波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

リアクション公開中!

合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

リアクション

 赫夜はふっと笑って見せた。
「はは。よくそれでルルに叱られます。とはいえ、赫夜さんには思う人がいるようだし、俺の出番はないかな。赫夜さんに思われる御仁は幸せだ」
 その言葉に赫夜は困ったような顔をして、照れ笑いを見せる。
 そうしている間にも、理とルルーゼの試合は続いていた。理ののらりくらりとした態度に、ルルーゼが業を煮やし、【チェインスマイト】【ツインスラッシュ】を組み合わせ、斬撃を繰り出す。それを理は上手く交わしてみせたが、一瞬の隙を突いて、ルルーゼがバーストダッシュで一気に距離をつめて【ソニックブレード】を繰り出した。
 理はそれを布都御魂剣で受けとめて、流してしまう。
 そこで試合終了、引き分けとなった。
「理さん、本気ではありませんでしたね」
 銀髪をなびかせ、ルルーゼは理に詰め寄った。
「女の子を傷つけるようなことは嫌なんだ。気に障ったら許してくれ」
「…もし、次の機会があれば、本気を出して下さい。…ガッカリしました」
「それは申し訳ない。では再戦があれば、僕の本気を君にぶつけよう」

★一旦、試合はプログラム上、休憩を挟むことになった。★

「こんにちは、真珠ちゃん。アルメリア・アーミテージ(あるめりあ・あーみてーじ)よ、よろしくね」
「あ、はい、よろしくお願いします」
「ねえ、少しお話ししない?」
「は、はい…」
 少しおどおどした様子の真珠にアルメリアはにっこりとほほえみかけて、警戒心をとこうとする。
「真珠ちゃん、悩みがあるようだから…ああ、ワタシね、そういう人の気持ちに敏感なの。可愛い後輩が悩んでいる姿を見ているのが辛いのよ。ねえ、恋をすることに悩んでいるのよね?」
「…ええ。私は姉様みたいに一途に思える人がいなくて。いっそ旅にでも出てみようかな、なんて…」
「旅だなんて! あなた、異性に限定しててはダメよ。世界には色んな愛の形があるの。たとえば男同士、女同士…真珠ちゃんとワタシってことも…」
 すうっと身体を近付けてくるアルメリアに
「え? え?」
 と困惑する真珠。
「真珠ちゃん、あなたとっても可愛いわ」
「はーい、そこまでー!」
 顎を腫らした周と目の下にクマができてる総司が割ってはいる。
「もー可愛い子同士くっついてどうすんだよ!」
「いいところだったのに〜」
「俺と付き合おうぜ! アルメリアちゃん! 可愛いじゃん!」
「え!? ちょ、ちょっとなによ、それ!」
 意外にウブなアルメリアはドギマギして周を突き飛ばしてしまう。


 一方、真言や涼司たちも、パーティ会場へと戻ってくる。
 コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)はスマートなジャケットに蝶ネクタイといういでたちである。それは細身のコハクには良く似合っていた。わざわざコハクのところまで、グラスを取りに来る女子生徒もいたほどだ。
「みんな、今日はゆっくり楽しんでね」
 コハクは手際良く、紅茶を振る舞う。広瀬 ファイリアや、コハクの親友である鈴木 周にも最高の紅茶を淹れてやる。
「周、どうしたの、その顎」
「ちょっとな…ひさしぶりの再会を果たした証だぜ」
 赤く腫れている顎をさすりながら、周はコハクのお茶を楽しんでいる。


 一息つこうとグラスをとった山葉 涼司に、バイオリンを奏でる一人の美しい女性が近づいてくる。オレンジ色のドレスを纏い髪を結ったスタイルの良い若い少女だった。仮面をつけて、涼司に向かって素晴らしいバイオリンの音を奏でる。
 その音色に涼司もすっかりと引き込まれてしまっているようだった。
 一旦、演奏が終わると涼司は心からの拍手を送った。
「君はなんと言う名前なんだい?」
「…『ムーサ』と、いいます。では次の曲を涼司さんに捧げます。校長職、お疲れ様、そしてお祝いの気持ちを込めて。お耳汚し、ご容赦あれ」
 落ち着いた声で『ムーサ』はまた、切なくなるようなそして心地が良くなるような音色を奏でると、軽くステップを踏みながら、涼司に近づく。
 うっとりしている涼司に、にっこりとほほえみかけると「まだ気付かないかい山葉君?」と『ムーサ』は仮面を取った。
五月葉 終夏(さつきば・おりが)…!? いつものボーイッシュな感じと全く違うから、分からなかったぞ…それにしても、大した変身ぶりだ」
 終夏はその言葉にくすっと恥ずかしそうに笑みをうかべ、一礼した後、終夏はまたヴァイオリンを奏で始めた。


「あのう、もしよろしければ、ファイと一曲踊って頂けませんでしょうか、真言さんっ!!」
 黒のロングパーティードレスと、ヒマワリの銀細工の髪飾りを付けてドレスアップした広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)が勇気を出して、生徒達と談笑してる真言に声をかけた。
「このように可愛らしいお嬢さんとわしがダンスを踊っていいものかな?」
「お願いします!」
 真言はファイリアの手を取ると、それを見計らって楽団がワルツを演奏し始めた。
「お姉ちゃんらしいっスけど、女の人から誘うダンスってマナー違反だったりとかしないっスかね……?」
 広瀬 刹那(ひろせ・せつな)はそう呟くと、少し離れたところから複雑そうな顔をしてファイリアと真言を見つめている真珠に声をかけた。
「すいません、真珠さん、真言さんに声をかけようとしてたんじゃないですか、邪魔してしまってたらごめんなさいっス」
「ううん、勇気がでなくて…ダメね。私」
「真珠さん。お姉ちゃん、真珠さんと真言さんと仲良くなって欲しいけど、真言さんがどう考えているのか知りたい、って考えてああいう形で行動してしまっただけなんですっス」
「ありがとう。私、お爺さまがワルツを踊れるなんて知らなかったから、びっくりしちゃった。…なんだか妙にお似合いのふたりね。お爺さまってあんなに素敵だったかしら…ファイリアさんが引き立ててくれているのね」
 一方、真言と踊っているファイリアはステップを踏むのに四苦八苦していた。
「……はわわーっ!? ごめんなさいですっ、次は、こっちに動くのでしたですね……次は気をつけますですっ!」