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第1章 姿を消した守護者を探しに森へ
-AM8:00-
イルミンスールの森から姿を消したアウラネルクを探すために、リリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)とパートナーたちは森へ向かう。
「森の守護者を傷付けるとは何たる短慮なのだ。余りに短絡的過ぎる」
「アウラネルクさんが心配なのです。このことで居なくなってしまったのでしょうか?」
ユリ・アンジートレイニー(ゆり・あんじーとれいにー)は首を傾げて考え込む。
「そうは思いたくないのだが・・・」
「私もそうは思いません。故郷を捨ててまで森を守ってきた志ある者が職務を放棄して失踪するなどとは・・・」
首を左右に振りララ サーズデイ(らら・さーずでい)も、アウラネルクは今も森のどこかにいるのではと思っている。
「うむ・・・何か事情があるのだろう」
リリたちはイルミンスールの森へ入っていった。
「イルミンスールの森が異常な状態なのはもしかすると、祟りみたいなものなのではないのでしょうか?」
図書室の椅子に座り、ジーナ・ユキノシタ(じーな・ゆきのした)はそれらしいことが載っていそうな本を捲り調べていた。
学校の教師やザンスカールの住人のシャンバラ人たちは、どこかでボランティア活動していて不在だったため、自力で調べることにした。
「―・・・どうやらマンドラゴラが生息しているところは、元々忌み土地みたいですね。死者が多く出る呪わしい場所みたいです・・・ナラカのクリーチャーが現れるのもそのことが影響しているのでしょうか」
「そこで密猟者たちがクリーチャーたちに襲われることもあるのであろう。マンドラゴラに食べられて餌と認識され、食人植物化しても不思議ではない。食べられた者が悪霊となることもあるであろうな」
「きっとそういうふうに進化してしまった・・・ということですね・・・」
ガイアス・ミスファーン(がいあす・みすふぁーん)の説明に頷く。
「魔法草を勝手に採られないためということもあるであろうが・・・、そういったところに何も力を持たない一般の人間が立ち入ったらどうなると思う?」
「それは・・・」
「森に入ってこないように守護者からの戒めという意味であろう。密猟を行おうとして養分にされたなら、恐怖感を抱いた他の者が侵入しなくなると思うのだが教訓から学ばない者が多いのであろう」
「ですが命までとるなんて・・・」
「密猟を行う者は命がけで行っているのだ。それに食人植物化したのも密猟者たちの影響があるのだから、それ相応の代価が伴うであろうな・・・」
「命がけ・・・ですか。そういう場に行って必ず生きて帰りたい・・・という考えは甘いのでしょうか」
「やはり覚悟の上であろうな」
「では・・・学生に授業の一環として森を守ることは無理なんでしょうか・・・」
「マンドラゴラがある森を守るためには相応の力がいるであろう・・・。それに加えてイルミンスールの森は、世界樹の影響で急速に広がってるようだから生徒たちだけで守るのは難しいであろう」
「そうなんですか・・・」
考えていたこととだいぶ違い、ジーナはふぅとため息をついた。
森から姿を消したアウラネルクを探しに、赤月 速人(あかつき・はやと)たちもイルミンスールの森へやってきた。
「アウラネルクさんが森から姿を消してしまったらしいが・・・どこに行ってしまったんだ・・・」
「まだ傷も治ってないだろうし心配だよな」
大木から垂れ下がっている蔓を手で避けながら、久多 隆光(くた・たかみつ)は森の奥へと進む。
「この辺とかかな」
どこかで倒れていないか清泉 北都(いずみ・ほくと)は草むらを手で掻き分けて探す。
「もし倒れているなら早く探してやらないとな。凶悪なクリーチャーもいるんだろ?」
辺りを注意深く見ながらソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)が言う。
「そうなんですよ・・・」
守護者がどうなってしまったのか、ヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)は心配そうな顔をする。
「途中ではぐれないように気をつけないとな・・・」
ヴァーナーたちの前を歩いているレオナーズ・アーズナック(れおなーず・あーずなっく)が、はぐれないように注意する。
「こんなところで迷子になっちゃったら厄介よね」
アーミス・マーセルク(あーみす・まーせるく)も、はぐれないようにペースを落としながら歩く。
「携帯電話が通じるのかも分からないしな。樹海みたいな感じだったら圏外になって電話つながらないからな・・・」
電波がなくなったり復活したりする携帯を見て、ウトナピシュティム・フランツェル(うとなぴしゅてぃむ・ふらんつぇる)が肩をすくめた。
「(皆さん守護者を探しに向かっているようですね。この前は森や守護者に迷惑かけてしまったから、なんとか見つけてあげて知らせてあげたいです)」
影野 陽太(かげの・ようた)は1人で、アウラネルクを探しに向かう。
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