First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
森、入り口。
「これは魔女の出番ですわね」
御神楽 陽太(みかぐら・ようた)のパートナーのエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)は、土壌回復のためにやって来た。
「……こんな魔術師の不始末見過ごす訳にはいきませんわね」
エリシアはどこぞの魔術師に対して言葉を吐いた。
「まずは土の成分を調べて……」
早速、エリシアが作業に移ろうすると、
「それならルカも手伝うよ」
エリシアと同じように土壌回復のために来たルカルカ・ルー(るかるか・るー)とダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が現れた。
「あら、ルカルカ・ルーにダリル・ガイザック。あなた方も?」
エリシアは二人に訊ねた。
「あぁ、俺達は未来の犠牲者を防ぐために来た」
ダリルがエリシアに答えた。
「……学校で後始末はちゃんとしましょうって習わなかったのかなぁ。こんな事をして」
ルカルカは森を見ながら言った。森の被害者の事を思ってか少し憤りがあった。
「同感ですわ」
エリシアはこくりとうなずいた。
その時、
「こういう森は戻すこと出来ないのかな。今回みたいなことがまた起きたりしたら」
弥狐が現れ、森を見ながらつぶやいていた。
「弥狐、心配無いよ。ルカ達が森を助けるから。もう、被害者は出ないよ」
「そうですわ。薬をすぐに作って解決ですわ」
弥狐のつぶやきを耳にしたルカルカとエリシアが力強く言った。二人は必ず森を救うと救えると信じている。
「それなら心配無いね……沙夢、遅いなぁ」
二人の言葉にほっと一安心した弥狐は沙夢が来ていない事に気付き、後ろを振り返ると黒目で緑色の熊がやって来た。
「おまたせ」
緑熊は熟考の末、動物変身薬を使った沙夢だった。
「熊だぁ」
弥狐は少し驚いた声を上げた。
「……緑色というのが、せめて薄緑だったら。でもどちらにしろ熊に緑色は変な感じよね」
沙夢は少し不満な声を上げた。熊と言えば茶色や黒や白が一般的なのに緑とはあまりにも変な感じだ。
「いいと思うよ」
そう言いながらルカルカは好奇心の目で熊の沙夢を見た。
「動物という事は森に入るんですのね」
エリシアが訊ねた。
「えぇ、園児達を捜しに」
「沙夢、森は元に戻る事が出来るから安心だよ。だから園児達を捜しに行こうよ」
沙夢はエリシアに答え、弥狐は二人から聞いた話を沙夢に伝えた。
「えぇ」
「よーし、獣姿でゴー! だね!」
沙夢はうなずき、元気に歩き出す弥狐について行った。
沙夢と弥狐を見送った後、
「じゃ、ルカ達も急ごう。すぐに土を採取して来るね。早く作って森もみんなも助けよう」
ルカルカは気合い十分だ。薬が早く出来れば、確実に森に入っている人達の助けになるのだから。
「俺はその間、混ぜられた動物変身薬を元に戻しておこう。いくら、無害とはいえあのままにはしておけないからな。何よりあの兄弟のした事をそのまま放置は危険過ぎる」
土採取の間、ダリルは混ぜられた動物変身薬を元通りにする事にした。元々、混ぜるために作った薬ではないので無害とは言え放置はしておけない。それ以上にあの悪戯兄弟が作った物に対して用心に越したことはない。
「分かった」
「お気を付けて」
ダリルを見送った後、二人は早速作業を開始した。
ルカルカとエリシアは採取場所を分担し、広範囲に土を回収する。
ルカルカは近くの地面から採取を始め、土塊活動時の状態を見る必要があるため等身大のマリオネットを人に偽装してロープを結んで捕食させてみると見事に襲われ土を付着させていた。
「……襲われたという事は、形が重要って事かな」
ルカルカは等身大マリオネットに付着している土と活動していない土との差を調査し、ものである等身大マリオネットに反応した事についても考える。
「……そうだ、変形途中のサンプルも採取しなきゃ」
そう言うなりルカルカは腰にローブを巻いて端を樹に結び、『空飛ぶ魔法↑↑』で、土を誘い出し、形が完全に形成される前に魔剣ディルヴィングで切って回収し調査をした。
「……エリシアにもこのサンプル渡しに行こうかな」
ルカルカは、変形途中の土塊から手に入れたサンプルを持って工房で作業を続けているエリシアに渡しに行った。
サンプルを渡した後、二人はエリシアの工房で話していた。
「形が人であればお構いなしなのは、迷惑ですわね」
「そうだね。生命エネルギーで人と見分けてるのかと思ったんだけど。あ、エリシアのマリオネットは大丈夫だった?」
ルカルカはエリシアも等身大マリオネットを使っていたのを思い出して訊ねた。
「……何とか無事に戻って来てますわ」
エリシアは作業をしながらルカルカに答えた。工房で作業をしながらエリシアも等身大マリオネットを使ってサンプル採取をしていたのだ。
「そういう実験をしてたのか実験後に自然とそうなったのかは分からないけど」
ルカルカはそもそもの原因を挙げるが、証拠が無く不確か。どちらにしろ良い気分にはならない。
「そうですわね。絶対に森を元に戻さなければ。それに負けた気がしますわね」
エリシアは思わず、負けず嫌いの顔を見せた。
「それは大丈夫だよ! ルカ達がいるんだから」
ルカルカは森が元に戻らない事など考えていない。自分もいてダリルとエリシアもいるのだから失敗する理由はどこにもない。
「そうですわね」
同じように上手く行くだろうと考えるエリシアもうなずいた。
この後、ルカルカは外に出てサンプル採取に戻り、エリシアは作業を続けた。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last