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リアクション
第3章 お騒がせな2人組み
-PM18:00-
「まったくあの2人・・・。何でまた迷い込んだんだか・・・」
国頭 武尊(くにがみ・たける)はルフナと出合った校庭を中心に彼らを探していた。
「何か特別な理由でもあるんでしょうか?」
背の高い枯れ草の中を探しシーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)が呟くように言う。
「おい見てみろ、人が通った形跡があるぜ」
「土を踏んだ感じからしてまだ新しいですね。他の生徒の足跡かもしれませんが」
「どっちにしろここにはいなさそうだから、近くにいるとしたら1階の方にいるかもしれないな」
「えぇ行ってみましょう」
校庭にはいないと判断し、2人はドアを開けて校舎内へ入っていく。
「待て・・・向こうから誰か来るぞ・・・」
「ルフナさんたちか・・・それとも生徒さんでしょうか?」
「さぁな・・・もしかしてゴーストの方かもしれないぜ」
息を潜めて壁際に隠れていると、人の話し声が聞こえてきた。
「どうやら人のようですね」
シーリルはふぅと息をつき、構えていた鉄扇を下ろす。
「―・・・あの生徒たち・・・じゃないようだな」
ソウガ・エイル(そうが・えいる)は武尊たちの姿を確認して言う。
「キミたちもあの2人を探しに来たのか?」
「えぇそうよ」
パートナーの傍にいたアリア・エイル(ありあ・えいる)が答える。
「トンネルに入ってからかなり時間も経ったしな・・・早く探さしてやらないと・・・」
「俺たちの他に誰かいるようだな」
ソウガは調理室に向かって歩いていく人影を見つけた。
「それってここに来る前にいたヤツだったか?」
「いいや・・・」
武尊の問いかけに、彼は首を左右に振る。
「もしかしたらラビアンかルフナどっちかかもな」
「急いで後を追いましょう!」
そう言うとシーリルは先に走り出してしまう。
「お・・・おい、先に行くなって!まったく、しょうがねぇなあ・・・」
シーリルの後を追うように武尊たちも調理室へ向かった。
「ルフナさんー、ラビアンさんー・・・いませんかー?」
先に調理室についていたシーリルは呼びかけながら探す。
「見つかったか?」
「いいえ・・・たしかにここへ入っていったと思ったんですが」
「向こうの方へ誰か行きましたよ!」
エイルが声を上げてソウガたちを呼び集める。
「たしかあっちは食堂だったな。―・・・うっ・・・なんだこの酷い匂いは・・・・・・」
廊下へ出ようとすると硫黄のような酷い匂いが漂い、ソウガは思わず片手で鼻と口を押さえる。
「皆・・・伏せろぉおおおー!」
武尊の声で生徒たちがとっさに床へ伏せると、どこからか白い煙がシュゥウウウッと流れてきた。
「―・・・・・・まるでアシッドミストの酸のようだな」
ひりくつ肌の痛みにソウガは顔を顰めた。
「まともにくらったら俺たち全員・・・アレに溶かされていたようだな」
男女とも区別のつかない、青白い人型の化け物を見据えグレートソードを構える。
「グベァッ・・・ャッグベァッグルァアァッ!!」
皮膚がめくれ心臓が丸見えのゴースト、ヒューマノイド・ドールが唸り声を上げながら、背から赤黒く細長い不気味な触手を伸ばしソウガを狙う。
間一髪避けたが鋭く尖った触手の先端は、刺さったら身体を貫きそう感じだった。
「あの煙・・・かなり厄介ですね」
「だがアイツを倒さなきゃ、ここは通れないようだから・・・なっ!」
ふぅと呼吸を整えダンッと床を蹴り、ゴーストの両膝を斬り払う。
ドォオンッと音を立てて化け物の身体が床に転がる。
「今のうちに食堂へ急ごう!」
化け物が再生を終える前に、ソウガたちは食堂へ駆け込んでいく。
「いましたよ!」
シーリルが指差す方を見ると、テーブルの近くにルフナの姿が見えた。
「早く来い、ゴーストが再生する前にここから離れるぞっ!」
彼の腕を掴み武尊が食堂を出ようとすると、酸のような煙を心臓の裂け目から放出させる死者に阻まれてしまう。
「ぶぁっくそ・・・」
「俺はこんな所で・・・負けるわけにはいかないんだ!」
剣の刃が標的の身体にズブリと斬り込み、どす黒い血が辺りに飛び散る。
ゴーストの断面を見ると背骨や肺があり一般の人間と変わらなかったが、斬られた細胞がくっつき合い再生を始めていた。
「やっぱり倒しきれないようだな・・・。生物室に行けば何人か生徒がいるだろう、そこへ行こう」
ソウガたちはルフナを連れて生物室へ向かった。
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