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【臨海学校! 夏合宿!!2020】漕ぎ出せ海の運動会!

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【臨海学校! 夏合宿!!2020】漕ぎ出せ海の運動会!
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〜夕食、キャンプファイヤー!〜


 ベアトリーチェ・アイブリンガーは競技中も続々と運ばれていた魚をキレイに捌き、バーベキュー用に用意していた。七瀬 歩は魚と野菜を煮込んだスープを用意し、大きな魚はハーブと塩を固めて塩釜焼きにして準備していた。

 釣りを終えた霧島 春美は、自身が釣り上げた魚をほとんど活造りに仕上げていく。かといって、動いているのに抵抗がある人もいるだろうから、と一応動かなくしておいてから皿に盛りつけた。如月 佑也もその隣で他のメンバーが釣り上げた巨大魚達を捌いていく。えびにいたっては、頭は味噌汁にするという徹底ぶりだ。

「この鮭はせっかくだから刺身とちゃんちゃん焼きでも作るか」
「いいね! 大きな石の板もあるし丁度いいかも!」
「あ、ここに大きな鯛もあるので鯛ご飯も造りませんか?」

 如月 日奈々の申し出に、二人は頷いてすぐに作業に取り掛かる。意識が同じ方向を向いているからか、思いのほか短時間に数多くの料理を準備することが出来ていた。 

「あ、わさびとかはあるのかなぁ」
「アンしんしてくださイ。わさびならうちノ村にもあります」

 ナラ・ヅーケが霧島 春美に差し出したのは、確かに日本でもよく見かけるわさびだった。霧島 春美は笑顔で受け取ると、手際よくそれを摩り下ろしてそれぞれの皿に盛りつける。

「淡白なお魚が多いから、お塩で食べるとおいしいと思うよ」
「沢山造りましたから、いくらでも使ってくださいませ」

 ベアトリーチェ・アイブリンガーの言葉に、彼女も何度も頷いた。アルメリア・アーミテージは、弓で射落とした鳥をキレイに捌いて丸焼きを作った。中にはこの土地で取れる野菜と米を詰め込んだ。

「爆炎波ならすぐに焼けて便利ね。こんなものかしら?」
「デザートもありますし、あとは皆さんを呼びましょう」

 火村 加夜はわくわくを隠しきれない表情で冷やしたスイカの山を見つめていた。本郷 翔も人数分の果物にストローをさして準備を終えた。そこへ競技を終えてひと段落したケイラ・ジェシータたちが訪れる。

「お手伝いするよ」
「そりゃ猫の手も借りたいくらいだが……大丈夫か? リレー終わったばっかりだろ?」

 如月 佑也が心配して声をかけると満面の笑みで「大丈夫」と答えた。

「それに、響子も手伝ってくれるから」
「……猫の手も借りたい……僕の腕でよければ」

 といって、御薗井 響子はマニピュレータを動かして見せた。それがおかしくって、運営のメンバーは思わず笑い出してしまった。
 



 競技参加者達も人段落して、悠久ノ カナタの用意したキャンプファイヤーに火が入れられた。
 まだ空は明るかったが、それだけで参加者達は大いに盛り上がっていた。

「よーっし、さっそくアイドル小鳥遊 美羽のステージだよ!」

 真っ白なワンピース水着に、花々を飾ってトロピカルなアイドル衣装としてキャンプファイヤーの前に立った小鳥遊 美羽を、誰もが拍手と歓声で迎えていた。

「ネヴィルもおてつだいしようよ!」
「ええ! でもなんで水着にエプロンつけるの?」
「そのほうがかわいいんだよー」

 シリル・クレイドとネヴィル・パワーズは水着姿にエプロンをつけて、配膳係を手伝っていた。一部のモノ達には、鼻血モノだったようで、救護班のヴァーナー・ヴォネガットは休むことが出来そうになかった。クロス・クロノスは配膳係りにまわっているので、彼女にその負担が降りかかっていた。

 だが、本人はいたって楽しそうに眺めていた。
 昨年度はトラブルから開始した夏合宿が、こんなにも笑顔に包まれているのだから。

「まだ、明日もあるんだぞ?」

 いつの間にか、緋桜 ケイが彼女の隣にいた。その顔を見て、ヴァーナー・ヴォネガットはぱあっと顔を明るくする。鼻血止めを終えた彼女を、キャンプファイヤーから離れた砂浜の、丁度よく腰掛けられそうな岩場に案内する。きったばかりの、冷えたスイカを差し出した。

「ありがとうです、もういいんですか?」
「ちょっとだけ抜けさせてもらったんだ。今年も楽しい夏合宿だな」
「新しいお友達もいっぱい出来て、とっても幸せです」

 サイドテールがうれしそうに、海風に揺れている。賑やかさが少し遠巻きに聞こえる中で、小さな恋人達は唇を重ねた。
 空は既に闇に包まれ、砂浜には波の音が静かに聞こえている。星空が、今まさに楽しい思い出をそのまま映したかのように煌いていた。


「それにしても、魚ばっかりじゃなくってこんな肉まであるとはなぁ」
「餌に使おうと思ってたパラミタイノシシが余ってたからねー」

 イノシシの肉に食らいつくラルク・クローディスに、小鳥遊 美羽が説明をしながらお刺身を口にする。ミューレリア・ラングウェイと真城 桜紀も明日に備えて食事を楽しんでいた。

「おいしい?」

 ソア・ウェンボリスの膝の上に乗ったフクロウに、蜂の子を分けてくれたのは芦原 郁乃だった。フクロウは口にするたびに頭をくるくるとしてみせる。どうやら、このフクロウなりの喜びの表現のようだった。十束 千種も餌をあげる役をやらせてもらい、一口かじるたびに「わあ!」と驚きの声を上げていた。

「ありがとうございます。この子、すっごく喜んでるみたいです」
「あまっちゃったからねー。いっぱいもらったのにもったいなかったから」
「彩羽ー。沢山ご馳走おいしいね!」

 天貴 彩華が無邪気にはしゃぐのを見て、天貴 彩羽は純粋にうれしくわずかに涙ぐんでしまった。

「でさ、人魚ってどうやって子供作るの? ねね、おしえてよー」
『そんな、あまり人に話すことじゃ……』
「じゃあじゃあ、人魚の肉食べたら、不老不死になれるの?」
『うーん。だとしたらこの海の生き物の半分くらいは不老不死になっちゃいますね……私たちもこの海の食物連鎖の一部ですから』
「えーなんかつまらない。ちょっとかじらせて♪」

 茅野 菫はそういいながら、リレーで仲良くなった人魚達を口説き落としながら、やわやわとセクハラ三昧をしていた。同じく人魚と親しくなった戦部 小次郎は、オカマ人魚の手を逃れながら、リレー仲間と親睦を深めていった。



「さぁ! まだまだおわりませんよーーー!!」

 火村 加夜が合図を出すと、橘 綾音がスイッチを押した。ひゅーーーー……と、空に吸い込まれる音がしたかと思うと、盛大な爆発音が轟く。
 夜空に咲いた鮮やかな華は、合宿参加者の気持ちをわしづかみにした。