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【学校紹介】鏖殺の空母

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【学校紹介】鏖殺の空母
【学校紹介】鏖殺の空母 【学校紹介】鏖殺の空母

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7:空母制圧

「こちら戦場の六本木 優希です。現在作戦は佳境を迎えています。発令所、艦橋、イコンデッキ、機関室などへの進軍が始まり、間もなく制圧されようとしています。それでは、発令所に向かうチームについていきたいと思います。こちらは隊長の山葉 涼司さん直属の部隊です」
 優希はデジタルビデオカメラを回しつつそう喋る。それはまさに戦場のカメラマンであった。
「それでは第一師団少尉クレア・シュミットさんにお話を聞いてみましょう。どうですか、クレアさん?」
「優希、それどころではないよ。艦の構造データは取得できたが、まだ発令所までは距離もある。油断なく進まねばな」
「はい、ありがとうございました」
 美羽は強化型光条兵器ブライトマシンガンで涼司に迫る寺院兵を薙ぎ払いながら歩みをすすめる。
「ほんっとうに、うっざいね。倒しても倒してもゴキブリみたいに出てくるよ」
 敵の戦闘要員は100人から200人と推定されている。数だけで言えばこちらの倍以上。美羽が鬱陶しがるのも無理はなかった。
「<禁猟区>展開。山葉君、数が少ないルートはこっちだ……」
「了解! 全員続け!!」
 北都の言葉に涼司は頷く。
「わかったよ。跳弾の危険が多いから流れ弾も少ないね。これなら<ベルフラマント>で隠れてても大丈夫そうだね」
 金髪のセミロングで派手な印象を受ける美少女湯島 茜(ゆしま・あかね)がそう言って戦闘を避けながら進む。
「それでも敵が多いでありますね。ここはひとつ眠らせるとするであります」
 そしてパートナーで重力に逆らうツンツンとした赤髪を持つ小柄な女性エミリー・グラフトン(えみりー・ぐらふとん)が<ヒプノシス>で兵士たちを眠らせる。
「サンキュー、エミリー」
「いえ、これも義務であります」
 涼司の礼の言葉に真面目に答えるエミリー。
 そして発令所へと進んでいく。
「塵殺寺院は……私の仇だ。奴等に情けなどいらない。……一兵たりとて生き残れるとは思うな!」
 <アボミネーション>で周囲の敵を畏怖状態にし、心の隙を狙って、<黒檀の砂時計>の効果で素早く動き、斬り捨てる。
 朔は逃げる奴が居ようが、降伏しようが全員斬り捨てる。鏖殺寺院の兵士に一切の慈悲をかけない。
「朔さんのおかげで敵はかなり減っています。発令所ももうすぐです。私の千歳のためにも頑張ってくださいね」
「イルマ!」
 千年とイルマが掛け合い漫才をやっている中も状況は刻一刻と変わっていく。
 そろそろ発令所に到着という頃合いになった。
「突入前にこれどうぞー」
 薄茶色の髪をポニーテールでまとめた大人びている美少女天宮 春日(あまみや・かすが)が傷付いた仲間に騎沙良詩穂の指輪キャンディーを分けて回る。
 傷が癒されて戦闘態勢に入った生徒たちは発令所のドアの電子キーをハッキングして解除すると突入した。
 朔が無慈悲に敵兵を切り捨てるのを見て、発令所の中に板人間たちは降伏を訴えるが、朔は一切容赦しない。血の花が咲き乱れた。
 千歳もこうなってはと敵兵を容赦せず切る。
 涼司と花音は眉をしかめながらも敵兵を叩いて回った。
 と、息が残っていた敵兵が涼司めがけて拳銃を発射する。
「危ない!」
 誰かが口にしたときには手遅れだった。
 発射された弾丸は空気を切り裂き涼司の胸に命中する。倒れる涼司。
「涼司さん!」
 花音が慌てる。
「涼司くん! 大丈夫!? 大丈夫!? ――よくも!!」
 加夜は<氷術>で敵兵士にトドメを刺すと涼司に駆け寄った。
「涼司くん!」
 しかし涼司は何事もなかったかのように立ち上がると、胸ポケットに手を入れた。
「こいつか――」
 それは、お守りだった。
「こいつが助けてくれたんだ。これは、加夜がくれたお守りだったな」
「あー、防弾性素材で作ったお守り……」
「ありがとうな、加夜」
「え、あ、うん。涼司くんが無事でよかった……」
「加夜は命の恩人だな。この礼は後でする。何でも好きなことを言ってくれ」
「え……? あ? うん。本当にいいの?」
「いいぜ」
 そうしてフラグをもう一本立てた加夜でした。
「俺は出入口を監視しとく。敵が来ないか見張ってるよ」
 春日はそう言うと入口に仁王立ちする。
「助かる春日」
 涼司はそう言って発令所の掌握に務める。
「こちらクレア。発令所は掌握した。これより隔壁を操作する」
 ことにクレアは篭手型HCで発令所の端末をハッキングすると、各所へのエネルギーの供給を遮断し隔壁の操作を行ない空母を掌握する。敵の援軍を断ち、他の味方が速やかに作戦行動を行えるように通路を整えていく。
 アレクセイは発令所にある紙媒体の資料の収集に務める。
「何が重要な情報かわからねえからな、ありったけいただくぜ!」
 アレクセイはそう宣言すると本当にありったけ持って帰った。
「ん? ……これは鏖殺寺院の名簿か。この情報は高く売れるな」
 北都は銃型HCで発令所の端末をハッキングした際、偶然鏖殺寺院の名簿を手に入れた。すぐさまHCに吸い出し保存する。
「名簿はスパイのあぶり出しに大きな効果を期待できる。データをなくすなよ」
 クレアが北都にそう告げる。
「了解。御神楽校長に高値で売れるでしょうしね」
 北斗はそう言ってハッキングを続けた。

