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結成、ガーディアンナイツ!

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結成、ガーディアンナイツ!

リアクション


ACT7 交錯


 ミスターカメレオンを倒して捕らえることが出来たガーディアンナイツだったが、その前に新たなる敵――ガートルードが率いる部隊が突如として現れた。
 長い戦いを終え、満身創痍のガーディアンナイツたちだったが立ち上がり武器を持ってそんなガートルードたちに対峙する。
「ミルザムの私兵がパラ実の縄張りで好き勝手をするということは立派な戦争行為と見なされます。それをきちんとお判りいただけていますか、ガーディアンナイツの皆さん?」
 ガートルードは丁寧な口調でそう言うと、青い瞳を細めて鋭くガーディアンナイツたちを睨みつけた。
「ミスターカメレオン氏」
 と、ガートルードの横に立っていた国頭武尊がミスターカメレオンに呼びかける。
 カメレオンは突然名前を呼ばれて驚いたが、それに返事をした。
 国頭はそんなカメレオンに”この町にやってくるキマクへの巡礼者への待遇改善”を要請した。
 ミスターカメレオンは、「俺様を解放してくれたら」という条件をつけてそれを了承する。
「了解だ。ならば、いますぐにでも解放してやるぜ」
 国頭はそういうと二丁の拳銃を抜き放ち、ガーディアンナイツたちに銃口を向けた。
 それを見たガーディアンナイツたちはいつでも飛び出せるようにと態勢を整える。
 誰かが仕掛ければ戦闘が始まる。まさに一触即発――そんな雰囲気が周囲に漂う。
 そんな緊張した雰囲気の中、ひとりだけ楽しそうに口元に笑みを浮かべている者がいた。
 それはヴェルチェ・クライウォルフである。
 彼女はガーディアンナイツが戦っている間にお宝を見つけ出してかさばらないものだけを懐にしまっていたが、お宝はもっと存在していた。
(うふふっ、ここでまた戦いが起こればクーちゃんやクリスを連れていって、もっとおっきなお宝を運び出せるわ……みんなには悪いけどもうちょっと頑張ってもらうわよ♪)
 ヴェルチェはそんな事を思いながら、腰につけていたリターニングダガーを抜いた。
 そしてガートルードに向かってダガーを投げつける。
「――!」
 ガーディアンナイツ陣営から突然飛び出してきたダガーに全員が驚いて動くことができない。
 そんな中、シルヴェスター・ウィッカーだけが素早くガートルードの前に出る。そしてそのナイフを腕で受け止めた。
「……どうやら、コレがあなた達ガーディアンナイツの答えのようですね」
 ガートルードはウィッカーの腕に突き刺さるダガーを見て、冷ややかな口調でそうつぶやく。
「行け、おまえら! 戦争だァッ!!」
 ウィッカーは腕に刺さったナイフを引き抜いて地面に放り投げると、仲間たちに向かって叫んだ。
 すると怒号と共に男たちが一斉にガーディアンナイツたちに向かっていく。
「くそっ、やるしかないようだな――!」
 ガーディアンナイツたちは苦しいながらもそれを迎え撃つ。
 と、地面に落ちたリターニングダガーが施されていた魔法の力でヴェルチェの手の中に戻ってくる。
 戦いへと突入した両陣営の人間たちは誰もそれに気付かない。
「ふふっ、じゃあ後はみんな頑張ってねぇ〜っ♪」
 そしてヴェルチェはそう言うと、パートナーたちと共に戦場から消えていったのである。
 一方その頃――。
 戦闘でやられて気絶していた蛮族のひとりを拉致してきたヴィト・ブシェッタが、井戸の冷たい水をそいつの頭に勢い良くぶっかける。
「あっ……うっ――」
 蛮族が低い唸り声をあげながら目を覚ました。
 するとヴィトはその男にアサルトカービンの銃口を向けて言った。
「この町や荒野をいく商隊から奪った財宝の場所を教えてください」
「……あっ?」
 まだ頭がボーっとしている蛮族はヴィトに言われたことがよくわからず聞き返す。
 するとヴィトはアサルトカービンのストックで蛮族の横っ面を思いっきり殴りぬく。
「ぐぉっ――!? なっ、なにしやがる!!」
「……目が覚めたでしょう。さぁ、質問に答えてください」
 ヴィトはそう言うと、再び銃口を蛮族へ向ける。
「だっ、だからなんなんだよ――」
「金の在り処を聞いているんです。ミスターカメレオンが集めた金ですよ」
「……しらねぇよ」
「そうですか――」
 と、ヴィトはまたアサルトカービンのストックで蛮族の顔面を殴る。
「ぐおおおっ……」
 蛮族の顔が鼻血で真っ赤に染まる。
 だがヴィトはそれを気にした様子もなく淡々とした口調で蛮族に向かって言う。
「さぁ、今度は命と金……どちらが大事かを考えて答えてください」
 そして再度アサルトカービンの銃口を蛮族へ向けた。
「わっ、わかった。教える――教えるから、もう殴らないでくれ」
「わかりました。では、金の在り処まで案内してください」
 そういうとヴィトは蛮族の腕を掴んで、無理矢理立ち上がらせると背中に銃を突きつけて前を歩かせる。
「ヴィト、火をくれるか? マッチを切らしてしまってな……」
 と、そんなヴィトの後ろからサルヴァトーレ・リッジョが言った。
「ハッ、サルヴァトーレ様」
 そしてヴィトはあいていた手を懐に入れ、ジッポライターを取り出すと火をつけた。
 サルヴァトーレはその火で葉巻をふかしながらつぶやく。
「……さて、俺たちも仕事を終わらせるとしよう」



