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都市伝説「地下水路の闇」

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都市伝説「地下水路の闇」

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SCENE・0 闇からのそれぞれの選択

空京の近くに存在する街・光零(こうれい)。
新月の夜、学生が多く集まる食堂・青楽亭(せいらくてい)に一人の少女が助けを求めてやってきた。
少女の求めに応じ、化け物が出現すると噂の地下水路へ入った者たちに恐怖が襲いかかる。

ヅヅヅヅヅ……
 マンホールが徐々に閉じていく。
 少女の友人救出に集まった青楽亭の面々は、一斉に頭上のマンホールを見上げるが、すでに僅かしか開いていない。
 身支度に時間が掛り最後に下りたエメ・シェンノート(えめ・しぇんのーと)が、慌ててマンホールを抑えようとするが、
ガチッ!
 マンホールがロックされた重い音が、暗闇に包まれた地下水路に響き渡った。
 一瞬の沈黙の後、
「いやああー!」
 最初にパニックを起こしたのはシャーロット・マウザー(しゃーろっと・まうざー)だった。悲鳴を上げながら、闇の奥へと走っていく。
「シャロッ! 待てっ!」
「ちょっ……二人とも待って! シャロ! レイディス!」
 シャーロットの後を追いかけ、傍にいた友人のレイディス・アルフェイン(れいでぃす・あるふぇいん)サミュエル・ハワード(さみゅえる・はわーど)が闇の奥へと消えていく。
 それが引き金となり、それぞれが思い思いの方向へ動き出す。無数の懐中電灯の明かりが散らばっていく。
 その様子を有沢祐也(ありさわ・ゆうや)が険しい表情で見ていた。有沢は無駄だろうと思いつつ、声を張り上げる。
「おい! 散らばるな! 単独行動は危険だぜ!」
 有沢の予想通りに足を止めるのは一部の人間だけで、ほとんどが聞いてない。偶然、有沢の横にいた緋桜ケイ(ひおう・けい)は、
「悪いが、この状況で『みんな仲良く一緒に行動しましょう』なんて無理だぜ。あんただって化け物のお仲間かもしれないだろ?
 じゃあな」
 そう言って、有沢の肩を軽く叩き一人で暗闇に消えていく。有沢は溜息を吐き、残った者たちに向き直った。