 乳白金のロングウェーブの髪を持つ優しそうで胸が大きい少女メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)は、機関室を目指す。
 パートナーの黒髪のポニーテールで端正な顔立ちをしたかっこいい少女セシリア・ライト(せしりあ・らいと)や、同じくパートナーで金髪のロングヘアを持ち知的そうで胸の大きなフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)、そして幼少児のメイベルにそっくりな外見をしたシャーロット・スターリング(しゃーろっと・すたーりんぐ)らもメイベルに従って機関室を目指す。
「敵がいないね、メイベルさん」
「そうですね〜。クレアさんのおかげでしょうかぁ〜?」
 シャーロットとメイベルはいささか緊張感のないやりとりをするが、生前は英国ガーター騎士団所属であった英霊のフィリッパは生まれつきの戦士として警戒を崩さない。一応彼女たちはブラックコートで気配をけしているのだが、それでもフィリッパは警戒を怠らなかった。
 そしてローザマリアとパートナーのシルヴィア。同じくパートナーでエリザベス一世の本霊でもある金髪をお団子頭にした胸が大きい美少女のグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)と名門クレルモン家の令嬢でシャルルマーニュの姪にあたる聖騎士の英霊で、乳白金の髪を一本の三つ編みにした、顔立ちが端正で胸が大きい少女ブラダマンテ・アモーネ・クレルモン(ぶらだまんて・あもーねくれるもん)等一行も同様に警戒しながら機関室を目指す。
 ことにローザマリアとシルヴィアは、階段を降りる際は階下に銃口を向け半身のみ階段の上からはみ出させ、不意に銃撃を受けても被弾する可能性のある面積を最小限に抑えると言う徹底した用心ぶりだった。
「敵がいないね?」
 シルヴィアがつぶやく。
「とは言え油断はしないよう――」
 フィリッパが警告する。
 通路に出る際は閃光手榴弾を転がすのも忘れない。
 激しい光と爆音を、眼と耳を塞いでやり過ごすと、ローザマリアとシルヴィアは素早く通路に出て敵を確認する。そして敵がいないことを確認して安堵の表情を見せると、後続のメンバーを呼び寄せる。
「もう少しで機関室ですわ」
 ブラダマンテがそう言って髪を整える。
「じゃあ、今よりも隠密行動で。お喋りは無しよ」
 ローザマリアがそう言うと、一行は無言で頷いた。
 そして機関室に閃光手榴弾を投げ込んでから突入し、混乱の中で一気に敵を制圧する。
 セシリアは機関室にいたクルーを後頭部を殴って気絶させロープで縛って無力化する。
 ローザマリアはダメージコントロールルームへ入ると無線で潜入班のメンバーに注意をしてから注水して船を傾斜させる。
 これによって艦内での戦闘はこちらの優位になった。
 グロリアーナはマニュアルを読みながら電気系統を掌握し味方が有利になるように工作を行う。
「ふん。これでわらわたちの勝利であろうよ」
 グロリアーナはそう言って笑った。
 ブラダマンテは機関室で制御装置を見つけると空母のエンジンを停止させる。
「これで当分は動けないですわね」
 シルヴィアはスクリューシャフトルームに爆薬を仕掛けて爆発させ、スクリューを破壊する。
「これで完璧」
 ダメ押しにメイベルが<先端テクノロジー>で大まかな目星をつけて制御装置を破壊し、シャーロットはそのサポートをする。
 その間フィリッパは常に入り口で敵が来ないか監視をし、警戒に当たる。
「さあ、撤退しますわよ」
「そうですね」
 ローザマリアとメイベルの間でマスター同士の合意が成立し、パートナーたちに撤退を伝える。
 こうして彼女らはステルス飛空艇へと戻っていった。

