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リアクション
「きゃっ!?」
悲痛な女性の声が2階客室25号室に響き渡る。
20代前半と思われる若い女性は、鏖殺寺院の銃口を向けられていた。
「させませんよっ!」
騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が素早く、銃口を女性に向けている鏖殺寺院を隠し持っていた機晶スタンガンで倒す。
その一瞬の攻撃に鏖殺寺院は叫び声すら出せずに倒れる。
「あ、ありがとうございます!」
女性はお礼を言うと、急いで安全な物陰へと走っていった。
「ふう……まさかこんなことになるなんてね〜」
客室25号室の乗客達は、言ってしまえば活動的だった。
放送が流れて30分もしない間に、客達は結束し一斉に鏖殺寺院へと攻撃をしかけていたのだった。
そして今も、鏖殺寺院達がこの騒動を押さえようと必死になって駆け込んでくる。
「大丈夫かい、騎沙良君」
ため息をついていた詩穂の元にエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が心配して声をかけに来てくれる。
エースは大騒ぎし始めた乗客達をまずはじめに落ち着かせた本人だった。
「鏖殺寺院って、なんだか自称・寺院に聞こえるんだよねえ」
「そ、そうですね」
詩穂は予想外の会話に、戸惑いながら答えた。
「きゃっ!?」
少し離れた位置で、リリア・オーランソート(りりあ・おーらんそーと)が鏖殺寺院の一人追い詰められかけていた。
「――え?」
詩穂は慌ててリリアの元に駆け寄ろうとしたがエースの腕がそれを止めた。
「大丈夫だよ」
リリアを襲おうとしている鏖殺寺院の背後にはいつの間にか、メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)が立っていた。
「リリアを遅うとは良い度胸ですね。せっかくの優雅な旅も大事にしてしまいましたし」
メシエはスキルなどを使うまでもなく素手で鏖殺寺院を叩き倒した。
「ありがとうとお礼をいっておきますわ」
「レディはおとなしく下がっていた方が賢明かと」
「なっ!?」
メシエは平然とリリアに言い放った。リリアの心にその言葉が響き渡った。
「ふんっ、なら私をしっかり護りなさいよ」
メシエはリリアを護りながら、リリアはパワーブレスで援護しながら近寄ってくる鏖殺寺院達を倒していた。
「なんだかんだであの2人仲が良いみたいだから」
「なるほど……」
エースは心配そうに見守っていた詩穂に笑顔で答えた。
「うわっ!?」
再び前方で男性の叫び声が上がってきた。
詩穂は慌ててフラワシを向かわせるなどして、縦横無尽に乗客を護ることに大忙しだった。
「さて……爆弾も解除してくれたみたいだし、そろそろ連絡を入れるかな」
梅琳が最後の爆弾を解除してくれたことを横目で確認したエースは、「客室安全確保」の電話をかけた。
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