「ココよ、ココ♪」
 そう言うヴェルチェがたどり着いたのはミスターカメレオンがお宝を隠していた普通なら誰も近寄らないであろう廃屋に近い小屋。
「そなたは宝を探し当てることに関しては本当に天才的じゃのう」
 そんなヴェルチェについてきたクレオパトラ・フィロパトルは関心したような呆れたような口調でそう言った。
「最高の褒め言葉をありがとう、クーちゃん♪」
「ヴェルチェ様、ご所望の物はこちらでよろしいでしょうか?」
 と、 ヴェルチェの指示でカメレオン一味が乗り捨てた軍用バイクを一台を拝借してきたクリスティ・エンマリッジが現れる。
「うん、それでオーケーよクリス。じゃあサイドカーの部分にお宝をどんどん積んでいきましょう♪」
 そしてヴェルチェたちが仕事に取り掛かろうとしたその時――。
「……動かないでください」
 と、そう言うずいぶんと低い声が聞こえてきた。
「あら、誰かしら?」
 ヴェルチェが瞳を細めて、声をした方をみるとそこには獅子の姿をした獣人――ヴィトがアサルトカービンの銃口をヴェルチェに向けて立っていた。
「ヴェルチェ様」
 クリスティがヴェルチェを守るように前に動く。
「おっと、お嬢さん。それ以上は動かないでください」
「……あら、お嬢さんなんて嬉しいことを言ってくれますのね」
 ヴィトの言葉を聞いたクリスティは笑みを浮かべる。
「お前たち、こんなところで何をしている?」 
 と、ヴィトの後ろで葉巻をふかしていたサルヴァトーレが煙を吐き出しながらヴェルチェたちに問う。
「それはこちらも聞きたいんだけどなぁ」
 ヴェルチェは蠱惑的な笑みを口元に浮かべてサルヴァトーレに問い返す。
「ふふっ、なかなか肝の据わった女だ。気に入った」
「あら、それは嬉しいわ。こんなダンディなおじ様に気に入ってもらえるなんて♪」
「――見たところ、お前も俺と同じパラ実生だな?」
「うーん、ご想像におまかせするわ」
「ふっ……まあいいさ。ところでおまえはパラ実生同士、助け合う場が必要だと思わないか?」
 サルヴァトーレはそう言うと口元に不敵な笑みを浮かべる。
「……そうね、その話。興味はあるかな?」
 と、ヴェルチェも口元に意味深な笑みを浮かべてそう答える。
 何かを企むふたりがここで出会った。