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続・悪意の仮面

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続・悪意の仮面

リアクション

 レリウス・アイゼンヴォルフ(れりうす・あいぜんう゛ぉるふ)は「人の心、草の心」を使用し、金元 ななな(かねもと・ななな)の所在を追っていた。
「金元少尉の居場所がどこかわかりますか。……はい、……はい。ありがとうございます」
「どうだ、居場所は掴めそうか?」
 パートナーのハイラル・ヘイル(はいらる・へいる)は進捗を尋ねた。
「この辺は通ったらしいですね。東の方に向かったらしいです」
「へえ、大分近付いてきたじゃないか」
 ハイラルは感心したように返した。
「あ、あそこに猫もいますね。少し尋ねてきます」
「おー」
 猫の元に向かうレリウスにハイラルは手を振る。
「というか、これ普通の人から見たら結構危ない人に映りそうだよな。会話する相手が草花だったり動物だったりで」
 ふと思って、ハイラルは呟く。
「まあ、珍しくあいつのスキルが最大限に発揮出来ているんだ。それはそれでいいか」
 少し悩んだ後、ハイラルはそう結論を出した。



「ななな、どこにいるのかな……?」
 目撃情報はあるものの、なかなか見つからないなななにルカルカ・ルー(るかるか・るー)から幾度目かのため息が漏れる。
「ティーカップパンダもいることだし、感知してきそうなものだけどな」
 パートナーのダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)もどうしたものかと頭を悩ませる。
「誘き出そうというなら、もっと強力な電波を飛ばした方がいいんじゃないの?」
 リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)が意見を出した。
「あら、それなら心配ないわ。ななななら私みたいにしている人間を放っておけなさそうだもの」
 背後からビックバンダーッシャーに乗った宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)が近付く。
 タンクトップにビキニラインのホットパンツと、随分と際どい格好をしており、なななでなくとも目を付けそうだ。
「ほら、そろそろね」
 そんな、なななにとって感知しやすい色々な電波が集合した時、なななは彼女たちの前に姿を現した。
「そこーー! その危ない格好は違反だから、なななが逮捕するよ!」
 なななは祥子を指して声をあげた。
「ほら、来たわね」
 祥子がしてやったりと笑みを浮かべた。
「それじゃあ、やられる前からこっちでお仕置きさせてもらおうかしら。今回のことは本当に目に余るわ」
 祥子はビックバンダーッシャーから降りる。
 そのままなななに対峙しようとしたところを、リカインは制止した。
「待って、その前に私から説得させてもらうことって出来ない?」
 リカインの申し出に祥子は足を止める。
「早く前に出ないと、余計に罪が重くなるよ!」
 そんな祥子を急かすななな。
 祥子はため息を吐いて一歩引いた。
「まあ、説得でなんとかなるならやってみなさいよ」
「なんとかしてみるわ。――なななくん!」
 リカインは一歩前に出て、なななに呼びかけた。
「何? もしかして庇うの? そんなことをするなら宇宙公務執行妨害であなたも逮捕するよ!」
 なななは邪魔をされたと思い、機嫌を悪くする。
「そうじゃないの、私もなななくんがやっていることは正しいと思ってるもの」
『え』
 その場にいたななな以外の全員がびっくりしたようにリカインを見る。
「なななくんはただ、宇宙刑事として頑張ってるんだものね」
「あなたは……なななが宇宙刑事だってちゃんと信じてくれてるの……?」
 なななの様子が変わる。
 それに畳みかけるようにリカインは続けた。
「ええ。でも……今回は宇宙刑事としてはやりすぎだとも思うの」
「そ、そうよ! しっかりして、ななな。宇宙刑事なんでしょ。仮面なんかに負けないで!」
 ルカルカも込み上げる熱意のままになななを励ます。
「だから、その仮面を外そう?」
 なななの体が震える。
 説得は上手くいきそうに見えた、が。
「ななな、まったく悪いことしてないもん」
「え……」
 返ってきた答えに、リカインは目を丸くする。
「今日の逮捕は全部正しいんだから!」
 どうやら、自分を完全に悪とは認めたくないらしいなななが逆上してしまったらしかった。
「ななな……!」
「どうやら失敗のようだな。こうなったら無理矢理仮面を取るしかなさそうだ」
 説得の失敗に悲壮な気分になりかけたルカルカを引き戻すようにダリルは告げる。
「そ、そうだよね。ななながもっと酷いことする前にも止めなくっちゃ。ダリル、なななが逃げられないように頼むよ」
「了解した」
 簡単なやり取りを終え、二人はなななを挟むように左右に分かれた。
「あーあ、説得は失敗か。このままじゃ、乱戦になって邪魔になりそうだから少し離れることにするわ」
 リカインは彼らから距離をとる。
「さーって、ここからが本番ね。話しても分からないというなら、私も本気でかかるとするわ」
 祥子はルカルカとダリルに位置するところでなななに対峙する。
 これで、なななは三方位が囲まれた状態になった。
「そう、皆してなななの邪魔をするんだね。こうなったら、全員公務執行妨害で逮捕します!」
 なななはミラージュを使用して分身をする。
 そこからカタクリズムで全体に念力攻撃を仕掛けた。
「っく、こんなものっ!」
 攻撃を受けて後退してしまうものの、祥子はすぐに持ち直してたくさんいるなななに歴戦の武術で攻撃する。
 しかし、手応えはなく、幻影が数体消えただけだった。
「なななっ! ルカルカだよっ! お願いだから正気に戻って!」
 ルカルカが呼びかけるものの、どのなななも無反応だった。
 しかし、その内のひとりが不利な状況から離脱しようとしてか、走り出す。
「ダリル!」
 ダリルはゴッドスピードでなななの前に回りこんだ。
「これで終わりだ」
 ダリルは魔道銃仮面に向ける。
「サイコキネシス!」
 しかし、なななが魔道銃を術で跳ね飛ばした。
 なななはその隙にダリルの横を擦り抜け、サイコキネシスで近くにあった積荷を崩した。