんだけど」
「う〜ん、そう言えば、『“超危険な遺跡”にいる“超強いドラゴン”が“超覇王の城”内部の様子が描かれた“超地図”を守っ(略)」
「その地図ってどこにあるんだ?」
「う〜ん、そう言えば、『“超危険な遺跡”にいる“超強いドラゴン”が(略)」
 アキラは何度も何度も男に話しかける。男は律義に何度も同じことをしゃべる。一言一句間違わない男に、アキラの目がどんどんと輝いていく。質問は、段々と関係のないことになっていった。
「今日は天気がいいな」
「う〜ん、そう言えば(略)」
「腹が減らないか?」
「う〜ん、そう言えば(略)」
 ちなみにどうでもいい話だが、男は白い兎の着ぐるみを着せられ、顔にはひげのような線の落書きがあり、なぜかY字バランスのポーズをしていた。足や手がプルプルしている男の目が、若干うるんでいる気がする。
 だがそれは気のせいなのだ。なぜなら彼は――。

「ここまでやっても変わらないのか! よーし、次の実験だ。ゴーレム。連れていくぞ」
「う〜ん、そ(略)」
 ゴーレムに抱えられ、その男はアキラに連れ去られていった。フレンディスとベルクは、テーマパークと化した酒場から、連れ去られていく男の姿を見ていた。2人に向かってふっと笑った男の目が、こう語っていた。

『俺は、負けねーぜ』

 アキラと男の戦いは、まだ始まったばかりである。

 完!

※終わりません。