 敵イコンの発進が止まると、デッキ潜入組はクレアに電力の復旧を要請し、人用エレベーターを使って再度デッキへ降りた。
 そこでは爆発したエレベーターやワイヤーで転んだせいで発進できなかった敵イコン、シュヴァルツ・フリーゲ2機とシュメッターリング5機あった。
 そしてなんとかイコンを再発進させようとしているパイロットと警戒についている鏖殺寺院兵がいた。
 当然降りてきたエレベーターのメンツとの戦闘が始まる。
 だが戦闘要員は20人もいない。他の部署にも向かっているのだろう。
「<爆炎波>!」
 悪人面のジャジラッド・ボゴル(じゃじらっど・ぼごる)は<バトルアックス>から炎を飛ばすと敵兵をこんがりとウェルダンに焼きあげる。
 さらに追撃で斧を振るい、一人の兵士の胴体を両断する。
 ジャジラッドは悪人面のため鏖殺寺院のスパイかと警戒されるが、
「同じ西シャンバラの仲間じぁねえか? 今回は騙し合い抜きで共闘しようぜ? スパイを疑うなら東の連中を疑えよ」
 と言ってそれをかわす。
 黒髪をオールバックにした巨漢のグンツ・カルバニリアン(ぐんつ・かるばにりあん)は奪った鏖殺寺院の制服を着て味方面してパイロットに近づくと、<サイコキネシス>で首をへし折った。
 そしてパイロットを引きずりだし、赤髪をオールバックにした顔立ちが端正なパートナーのプルクシュタール・ハイブリット(ぷるくしゅたーる・はいぶりっと)とともにシュヴァルツ・フリーゲに乗り込む。
「ふん……あっけないな」
「数が少ないからな」
 グンツとプルクシュタールはそう言葉を交わすとイコンの内部を見た。
「操作系統は天御柱のイコンとあまり変わらないな。これなら行ける……」
 そしてグンツはシュヴァルツ・フリーゲを起動させるとデッキ内で暴れ始めた。
 マシンガンの掃射で鏖殺寺院兵が肉塊に変わる。わずかしかいない兵士はこの掃射ですべて殺され、その隙に他の生徒達が鏖殺寺院のイコンに取り付いた。
「これがイコンの力か。教導団もパワードスーツを更に改良化して精鋭部隊化を薦めなければ太刀打ちできない時代に突入したようだな……」
 ジャジラッドはそう漏らしてイコンの力に畏怖を示す。
 重力に逆らうツンツンの銀色の頭の目付きが悪いがかっこいい女性葉月 エリィ(はづき・えりぃ)とそのパートナーで黒髪のセミロングで美形で色っぽいエレナ・フェンリル(えれな・ふぇんりる)も鏖殺寺院のパイロットを無力化するとシュヴァルツ・フリーゲを乗っ取った。そして無線で味方に今から甲板に穴をあけると告げ、退避を促す。
 黒髪を後ろで束ねた眠そうな顔をしている玖珂 秀臣(くが・ひでおみ)とロングの黒髪で肌が綺麗な上に顔立ちも端正な真崎 悠子(まさき・ゆうこ)もシュメッターリングを奪う。
 秀臣は外部からコントロールする自爆装置や発信装置のようなものがないかを探すが、とくにおかしいものは見当たらない。
「……いい感じだな。このまま敵の背後をつくぞ」
「……まぁ、秀臣がいいなら私はそれでいいけど」
 秀臣の言葉に悠子は頷くと退避の連絡を受けてマシンガンで甲板に穴を開け始めた。
 エリィの銃撃とあわせて、三分ほどで穴が開く。
 そして赤髪でポニーテール、さらには胸の大きい少女天貴 彩羽(あまむち・あやは)と二卵性双生児の赤髪をショートカットにしたなぜだかバカっぽい天貴 彩華(あまむち・あやか)も彩羽の<サイコキネシス>でパイロットを引きずり下ろして彩華の<ピプノシス>で眠らせる。
 そしてシュメッターリングを乗っ取るとエリィと秀臣が開けた穴から飛び出した。
 残った面子は再び甲板にあがり上からステルス飛空艇への脱出を試みる。

 一方静麻を始めとした艦橋制圧へと向かった部隊も速やかに艦橋に到達した。
 ドアを開けると閃光手榴弾を転がしてドアを閉め、爆音が収まったあとに無力化した敵兵を制圧する。
 金髪を一本の三つ編みにした胸の大きいヴァルキリーのレイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)は艦橋に突入すると二振りの剣で艦橋内の敵兵を倒して回る。
 そして黒髪を高く結い上げた色っぽくて胸が大きい服部 保長(はっとり・やすなが)も<チェインマスト>で敵兵を切り倒し、息のある兵士から艦橋の操作方法を聞き出す。
「こちら亮一。停電に注意しろ」
 そうして艦橋の機能を停止させると亮一がオープンチャンネルの無線で停電について警告し、艦橋につながる配電盤を爆破し、空母としての機能を停止させる。
 これでミサイルや機銃も動作を止める。
 停電で暗くなったので、茶色のロングウェーブの髪を持った可愛くて優しそうな高嶋 梓(たかしま・あずさ)は暗視装置を装着して暗闇に慣れると、怪我人の手当をして回った。
 こうして、空母は制圧されたのであった。