葦原明倫館

リアクション

　Ｅｐｉｓｏｄｅ１　〜Ａｒｋａｄｉａ〜

　〜Ｐｒｏｌｏｇｕｅ〜
　
　
　――ヒラニプラの大廃都のとある町に、元ドルイドのテクノクラートが住んでいました。彼は研究の末、『智恵の樹』という植物を生み出します。それは、笑顔と繁栄をもたらす幸せの果実を実らせました。
　果実の恵みで、町の人達は新しい知識と発展、覚醒の後の変化を体験することになります。実の存在は他の町でも噂になり、たくさんの人々が智恵を求めて訪れます。
　ですが、それから間もなく町は消えてしまいました。
　町の在った場所には神殿が建ち、其処はアルカディアと呼ばれました。
　手に入らなくなった奇蹟の実を求め、人々は神殿を訪れます。その神殿は――

　始まりは、とある図書館のとある文献。ヒラニプラに伝わる昔話。智恵の実で栄えたとある町のおとぎ話。
「大廃都ですか……ふむ、面白そうですね」
　エッツェル・アザトース（えっつぇる・あざとーす）は本を閉じると立ち上がり、共に来ていたネームレス・ミスト（ねーむれす・みすと）に声を掛ける。
「私の知識欲が刺激されました。すぐに大廃都へ行きましょう。調査開始です。お手伝いしてください」
「…………。主公の……お手伝い……調査の……お手伝い……」
　ネームレスは、無言のままにエッツェルについていく。図書館を出て歩きながら、その口から呟かれる言葉は。
「お手伝い？　……何を……すればいいので……しょうね？」