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イチゴの化け物!?

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イチゴの化け物!?

リアクション

「イチゴモンスター食べてましたわ……」
 雅羅は、先に敵を片付けてくれていたことに感謝すると共に、イチゴモンスターを食べていたネームレスをみて驚いていた。
 だが、そんなのは気にならないくらいに予想外のことが先に待っていた。
「フハッハッハ! 見つけたぞ!」
 高い笑い声と共に雅羅達の目の前に3人が立ちふさがる。
 ドクター・ハデス(どくたー・はです)ヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)だった。
「あ、あなたたち、何なの?」
 モンスターではなく、一般の生徒が目の前に立ちはだかることに雅羅は混乱を隠しきれずにいた。
「我ら秘密結社オリュンポスの秘密基地の侵入者感知器がお前達をとらえた」
「スイッチ……って、あのとき踏んだスイッチの事……かしら」
 雅羅は、手を額に載せると、小さくため息をついた。
「ふっ、お前達は我らの秘密結社をかぎつけたスパイだな?」
「えっ!? 違いますわ!」
「うそをつけっ!」
 聞く耳はもたないと言うように、ドクターは雅羅の否定をはねのけた。
「ボクたちは、ただイチゴモンスターを退治して大きなイチゴをもらいたいだけなんだけどなあ」
 雅羅の後ろから出てきたレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)はドクターを鋭い目で見ながら言った。
「平和なイチゴさん達を退治なんて、オリュンポスの騎士として許せませんっ!」
 答えたのはドクターではなくアルテミスだった。その表情は真剣だ。
「人造人間ヘスティア! ヘルハウンド怪人アルテミス! 奴らからこの山を守るぞ!」
 そして、強いかけ声と共に、ドクター、ヘスティア、アルテミスは攻撃の構えを取った。
「やるしかないみたいですね……」
 カムイ・マギ(かむい・まぎ)が、レキの後ろから現れると反撃を取れるようにと警戒をしていた。
 雅羅とレキもカムイを見習って構えを取ることにする。
「まちなさい!!」
 対峙するメンバー達の間に想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)が叫びながら入ってきた。
「みなさんこんな所で争ってる場合じゃないわ!! 周りが――」
 全員がそれと同時に周りを見渡す。高さ一メートル程度のイチゴモンスターから、高さ二メートルはあるイチゴモンスターまでずらりと360度まばらに姿を現していた。
「しまった、この人達に警戒を向けてたから、囲まれていることに気がつかなかったよ!?」
 レキは慌てて、ドクターに背を向けて、後ろに居るイチゴモンスター達と対峙する。
「フハハッ、敵に背を向けるとは愚かな!」
「あなたたちも前方、いやあなたたちから見たら後ろのイチゴモンスターをどうにかした方が良いと思いますが」
 レキと同じように後ろに向く際、カムイはドクターに言い放った。
 ドクターの表情が次第に困惑へと変わっていく。
「うぐぐ、こういう場合どうすればいいんだ、人造人間ヘスティア」
「えっ、うーん……昨日の敵はきょうの友という言葉がありますが……」
 ヘスティアはもじもじとしながら、ドクターの相談に答えた。
「フッ、よかろう。人造人間ヘスティア! ヘルハウンド怪人アルテミス! 作戦変更だ。昨日の敵は今日の友! 後ろのイチゴたちを片付けるぞ!」
「えっ……、あっ、いえ。そうですよね、みんなを危険から守るのが騎士としての役割!」
 オリュンポスの騎士である、アルテミスは乾坤一擲の剣を構え、イチゴモンスターが襲ってくるのに備えた。
 それと同時に、イチゴモンスター達が一斉に襲いかかってくる。
 だが、雅羅以外に襲ってくるモンスターが二匹程度なのに対し、雅羅だけ一五匹近くのイチゴモンスターが迫ってきていた。
「災難体質おそるべしっ」
 レキが首をかしげながら、イチゴモンスターと闘う中、瑠兎子が飛んできた。
「レキさん、みんなで雅羅ちゃんの周りに集まれば、うまく護衛出来るんじゃないかしら」
 瑠兎子の提案に、レキとカムイは「おおっ」と言うと、すぐに雅羅の元へと駆けつけた。
「なんだろう?」
 ヘスティアは一カ所に集まる、雅羅達を見て止まっていた。
 突然、ヘスティアの目の前にカムイが現れる。
「えっ!?」
「お願いがあります……」
 一方、アルテミスはイチゴモンスターと闘ってると見せかけ、トラップと闘っていた。
「わわっ!? こんなところに大きな石ころが」
 派手にこけるアルテミス。だが、手を地面に置いたとたんカチッという音と共に白いもやに包まれる。
「ど、ドクターのトラップです!?」
 斬りかかる回数よりも、このような罠に何度もかかっていた。
 瑠兎子は必死で雅羅をイチゴモンスターから守ろうとしていた。
「かっこいいところ見せるつもりが、ぐだぐだになってきたわね……」
 敵が多すぎたために、なかなか倒せずにいた。
「レキ、瑠兎子、雅羅さんも、少し後ろに下がってください。今からたぶん……ミサイルが飛んできます」
「「ミサイル!?」」
 カムイの言葉に、瑠兎子と雅羅は目をぱちくりとさせていた。
「ええ。協力を頼んだので」
「むう、もうちょっとワタシはイチゴモンスターを倒すところを雅羅ちゃんに見せたかったのだけれど」
 瑠兎子が少し残念そうな顔をする。
「すみません……」
 カムイが申し訳なさそうに謝るが、瑠兎子は首を大きく横に振った。
「ううん、雅羅ちゃんが無事になるならそれが一番よ」
 気がつけば、さすがとばかりにイチゴモンスターは雅羅へと全部向かって来ていた。
 それを瑠兎子とレキ、カムイが押さえる。
「セーフティー解除! ターゲットロックオン! 全弾発射です! みなさん気をつけてくださいね!」
 突然、ヘスティアの声が雅羅達の元へと飛んでくる。
 次の瞬間、遠くの点が大きなロケットとなっていき、雅羅の目の前に居るイチゴモンスター達は全滅していった。