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    ★    ★    ★
 
「次のお便りです。俺の名は真都里さんからです。
 シャレードさん、こんばんは、だぜ。
 暑くて寝苦しい夜が続くけどお体には気をつけて欲しいんだぜ。
 さて、寝苦しいといえば最近俺も眠れなくて
 と言うのも、とある女の子が気になって仕方ないみたいで…
 彼女はどこか大人びていて、世話焼きで、俺みたいなヘタレの事も気にかけてくれる優しい良い子なのだけど…
 その子は7歳なんだ!
 俺はロリコンなのか?
 愛に年の差は関係無いと言うけれど
 そもそも愛なのかも判らないが…
 シャレードさん、俺はどうすればいいんだぜ
 
    ★    ★    ★
 
「俺はロリコンじゃない! 気になる子がロリなだけだ!」
 ラジオを聞いていた春夏秋冬 真都里(ひととせ・まつり)は、思わず叫んでしまっていた。
「あっ……」
 一緒にいた小豆沢 もなか(あずさわ・もなか)ウルスラ・ヴァージニア(うるすら・う゛ぁーじにあ)の視線が冷たい気がする。
 
    ★    ★    ★
 
「……という訳で、世間の視線は冷たいでしょうけれど、頑張って生きてくださいね。ロリコンの俺の名は真都里さん。陰ながら、生暖かく見守っていますよー。生きろ」
 
    ★    ★    ★
 
「うわああああ、誤解された。全バラミタ中に誤解されたぁぁぁ!!」
 春夏秋冬真都里は頭をかかえて叫んだ。
「誰がこんなハガキを。俺の名を騙るだなんてことをする奴は……はっ!」
 突然思いあたった春夏秋冬真都里が、小豆沢もなかをきっと睨む。
「モナカちゃんは知らないもーん」
 口先をとがらせながら、小豆沢もなかが答えた。怪しい。
 すっと、彼女の背中を映している背後の姿見を見ると、鏡面に大きく『嘘』となぜか血文字で書かれている。
「嘘だな」
「何を言ってるんだも……ぎゃあ!」
 春夏秋冬真都里の視線を追った小豆沢もなかが、鏡に書かれた文字を見て飛びあがるようにして春夏秋冬真都里にだきついた。
「よしよし、よく教えてくれた」
 春夏秋冬真都里が、小豆沢もなかから死角になる空間をなぜかなでなでしている。小豆沢もなかとしては、ここには自分と春夏秋冬真都里しかいないと思っているので、その行為自体ホラーだった。
 その場に痛もう一人、ウルスラ・ヴァージニアは、あまりに存在感が希薄なためにほとんど隠れ身状態なので、小豆沢もなかの視界には入っていなかったのだ。
「ちょっと、そこに何かいるの?」
 春夏秋冬真都里にしがみついたまま、小豆沢もなかが大声で聞いた。
「嘘だよな」
 それには答えず、小豆沢もなかの投稿を目撃していたウルスラ・ヴァージニアによって鏡に書かれた血文字に近づきながら、春夏秋冬真都里が聞く。
「そんなことより誰かい……」
「もなかが書いたんだな?」
「は、はい、もなかが書きましたぁ」
 鏡にくっつけられそうになって、小豆沢もなかが白状した。
 
    ★    ★    ★
 
「次のお便りは、ウルスラ・ヴァージニアさんです。なぜか、赤いインクで書いてありますね。そんなに目立たせなくてもいいんですよー。
 シャレードさんこんばんは
 ワタシは最近になるまで、とり憑いていた男の子にも気付いてもらえない位影が薄いです。
 ただ友達が欲しくて幼かったあの子の後ろを憑いて歩きました。
 今までの子達と同じように、この子にも気付いてもらえないかも…
 そう思う日々が続いていました。
 でも違った…
 彼は気付いてくれた。
 もしかしたら、もっとたくさんの人にも気付いてもらえるかも…
 シャレード・ムーンさん、ワタシ友達が欲しいんです。
 どうすれば友達たくさんできますか?
 なんか幽霊みたいな言い方ですけど、影が薄いんでしょうね。
 ここは頑張ってみんなに声をかけなくっちゃだめです。
 そうですね、とりあえず、この番組にじゃんじゃんハガキを書きましょう。
 そうだ、もしあなたがかわいい幼女だったら、さっきの俺の名はロリコン真都里さんがお友達になってくれるかもしれませんよ。
 頑張ろー」
 
    ★    ★    ★
 
「ほう、ウルスラのハガキも読まれたのか。よかったな。なでなで」
 春夏秋冬真都里が頭をなでてやると、ウルスラ・ヴァージニアがぴとっと彼にだきついてきた。
「ぎゃ、何かいる……。誰?」
 一緒にだきしめられて、小豆沢もなかが悲鳴をあげた。その視界に、真っ赤な髪をした儚げな少女の姿がぼんやりと入ってきた。
「……気づいて……ほしい……かな……」
「う、うん、気づいたんだもん」
 ウルスラ・ヴァージニアの言葉に、小豆沢もなかはこくんとうなずいた。
「よかったな」
 そう言うと、春夏秋冬真都里は二人の頭をなでなでした。
 
    ★    ★    ★
 
「次のお便りです。ペンネーム、めぐるさん。
 私は女なのですが、人よりちょっとガタいがいいせいか、初対面の方に必ず男に間違われてしまいます。
 女らしくしようとしても自分の中で色々と葛藤があり、なかなか実行できません。
 どうすれば女の子らしくを出来るでしょうか?教えて欲しいです。
 これはずばり、タシガンに遊びに行けば問題解決です。
 モテます。うまくいけば、いい男ゲットです。
 女の子だとばれれば、ガチな人たちは去っていくかもしれませんが、どっちもオッケーという人が一人ぐらいはきっと残ります」
『話ずれてます。恋人探しではありまセーン』
 インカムで、アーサー・レイスがツッコミを入れてきた。
「えっ、恋人の話じゃない?
  ああ、まださっきのおハガキが頭の中に残っていました。めんご。
 えっと、女の子らしくっていうと、ふりふりのメイド服とか着たいのかしら。
 男装の麗人というのも素敵なんだけどなあ。でも、誰でもできるという訳じゃないしい。
 でもね、背が高いのなら、モデル用の素敵なドレスが着こなせるのよね。これって、背の低い子にはできない一種のあこがれなんだから。あなたらしくが女の子らしくになれば、それが一番いいと思うんだよね。
 という訳で、お悩み相談みたいになって着ちゃったんで、次のコーナーにいってみましょう」