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リアクション
第7章 見ぃつけた
「うぅ・・・怖いな・・・。聖水も切れちゃったしどうしよ」
聖水の効力が切れてしまったファニー・アーベント(ふぁにー・あーべんと)は、食堂の付近をウロついていた。
「何か面白いものでも落ちてないか探していたら・・・あそこに聖水が切れて困っている子を見つけてしまったわ」
メニエス・レイン(めにえす・れいん)はファニーの姿を見つけ、意地悪なことをしでかそうと思考を廻らせた。
「おねーちゃん、もしかして助けてあげるの?」
首を傾げてロザリアス・レミーナ(ろざりあす・れみーな)が言う。
「まさか・・・そんなつまらないこと、このあたしがすると思っているわけ?」
メニエスは玩具を見つけたような物言いをすると、ファニーの方へ近づき聖水の入った瓶を見せびらかす。
飲もうとするようなふりをすると彼女は泣きそうな顔をする。
「あの・・・もしよかったらその聖水・・・わけてくれない?」
「えぇいいわよ」
「本当に!?よかった・・・」
聖水の瓶をファニーが取ろうとしたその時、メニエスは聖水を全て床へこぼした。
「あーら、ごめんなさい。こぼしちゃったわ」
「―・・・うぅ」
「どうしたの?早く逃げないとゴーストたちに襲われるわよ」
ショックのあまり涙を潤ませる彼女に、さらに追い討ちをかけるように言う。
「うぁああんー!」
ファニーは泣きながら食堂へ駆け込んでいった。
「これが正しい使い方なのね!素晴らしいわ、おねーちゃん」
「フフフ・・・そう?とっ・・・笑ってばかりいられないわね」
メニエスは光術で空間から白い球体を生み出し、ゴーストたちへ放つ。
相手の皮膚が焦げたり、衝撃で一瞬よろける程度しか効果がなかったため、メニエスたちは調理室へ駆け込み引き出しの中に入る。
「どうやら追ってこないようね」
彼女はほっと安堵した。
「朝まで1人で隠れていないといけないなんて・・・」
ファニーはテーブルの下に隠れてガタガタと震える。
「顔をくれ・・・顔を・・・」
ブツブツと呟きながらゴーストの声が近づいてきた。
見つからないように、のっぺらぼうの位置を確認すると、奥のテーブル付近でウロつていた。
化け物たちは獲物を探すように、テーブルの下を確認している。
「(どうしよう・・・もし見つかったら)」
数メートル接近してきたのか、のっぺらぼうは諦めた様子で調理室から離れていった。
「はぁ・・・よかった」
「―・・・そこ・・・そこにいるのか・・・」
ぱっと声が聞こえた方へ振り返るが誰もいない。
「やだな・・・怖い怖いと思っているから聞こえちゃうのかな・・・」
「見ぃつけた・・・顔をよこせぇえ!」
「きゃぁああ!」
床を這いながらテーブルの下から出ると、ファニーは叫びながら廊下を全力で走り、その場から逃げていった。
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