波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

謹賀新年。黄金の雨の降り注ぐ。

リアクション公開中!

謹賀新年。黄金の雨の降り注ぐ。

リアクション

 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)夏侯 淵(かこう・えん)とともに梅坂屋
に来ていた。葦原で初日の出を見て、そのまま正月の街にやってきたのだ。
 福袋を買ったところ、下着だった。
 唖然とするルカ。
「これは…洒落?それとも、これがここの文化なの? これって福袋としてはあり?」


 店から出ると、岡っ引きや役人が駆け回り、伊勢屋と書かれた羽織を来た男達が一点を見つめて叫んでいた。町
の人々もしきりに「ウサギ小僧、ウサギ小僧」と叫んでいる。ルカ達は訝しげにそれを見つめた。
 そこへ、竜胆達が走って来た。
「あれ?」
 竜胆は足を止める。
「あそこを行くのは……」

 竜胆は、手を振って声をかけた。
「ルカさん、ダリルさん、夏侯淵さん!」
 その声にルカは「あら?」と驚き「竜胆さん?」と声をかけ返す。
「やっぱり」
 竜胆は懐かしさのあまり破顔した。そして、互いに駆けより深々と頭を下げる。
「竜胆さん、ちょうどご挨拶に行こうと思ってたんだよ。あけましておめでとうございます」(ぺこり
「ルカさん、あけましておめでとうございます。昨年は色々とお世話になりました」
 さらに、ダリルがルカの頭抑えてお辞儀させつつ言う。
「今年もうちのたんぽぽ頭を宜しくしてやってくれ」
 ルカが目を閉じて「うにゃー><」と言う。
「こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします」
 竜胆は再度深々と頭を下げた。
 夏侯淵が言う。
「竜胆殿、息災であったか?」
「ええ。おかげさまで」
「また会えて嬉しいぞ」
「私もです。みなさま、葦原においでになっていたのですね」
「うむ、今年の正月は葦原に逗留しておるのだ」
「そうですか。私は始めて葦原でお正月を迎えたのですが、とても賑やかで楽しいですね。あ、そうそう。あの時
いただいた、小蛇ちゃん。今日もともに正月を楽しもうと連れて来ているのですよ」
 そう言って、竜胆は以前夏侯淵からもらった小蛇を袖から出して見せる。
「おお、仲良くしているのだな。なによりだ」
 夏侯淵は嬉しそうに破顔した。
「ところで何か街が騒がしいのはどうして?」
 ルカは走り回る岡っ引き達に目をやって言った。
「ああ、実は……」
 と、竜胆はウサギ小僧ろからくり人形師の天女の一件を話した。
「そういうわけで、十兵衛が菊屋の聞き込みをし、私とハヤテでウサギ小僧を捕まえようと町を探していたのです。
そして、先ほどこの辺りにウサギ小僧がいるという情報があったので、急いでかけつけたのですが……」
 ちなみに、ハヤテは一足先に火の見櫓に登ってしまって、ここには居ない。

「なるほど、そういう事だったんだね」
 ルカルカはうなずく。
「正月だから賑やかなのかと思ってたよ。あはは」
 そこに、ハヤテが戻って来た。
「ウサギ小僧の奴、もうここには居ないみたいだぜ。櫓の中には影も形も無かったよ」
「なんですって?」
 竜胆は落胆した。
「逃げ足の速い奴ですね」
 落胆した竜胆を見かねて、夏侯淵が言う。
「俺達も何か手伝おう」
 「そうだね」と、ルカがうなずく。
「じゃあ、ルカは菊屋で事件のウラを取るよ。何か分かったら連絡するから持ってて」
 そして、竜胆に予備の携帯を渡した。
「俺も菊屋へ行こう。人形そのものに興味があるからな」とダリル。

「それでは、俺は街の聞き込みをしよう」と夏侯淵。
「それから……」
 と、ルカは福袋の中身を竜胆に見せて言った。
「竜胆さん、好きな下着あったらあげるよ」
「ええ!?」
 竜胆は、そこに入っているランジェリーを見て真っ赤になった。