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結成、ガーディアンナイツ!

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結成、ガーディアンナイツ!

リアクション

「カメメ〜〜ッ!?」
 カメレオンが奇声を上げて吹き飛んだ。それを見た明子はすぐには何が起こったのかわからずに目を瞬かせる。
「大丈夫ですか、お嬢さん?」
 と、誰かが明子に声をかける。
 見ればそこには柔和な笑顔を浮かべる童顔の青年――ウィング・ヴォルフリートの姿があった。
「くっ……てめぇ、気配も殺気もなく俺様に近づくとは只者じゃねぇな」
 と、起き上がったカメレオンがウィングに向かってそう言った。
「まあ、伊達で傭兵をやってるわけではないですからね」
「おっ、ホントにカメレオンの奴がいた」
 と、ウィングの後に続いて闇咲阿童とそのパートナーたちが現れる。
 さらに辺りが急に闇に蔽い尽されたかと思うと、その闇は一点に集まって人の形を成していく。
 そして人の形を成した闇の中から一筋の光と共に牛皮消アルコリアとパートナーたちが姿を現す。
「ごきげんよう、ミスターカメレオン。私は貴方の与えたものを返しに、貴方の奪ったものを返しに参りました”朝と夜の魔女”です」
 アルコリアはそういうと恭しく一礼する。
「”宵闇の従者”――常に主と共に」
 と、アルコリアと共に現れ慇懃無礼に一礼するのはナコト・オールドワン。
 肩口あたりまで伸びた黒髪の少女の姿形をとる魔導書だ。
「天照す光よ、正しき道を開く者たちに再び活力を」
 そう言いながらリカバリを唱え、静佳と明子の傷を回復するのはアルコリアのパートナー、ランゴバルト・レーム。
 彼は白い髭をたくわえ、貫禄のある渋みを醸し出す老ドラゴンニュートだ。
 と、軽やかな身のこなしで空を飛ぶようにして現れた銀髪ツインテールの機晶姫、シーマ・スプレイグはアルコリアを守るようにその前に降り立った。
「…”薄暮の機騎士”推参」
「くっ、ガーディアンナイツ!」
「ぼっ、ボス〜っ!?」
 と、ミスターカメレオンの元に駆け寄ってきて助けを求めたザコたち。
 見ればカサブランカの騎士団と他のガーディアンナイツたち、シャーウッドの森空賊団が自分の部下達の大半をノシてしまっていた。
 カメレオンと残った部下たちは皆に包囲される形になる。
「おい、カメレオン! 俺たちも鬼じゃない。いまから反省するっていうのならブチノメスくらいで許してやるぞ?」
「そうだそうだ、降参しろ。俺は早くこの仕事を終わらせて可愛い子ちゃんたちを口説きたいんだよ」
 そう言うのは拳をバキバキと鳴らす阿童とその背後からひょっこり顔を出すアーク・トライガン。
「カメッヘっ、誰がそんなもんするか!」
「……どうやら貴方には話してもわかっていただけないようですね」
 アルコリアはそういうと手にしていた試作型星槍をカメレオンに向かって突きつける。
「それならば、貴方は私が穿ちますッ!」
 そしてミスターカメレオンに向かって躍りかかる。
「――アル殿に光の祝福を!」
 と、そんなアルコリアに向かってランゴバルトはパワーブレスの呪文を唱えて支援をする。
 光の加護を受け、アルコリアの手にしていた試作型星槍が眩い輝きを放つ。
「サンドタウンに朝を――それが私、朝と夜の魔女に託された願い……星槍よ、明けない夜を貫く光となりなさいッ!」
 そして光の槍となった星槍を持つアルコリアは、それをミスターカメレオンたちに向かって投げ放った。
「くぅっ――カメェェェェッ!!」
 ランゴバルトのパワーブレスとアルコリアの則天去私の妙技が加味された星槍は、光の激流となって敵全体をのみこむ。
 そのあまりの眩い光にその場にいたものたちは目を閉じた。
「やったか――!?」
 と、光の輝きが収まると誰かがそう言って前をみた。残っていた部下達が目を回して倒れているがそこにミスターカメレオンの姿はない。
『まだだァッ! まだ俺様はやられちゃいねぇぞ!!』
 と透明化してどこかに潜むカメレオンは叫ぶ。
「しぶとい奴ですわね……!」
 ナコトはそう言いながら、殺気看破でミスターカメレオンの位置を探す。
『カメッヘッヘッ! 今度はこっちがいくぜ、乱撃ソニックブレードッ!!』
 と、透明化したカメレオンはそう言うと次々にガーディアンナイツのメンバーを斬り裂いていく。
 アルコリアたちはシーマがメモリープロジェクターで見せた自分たちの幻影を斬らせてミスターカメレオンの攻撃をやりすごす。
