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「要するに、単純な話だったってわけよね」
 全てが終わってセッカの探偵事務所、セッカが総括するように言った。
「弟と妹を探す兄貴は善人で、通り魔やってたやつは悪人」
「まとめすぎです」
 すかさずアーティの突っ込みが入った。この人は本当に探偵なのかよ、と顔に書いてあるようだった。
 セッカはそれに構わず続けた。
「そもそもあなたがこそこそしながら尋ね回ってたのがよくない」
 机に頬杖をついて視線を向けた先には、セレアナと拳を交わした男が肩をすくめていた。
「仕方ないだろう。仕事関係で鏖殺寺院のいざこざに巻き込まれたんだ」
 なんの仕事をしていたのやら。
「なんとか逃げ切ったのはいいが、おかげで弟と妹と生き別れ、今となっては全く行方知れずだ。兄なんだから、弟と妹を心配するのは当然のことだろう」
「兄妹思いで立派だけど、やり方がまずいよ。あちこち行って来る日も来る日も弟と妹のことを尋ね回る男なんて、噂にしてくれって言ってるようなものよ。夜にしか出没しないとくればなおさらね」
 セッカは一旦言葉を切って、
「噂になればその鏖殺寺院にも気付かれる。あの時逃したあいつじゃないか、って。それであなたを捕まえるために、通り魔を起こして噂をもっと広げたわけだ。噂が広まればあなたは動きにくくなるし、事件を解決させるために動き出す人も出てくる。捕まえやすい状況が作れる、ということね」
 逆に自分らが捕まっちゃ世話ないけどね、とセッカは言った。
 兄が復讐するために弟と妹を探している云々のストーリーは全くのデタラメ、作り話であるということだった。なにせ実際に通り魔事件が起きているのだから結びつけることもさほど無理はない。尾ひれがつけばあとは放っておいても広まってくれるという寸法だった。
 真相を知って、瀬山 裕輝が「なんやおもんない」なんて言っていたことを思い出す。
「復讐なんて意味はない、とか言い出す輩に現実突きつけて場をしっちゃかめっちゃかにしたかったんやけどなぁ」
 そんなことにならなくてよかったと心から思う。
 セッカは大きなため息をついた。
「わたしたちにはいい迷惑よ。事件解決に乗り出す探偵役に選ばれて、噂話に出演するなんて。誰でもよかったんでしょうね、舐めてるわ」
 男はがりがり頭をかいてすまなそうに肩を落とした。
「すまない。俺の事情に巻き込んでしまった」
「分かればいいわ。つまり、人探しはその道のプロに任せればいいってこと」
「は?」
 セッカの発言の意図がつかめない男とは対象的に、セッカがこれからなにを言い出すのか、一字一句違わず予想できるアーティは苦笑に顔を歪ませた。
 たくましいというかなんというか。
「人探しは探偵に。探し出してみせるわ。探偵らしく、ね」

担当マスターより

▼担当マスター

浦苗 棉

▼マスターコメント

このたびはシナリオをご覧くださりありがとうございました。浦苗 棉です。
シナリオへ参加していただいた皆様、お疲れ様です。
皆様、キャラクターの個性豊かなアクションを書いてくださるので、毎回楽しんでアクションを読ませていただいてます。
またお会いできる日を楽しみにしています。