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リアクション
序章
-PM12:00-
昼頃に突然6学校へ黒子部隊・笑転ジャーに矢文が打たれ、その和紙には各学校合同で東西ロケット花火戦をせよという文章が筆で書かれていた。
そしていよいよ今夜はまちにまった戦争、それぞれ準備で大忙しだった。
雑貨屋で水風船などの材料を買いつけたテクノ・マギナ(てくの・まぎな)は、公園のベンチに腰かけながら怪しげな創造物を作り上げていた。
「これで花火を台無しにしてやるぜ。クッククク・・・コレで木っ端微塵にしてくれる!」
「おぉーテクノさんやる気満々ですね。それじゃあ、俺は相手がいない隙を見計らって西軍側へトラップをつくっておきましょう」
通りがかった志位 大地(しい・だいち)がその姿を見て、勝つ気力を湧き上がらせて敵軍の基地へ向かう。
「さてと・・・どの辺に仕掛けましょうか・・・。あっ!ここなら引っかかり易いかもしれませんね」
何時でも敵の攻撃から逃れやすいように、2段構えのトラップを設置する。
「典型的なトラップに人が簡単にかからないかもしれませんけどね。まぁ無いよりはマシですし・・・。いざという時の保険として、備えあれば憂い無しということでしょうか」
自分がかからないように、もう一度トラップの場所を確認し終えると東軍側の基地へ戻って行った。
-PM14:00-
「うーむ・・・もう少し面白い感じにしてみたいんじゃが・・・ん?」
東西互いの準備状況を遠くの位置で見ながら四石 博士(しこく・ひろし)が考えていると、岩場の方を黒い影が横切った。
「もしやあれは・・・」
そっと近寄ると影は博士から逃げようとしている。
「待てぇえいっ!貴殿があの黒子部隊・笑転ジャーじゃな?この戦い、もっとスリル感を出して面白くしてみないか?」
大声を張り上げて静止させるためにそれらしい言葉を投げ、立ち去ろうとする人影の動きを止める。
何者かが隠れている岩場辺りで何かを落としたような、ドンッと大きな物音がした。
正体を見ようと博士がそこへ近寄ると、黒子装束の人間が走り去っていく。
謎の人物が立ち去った後には、5000本ほどのロケット花火が積み込まれたダンボールが地面の上に置かれていた。
「フハハハッ。これだけであれば面白いことができそうじゃな」
脳の悪巧み回路を働かせ、博士は不気味な笑顔を浮かべる。
「これくらい発射台を改造すれば十分か?」
ロケット花火の発射台を耐熱性の飛びやすい形に改造した西軍のダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は、使用した金槌などを道具箱へ戻す。
「そうねぇ・・・まぁっ、こんなもんかな。今夜が楽しみよね♪」
出来栄えにルカルカ・ルー(るかるか・るー)が満足そうな笑顔で発射台を見る。
「見られないように念のため、シートを被せておいた方がいいわよね」
ルカルカは発射台を東軍に見られないように隠すため、グリーンシートを被せて2人はその場を立ち去っていった。
「ふむ、これも使えそうであろうな」
真夏の炎天下の中、青 野武(せい・やぶ)は、廃材置き場でアルミ製リヤカーや使い捨て電子ライターなどを集めている。
足りない電気スイッチや電流電圧変換機などの部品を電気工具店で揃えた。
彼はこれで一体何を作ろうとしているのか。
「リサイクル工場から防火被覆配線コードをいただいてきたであります!」
配線コードを抱えて、黒 金烏(こく・きんう)が野武の近くに置く。
「持ってきてやったぞ」
両腕にバッテリーを重そうに抱えたイリーナ・セルベリア(いりーな・せるべりあ)は、ゆっくりとベンチの近くに降ろす。
「不用品だからって、沢山タダでもらえましたでありますー♪おっとと・・・」
トゥルペ・ロット(とぅるぺ・ろっと)はあまりの重さによろめきながらも、アルミ板や丸棒をバッテリーの近くに置いた。
「青さん何だかとてつもない機械を作っておりますね」
「ティータイムにしましょうー」
皇甫 伽羅(こうほ・きゃら)はトレイに紅茶とお菓子を乗せ、イリーナと野武に差し出す。
「あぁ・・・ありがとう」
イリーナは皿からお菓子を1つ摘まむ。
伽羅は野武にも紅茶を渡そうとするが、制作に没頭するあまり聞こえないまったく様子だった。
「フッフフフ・・・これくらいあれば戦況を有利に進めそうであろう・・・」
マッドエンジニアの漆黒の瞳に、ギラリと怪しい光が宿る。
-PM16:00-
戦争の負傷者を助ける救護用の場所を作るため、協力者たちは大急ぎでテントを組み立てていた。
「レンタル業者から借りてきたよー」
救助用のタンカーを引きながら、セシリア・ライト(せしりあ・らいと)がテントを設置する場所へ向かう。
「救護班用のテントの素材は、こんなので大丈夫でしょうか」
東西の中間地点にある高台へ菅野 葉月(すがの・はづき)が屋根や骨組みを抱えてやってきた。
「そうねぇ・・・花火が飛んできそうだったら術でガードするしかないよね」
テントの素材を見てミーナ・コーミア(みーな・こーみあ)は不安そうな顔で言う。
「えぇ・・・流れ弾というか・・・流れ花火が飛んできそうですし」
パートナーの言葉に葉月はコクリと頷く。
葉月とミーナが負傷者の対応について話し合う傍らで、比島 真紀(ひしま・まき)とサイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)がテントを手早く組み立てていく。
「組み立て終わったであります!」
「きちんと倒れないようにしたから、これで大丈夫だと思うよ」
タオルで汗を拭きながら、サイモンはふぅっと息をつく。
「この辺にテーブル置きましょうか」
メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)が折りたたみ式の3mほど長さのあるテーブルをテント内にセッティングした。
「パイプ椅子も並べとくね」
テーブル付近にセシリア・ライト(せしりあ・らいと)がパイプ椅子を並べていく。
「あっ!そうだ、仮設シャワー室も準備しておかないといけませんよね」
両手をパンッと叩いて、メイベルは思い出したように言う。
「それじゃあ、ちゃっちゃと立てちゃおうよ。戦場から少し離れた位置がいいよね・・・ここがいいかな」
セシリアがシャワー室の設置に手頃そうな場所を見つける。
真紀たちは男女500m離れた場所にテキパキと立てていく。
「こんなもんかな?」
「覗き防止に念のためトラバサミでも見られそうな位置に仕掛けておきましょう」
不適な笑みを浮かべてメイベルが覗かれそうな位置にトラップを地中に埋める。
-PM20:50-
「最初に言っておきたいことがある。私、このロケット花火戦争が終わったら結婚するんだ・・・」
「イリーナ・・・遺言みたいに変な死亡フラグ立てないでください・・・」
傍からクリスフォーリル・リ・ゼルベウォント(くりすふぉーりる・りぜるべるうぉんと)にボソッとツッコミを入れられる。
「それはそうと、救護班の方へは撃たないように気をつけなくてはな」
自分から言っといて話をはぐらかすように、開戦前の注意事項を言う。
「気を取り直して・・・。まもなく戦争の開始です!」
クリスフォーリルは意気込みのポーズをとる。
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