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リアクション
第九章
「うわ、何だあれは……街に向かってるようだけど、どこか様子が……」
四谷 大助(しや・だいすけ)は四谷 七乃(しや・ななの)を背負ってトレーニングをする途中、建物にも隠れない巨体を見て足を止める。
「ふわー……おっきいですねー。七乃、ペットにして玉乗り仕込みたいです!」
「七乃、お前な……玉乗りとかそんなこと言ってる場合か。街に着く前に仕留めるぞ」
「了解です、マスター!」
七乃の返事を受け、大助はドラゴランダーたちの後を追っていく。
すぐ近くまで辿り着くと、大助はドラゴランダーを見上げた。
「この巨体じゃ捕縛は無理だな……少し、痛い目をみてもらうぜ。七乃!」
「はい、マスター」
七乃は六式の魔鎧に変化し、大助はそれを纏った。
そして、大助はその前に飛び出した。
「ここから先は行かせない! 行くというなら、無理矢理にでも止めさせてもらうからな!」
大助の存在を認識し、コアたちの動きは止まった。
「もう〜っ、あたしの邪魔をしないで!」
『アンギャアアアアアア!!』
ラブの憤慨した声と、ドラゴランダーの咆哮が重なる。
「ぅ、おっと……!」
ドラゴランダーが踏みつけようと足を上げる。
さすがに大きさには敵わず、ドラゴランダーから距離をとった。
「ちっ、やっぱりそう簡単に攻撃できそうもないか……っ。こうなったら、力を貸せ、ブラックブランド!」
大助は魔拳ブラックブランドで攻撃力を強化する。
そうして再びドラゴランダーに対峙しようとするが、
「わっ……おっと……!」
夢浮橋に乗ったコアが空から降下しながらスミスハンマーを振り下ろした。
「これじゃあ、近付くことも出来ないじゃんか」
ドラゴランダーから離れた瞬間、コアはまた上空へ戻っていく。
あまりに不利な状況に、大助は歯噛みした。
「だが、やられっぱなしでいるもんか!」
大助はドラゴランダー目掛けて走る。
なんとか足に食いつき、歴戦の武術でダメージを与える。
だがそこで振り払おうとしたドラゴランダーが足を振り上げ、大助は勢い良く蹴飛ばされた。
「……っ!」
壁に激突し、大助は痛みを堪えるように蹲る。
コアたちは邪魔者が動けなくなったと判断し、再び街の方を目指し始めた。
「……ふう。コアからの通信が気になって来てみれば……なんだあれは。噂の仮面は付いてるし、瞳は赤いしで大変なことになってるじゃないか」
そこへ、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)とそのパートナー、エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)と紫月 睡蓮(しづき・すいれん)、プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)が駆けつける。
「と、いうよりコアの瞳が赤くなっているのは初めてではないか?」
「確かに、見たことありませんね」
エクスの呟きに、睡蓮も同意する。
「それに、随分と危険なことも呟いているみたいですね」
プラチナムの言葉に、コアへと注意を向ける。
『破壊ダ……我ハ、全テヲ、壊ス……!』
「そんな……ヒーローがこんなことするなんて……。ただの噂だと思ってたのに……!」
那由他 行人(なゆた・ゆきと)はショックを受けたように立ち竦んだ。
「大丈夫よ、行人。仮面が外れればコアさんも元のコアさんに戻ってくれるわ」
元気づけるようにアイリス・レイ(あいりす・れい)が声をかける。
「それに、もし本当なら僕たちの手でコアさんを元に戻すって言ってたよねぇ?」
「……ああ!」
彼らのパートナー、永井 託(ながい・たく)の言葉に、行人はしっかりと頷いた。
「でも、彼らを戻すと言っても、あの様子だと一筋縄じゃいかなそうだよね」
「おいおい、しっかりしろよ。街を守りたいって先に言い出したのはお前じゃねーか」
霧丘 陽(きりおか・よう)の弱気な発言に、パートナーのフィリス・ボネット(ふぃりす・ぼねっと)が思わず突っ込みを入れる。
「そうだったな。よし、気合を入れ直さないと!」
陽は拳を強く握った。
「ほう、随分と契約者が集まっているではないか! これだけいればあれを阻止できるんではないか?」
「そうですな」
ドクター・バベル(どくたー・ばべる)にパートナーのノア・ヨタヨクト(のあ・よたよくと)は同意を示す。
「だが、この天才的な俺がいればさらに無敵だ! ヨタヨクト、俺たちは俺たちのやり方で止めるぞ!」
「了解した、マスター」
「普段、正義がどうのこうのと五月蝿いことを言ってるやつがこんなにまで悪事を働くようになるとはな」
ドクター・ハデス(どくたー・はです)はコアを見ながら、驚いている様子だ。
「まさか、あのハーティオンさんやドラちゃん、ラブちゃんが悪事を働くなんて何かの間違いです! ここは私が止めます!」
ハデスの妹、高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)は意気込んだ。
「珍しくやる気ではないか。そうだな、俺もヤツらを倒すチャンスが来たようなものだしな。そうして、コア・ハーティオンらを倒したあかつきには、そのボディをじっくりと研究し――」
「兄さん!」
咲耶はムッとしてハデスの言葉を止めた。
「はわわ……ヘスティアも頑張りますね……!」
ハデスのパートナー、ヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)は後ろで控えめに気合を入れた。