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ミッドナイトシャンバラ放送中

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リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「ふう、差し入れのケーキ、美味しいわ。あ、こっちのカレーケーキは生ゴミに捨ててね」
 CM中に日堂真宵が持ってきたケーキと紅茶で一息ついたシャレード・ムーンは、アーサー・レイスの持ってきた黄色い生クリームのショートケーキを手つけずで突き返した。
「ノー、なぜデース!」
 ものすごく不満そうな顔で、アーサー・レイスが聞き返す。
「そろそろCMあけるでございます」
 時計を見ながら、電子兵機レコルダーが告げた。
「強制排除」
「分かりました」
「きりきり歩きなさい」
「あーん、早く出てくださーい」
「カレーは、カレーは、不滅デース」
 シャレード・ムーンに命じられて、一同がアーサー・レイスをスタジオから引きずり出していく。
 それを確認してから、シャレード・ムーンが下げていたカフを上げた。
「教えてシャレード・ムーン。質問のコーナーでーす。このコーナーでは、みなさんから寄せられた質問に、私、シャレード・ムーンが華麗に答えていっちゃいます。そこ、お悩み相談コーナーとどこが違うって突っ込んじゃいけません。こちらのコーナーは、お気軽お手軽がモットーなんです。
 さて、最初の質問はるっきーさんからです。
 ミッドナイトシャンバラの皆様、こんばんは。
 こんばんはー
 いつもこっそり楽しく聞いてたりします。
 こっそりですか。堂々と聞いてもいいんですよ。
 こないだ、面白…変な夢を見たんですよ。
 ゆる族が出てくる夢なんですけど、
 ゆる族の背中のチャックがジー…っと開いたかと思うと
 中から、一回り小さいゆる族が出てきたんです!
 で、またチャックが開いて、一回り小さいのが出てきて、
 またチャックが…ってのを何回も繰り返すんです。
 マトリョーシカですか。
 終いには、手の平サイズになってて。
 今度はチャックが開かないから、気になってチャックに触れたら
 爆発して…そこで目が覚めたんです。
 ミッドナイトシャンバラの皆さんは、
 そういう「変な夢」とか見たことってありますか?
 あえて言おう。
 ゆる族に中の人などいない!
 まあ、それはおいといてですね。
 前から疑問に思っていたんですけれど、ゆる族の人って、基本的には着ぐるみの下に鎧とかパワードスーツとか着てるんですよね。だから、見た目に惑わされると、実はとても固かったりする訳ですが。でも、たまに、着ぐるみの上からパワードスーツとか着ている人いますよね。それはそれで格好いいんでけれど、ヒーローの着ぐるみって、ゆる族の人は着ぐるみの上から着ぐるみを着るんでしようか。だって、本来の着ぐるみの下にヒーローの着ぐるみを着ても見えないから意味ないですよね。そうすると、本当にマトリョーシカゆる族っているのかもしれませんね。あっ、これって七不思議のコーナーむけのネタだったかなあ。
 じゃあ、次のおハガキ。
 ペンネーム、新江まちこさん。
 えーっと、しんえ? にいえ? 多分にいえですね。間違ってたら、またお便りください。
 ミッドナイトシャンバラの皆様、こんばんは。いつも楽しく聞いております。
 皆様は、趣味とか、最近はまっている事ってありますか?
 私は最近手芸を楽しんでいます。
 他の布に縫い付けてしまい慌てた時もありましたが…
 ああ、やったことあります。すっごく綺麗に縫えて、完璧って思ったら、自分のスカートも一緒に縫いつけてたりして。家庭科で、やったーって思いっきり縫った物を上にあげたらスカートまで持ちあげちゃって……。あれは恥ずかしかったなあ。いい黒歴史です。
 今の趣味は、そうだなあ、この番組かなあ。あ、趣味と仕事を混ぜちゃいけないですよね。失言、失言。
 次のお便りです。
 ペンネーム、振袖忍者ガール
 今日は私の友人の事で相談したくってお手紙出させて頂きました。
 その友人……とっても正義感のある男の子なんですけど、
 ちょっと暴走気味というか、やりすぎなところがあるんです。
 先日友達数人で温水プールへ行った時の話です。
 近くで悲鳴をあげている女性がいたんですが、
 慌てていたのか、海パンが脱げているのに、
 助けるために悲鳴が聞こえた方向に走って行っちゃったんです。
 えっ!?
 当然待っていたのは大惨事でした。
 他にも、勢いあまって女の子を押し倒しちゃったり、
 ええっ!!
 胸を揉んでしまったりとか……。
 うわっ、最低ですね。
 私は、その友人の将来が心配です。
 うんうん、よく分かります。
 何かアドバイスをしてあげたいんですけど、
 どうすればよいでしょうか?
 すでに終わってしまっているような気もしますが、でも本人には悪気はないんですよね。そこにまだ救いがある気がします。
 さて、次のおハガキはペンネーム、悩めるお姉様から。
 わたくしには、かわいらしいパートナーがいるのですが、
 最近は胸を揉んでもすぐに空蝉の術で逃げてしまうんです。
 ええと、それは逃げるのでは……。
 本当はスキンシップが大好きなくせに……、
 本当ですか? そんなに胸を揉むと、おっきくなっちゃいま……、あっ、何か、むこうの方から冷たい視線が刺さってきました。この話題はやめましょう」
 シャレード・ムーンは、副調整室から彼女のたっゆんな胸を刺すような敵意のまなざしで睨みつけている日堂真宵に気づいて、あわてて話題を変えた。
もっと素直に身体を許してもらうにはどうすればよいでしょう?
 どーして、一足飛びにそこへ飛びますか。あ、スタッフからストップがかかりました。次のおハガキに行けと言うことのようです」
 なぜか先を急ぐように話題に対して×印を掲げるアーサー・レイスを見て、シャレード・ムーンは次のハガキを手に取った。
 
    ★    ★    ★
 
「こ、こ、こ、この、めんつゆ、お、お、お、美味しいです、ね、ね、ね……」
 ラジオを聞いた久世 沙幸(くぜ・さゆき)が、話題を逸らすように素麺を口に銜えたまま言った。
「そういえば、前に似たようなシチュエーションで、見たくない者を見てしまったような気も……」
 そう言って、藍玉 美海(あいだま・みうみ)はチラリと武神牙竜の方を見た。本人は、何やら工場の隅の暗闇の方をしきりに気にしているようで、気づいてはいないようだ。
 そのうちに、次のハガキが読まれる。
「ねーさまったら、ろくでもないことしか考えてないんだからっ」
 投稿主に気づいた久世沙幸が、藍玉美海の方をジト目で睨む。
「まあ、そんなに私を見つめるなんで。これはもう、すぐにスキンシップをしなければ♪」
 言うなり、藍玉美海は久世沙幸にだきついていった。