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半透明な少女の願い

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半透明な少女の願い

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 パラミタじゃ幽霊は普通に居ますが油断はできません……。

 古城に入って行く人を既に何人か見送った次百 姫星(つぐもも・きらら)は庭で1人、待っていた。

「気を引き締めて行かないと!」
「ミス次百」

「出たああ!?」

 背後から突然聞こえた声に驚いた姫星は、悲鳴にも近い声を上げた。

「そんなに驚かないで、私よ」

 外見だけならばゾンビそのものな出で立ちの呪われた共同墓場の 死者を統べる墓守姫(のろわれたきょうどうぼちの・ししゃをすべるはかもりひめ)は至って冷静なままで言った。

「なんだ、墓守姫さんか……」

 少々涙目の姫星の表情が和らぐ。

「行きましょうか」
「幽霊さん、何処ですかー?」

 姫星が城へ入ろうと扉へ手を伸ばした時、目の前が歪み、体の中を何かが通り過ぎた様な感覚に襲われた。

「待って、話をさせて欲しいの」

 声にならない悲鳴を上げた姫星の後ろで、墓守姫は誰かに向かって話し掛ける。

「え、墓守姫さん? 待ってください!」

 そして突如走り出した後姿を、姫星は追った。
 ゾンビと合成魔法少女という外見の2人組。例え幽霊であっても、驚いて逃げ出すのも無理はない。かも知れない。

「何もしないわ、只、聞かせて欲しいだけよ」

 枯れた植物をすり抜けながら、真っ直ぐに逃げる幽霊を追う。

「貴方……名前は? ここに居る理由、聞かせてくれるかしら?」

 大した距離ではなかったが、逃げる事をやめた幽霊に墓守姫は尋ねた。

「……男……城に……。
 生徒……って……。
 早く……て、あげないと……」

 本人は必死で喋っていたのだろうが、かろうじて音となったそれだけを残し、霧が晴れる様に少女は消えてしまった。

「男……? 何の事でしょうか」
「あの子、本当に幽霊なのかしら……」

 首を傾げる姫星の横で、何か違和感を覚えた墓守姫は呟いた。