 だがそういう術を持たないものたちは次々とカメレオンの攻撃の餌食となる。
「うっ!?」
 と阿童も攻撃を食らって腕に怪我を負う。
「くそっ!?」
 アークも足を切られてその場に膝をついた。
「主、兄者――危険、危険、危険、危険。主ヤ兄者、傷ツケル、敵、許サナイ。ワレ、敵、障害、壊ス。目標……補足、不能。
 ヨッテ、ワレ、戦闘フィールド全域ヘ、攻撃ヲ、開始スル、友軍ハ、速ヤカニ、退避セヨ、退避セヨ、退避セヨ……」
 と、それを見ていた巨大戦車型の機晶姫・ディオライオス・クレーターは機械的な口調で周囲にそう警告する。
 そしてその体に取り付けられていた機銃で、周囲を手当たり次第に掃射し始めた。
『なにっ、うわぁっ!?』
 と、機械的で殺気のないディオライオスの攻撃にカメレオンも当たってしまい透明化が解ける。
「カメレオンが姿を現したッ!」
 建物の影に隠れて機銃掃射をやり過ごしていた橘カオルが、カメレオンの姿を見て叫ぶ。
 そして彼はそれをチャンスとみて飛び出していく。
「よし、いまだね!」
 と、軽快な身のこなしで機銃掃射をかわしつつ霧雨透乃もカメレオンに向かってダッシュ。
「くらえっ!」
「もういっちょおまけぇーっ!」
 ふたりは手にしていたペイントボールを勢いよくミスターカメレオンに投げつけた。
 そしてペイントボールを当てられたカメレオンの体は、蛍光塗料に染まってだいぶカラフルになってしまう
「なっ、なんじゃこりゃッ!?」
「さて、もうそろそろ終わりにしましょうか?」
 と、そんなミスターカメレオンの前にウィング・ヴォルフリートが風のように颯爽と現れた。
 ウィングは右手に持った剣に爆炎波、左手に持った剣にアルティマ・トゥーレを使った魔法剣を生み出すとそれを使ってカメレオンに打ちかかる。
「ぐぅっ!」
 カメレオンは大鎌でそれをなんと防いでいたが、そのうちに大鎌の刃に亀裂が入り始めた。
 極度の温度差がある攻撃に鎌が破壊されつつあった。
「そろそろ本気を出しますよ!」
 ウィングはそう言うと、押さえていた力を爆発させて目にも留まらぬ高速の剣撃で攻め立てる。
 そしてついに、カメレオンの手にしていた武器が堪えきれずに大きな音を立てて壊れた。
「カメッへッ!?」
 ミスターカメレオンは奇声をあげて足を止めた。
 と、その鼻先に剣先が突きつけられる。
「ジ・エンドです、ミスターカメレオン」
「カッ、カメェ……」
 ミスターカメレオンは力なくつぶやくとその場に膝をついた。
「敵、許サナイ。ワレ、敵、障害、壊ス。敵、許サナイ。ワレ、敵、障害、壊ス……」
 一方、暴走しぱなしのディオライオスはすべてが終わったこともわからないらしく、相変わらず機銃掃射を続けていた。
「ったく……コイツはまた暴走しやがって」
 と怪我をした腕を押さえながらそう言うのは闇咲阿童。
「あっ、阿童ちゃん! 危ない、危ないから早くディオを止めてくれ!!」
「ああっ、そのつもり――だァッ!」
 阿童は語気を強めて、ディオライオスに強烈な蹴りをいれた。
「敵、許サナイ。ワレ、敵、ワッ、ワレ、テッ、敵、ワワッ、ワレ、テテッ、敵、ワレ、ワレ、ワレ……」
 するとどうだろうプシューと音を立てて、ディオライオスは機銃掃射を止めた。
「壊れた機械はぶっ叩くのが一番だ」
「……主? ドウシタ、何ガ、壊レタ?」
「なんでもねぇーよ、ディオ」
 阿童はそういうとポンポンとディオライオの体を優しく叩いた。
「みんな治しちゃうです♪」
 そう言いながらくるくると回って傷ついたみんなを癒すのはヴァーナー・ヴォネガット。
 とそのヴォネガットはトコトコと縛られているカメレオンの元に向かうとニッコリと笑う。
「――なんだ、てめぇ。そんなに俺が捕まってるのがおもしれぇのか?」
「ちがいます。カメレオンさんもお友達もみんな治してあげるんです。だからもう……こんなコトしちゃダメですよって、言いたかったのです」
 そしてヴォネガットはカメレオンの傷を治してやるとぎゅーと抱きしめる。
「終わったな」
 と、誰かがそうつぶやいた。その言葉にガーディアンナイツたちは笑顔で頷きあって答える。
「――いいえ、まだですわ」
 しかし、そこに水を差すように誰かが言った。
 ガーディアンナイツの面々が訝しげに声が聞こえた方を見ると、その顔色が一瞬で厳しいものに変わる。
 ガーディアンナイツの面々が見つめる先には、ガートルード・ハーレック率いる部隊が武器を手に立っていたのだった。