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続・悪意の仮面

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続・悪意の仮面

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第八章

「あれは、仮面! 見つけた……!」
 街に向かう龍心機ドラゴランダーの姿を見かけた高峰 雫澄(たかみね・なすみ)は咄嗟に判断して追いかける。
 その途中で龍滅鬼 廉(りゅうめき・れん)とかち合った。
「どうした、そううなに急いで」
 雫澄の慌てた様子に疑問を感じ、廉が雫澄に尋ねる。
「ごめん、今悪意の仮面を付けた人を見つけて……」
「悪意の仮面……確か、今ヒラニプラに出回っているという? ……噂は本当だったのか」
「あ、うん」
 雫澄は頷いた。
「なら、そのままにもしておけないであろうな。私も……」
「警察だ! そこを動くな!」
 そこへ、マイトの鋭い静止の声がかかる。
「警察?」
 もちろん身に覚えはないのだが、それが自分に向けられたように感じ、雫澄と廉は足を止めた。
「仮面を付けた犯罪者たちは、俺たち警察が対処する。学生には大人しく帰っていてもらおうか」
 マイトは手錠を取り出しながら、近づいてくる。
「なんで? 僕たちも悪意の仮面をなんとかしようとしているだけなのに?」
 雫澄は問いかける。
「それは警察だけがやればいい仕事だ。学生には関係ない。もし、言う通りにしないというなら公務執行妨害で逮捕する」
「それっておかしいのではなかろうか。協力しようとすることの何が悪いというのだ?」
 マイトの言葉に理不尽さを感じ、廉は疑問を浮かべた。
 そんな中、雫澄はマイトの顔の仮面の正体に気が付いた。
「それは、悪意の仮面じゃないか!? なんで君が付けてるんだ?」
 廉は驚きの声をあげる。
「何、悪意の仮面だと?」
 廉もようやく何が起きているのか把握し始める。
「ところで今、話を聞いていると高峰は仮面をつけた者でも追っていたんだったか?」
「え、うん。被害が拡大しないように止めようと思って、追ってたんだよね」
「……それをわざわざ邪魔しに出てきたのか。なるほど、奴のやりたいことはそういうことか」
 廉は理解したのか、大きく頷いた。
「まだ、諦めないというのか?」
 マイトは最後の問いかけをする。
「悪意の仮面は大変なものらしいからな。そのまま放っておけるわけがないであろう? だから、その仮面も俺が壊してやろうっ!」
 廉は駆け出す。
 マイトの頭部目掛けて、面打ちを繰り出そうとした。
「そうか、ならばこちらも遠慮はしない」
 マイトは廉が剣を振り下ろそうとした瞬間を突き、懐に飛び込んで押し倒す。
「な……っ」
 体術でもって押さえつけられ、廉が手錠をかけられそうになったところを雫澄の焔のフラワシが近くで炎を巻き起こす。
 突然の発火に驚いたマイトは急いで廉から距離をとった。
「フラワシか? これは君のか。君も俺の邪魔をするのか?」
「邪魔じゃないよ。それよりも、君はその仮面を早く外すんだ。それが良いものじゃないとわかっているんだよねぇ?」
 雫澄は説得を試みようとする。
 しかし、マイトはそれを無視し、スタンスタッフを取り出しながら駆け寄ってきた。
「邪魔をするのなら、無理にでも止める!」
「うわっ!」
 雫澄は両剣形態にしていた可変型複合兵装『カラドリウス』を取り出し、スランスタッフの電撃が当たらないようにかわした。
「ちょ、こっちは穏便に済ませようと思ってたんだけど。そう来るならこっちも仕方ない……!」
 雫澄は、カラドリウスをしっかりと構え直し、マイトを見据えた。
「やっと見つけましたわ、マイトさん!」
 その時、くららが飛び込んできた。
 それと同時に氷術をマイトの足元に放つ。
「……っ、外しましたか」
 駆け込んだ勢いで外してしまい、くららは悔しげに息を吐く。
「マイトさん、お願いですからもうやめて下さい」
 しかしくららはめげずに呼びかけた。
 マイトの動きがふっと止まった。
「なぜ、そうまでして皆俺の邪魔をするんだ。全て警察に任せれば良いことだろう……」
 マイトは並んだ三人を見渡し、とうとう心の内を吐き出す。
「何をするにも、警察が一番正当性をもって動くことが出来る。それなのに、なぜ契約者たちはそうも出しゃばって来るんだ……!」
「正当性……? じゃあ、君は今、金元さんが不当逮捕をしていることも正当だって主張するの?」
 雫澄の問いに、マイトは鼻で笑った。
「何かしらあるから逮捕されるんだろ? 不当逮捕だなんて、犯人側の言いがかりだ」
「そうでしょうか。私はあなたを追ってここに来る前、顔が怖いのが罪だといって一般人を捕縛していたなななさんを見かけましたわ」
「は……?」
 マイトはくららの言葉に固まる。
 その隙にくららは氷術でマイトの足を凍らせた。
「しまった……!」
 我に返ったときにはもう遅く、廉の剣が仮面を切り捨てていた。