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動物になって仁義なき勝負?

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動物になって仁義なき勝負?
動物になって仁義なき勝負? 動物になって仁義なき勝負?

リアクション

「……ふぅむ」
 散々、園児達に付き合わされた法正は一休みのためベンチに座っていた。
「お、司令官!」
 法正を見つけたウルトが駆け寄って来た。すっかり“司令官”があだ名みたいになってしまっていた。
「む、こーちょくに何か用事か?」
 法正は不機嫌な顔で訊ねた。
「これをあげようと思ってさ」
 ウルトは自分のおやつを法正達に分けようとやって来たのだ。
「うむ、貰ってやろう」
 法正は貰うなりお菓子を頬張った。
「……ありがとうございます」
 貰った朱鷺も礼を言ってからお菓子を食べた。食べても体は大丈夫なのか探求してようと思いながら。
「司令官、一休みが終わったらまた続きやろうぜ」
 遊び足りないウルトは笑顔で言った。
「……司令官のこーちょくが合図を出すまで休憩なのだ」
 法正はそう言って何とか逃れようとした。
 なぜなら、凄まじかったからだ。チャンバラごっこの前半は、子供達も法正の言う事を聞いて法正を小突いたりしなかったのだが、後半になると小突いたりして法正を怒らせて楽しんでいたのだ。遊び盛りにやめろという言葉は長時間の効力は無かったらしい。
「……どうしますか。決着をつけるまで離してくれませんよ」
 朱鷺が予想出来る現実的な事を言った。チャンバラごっこの決着は決まっていない。法正が途中で休憩の合図を出したのだ。散々、小突かれたせいだ。

「……子供というのは単純なものだ。他に面白い事が見つかれば、すぐに忘れるのだ」
 そう言って法正は、面白い遊びを発見したのかアスレチックで遊びまくるウルトを指さした。
「……確かに」
 朱鷺も納得し、そのまま休憩を続けた。

 動物のふれあい広場を開催しているウォーレン。
 連れて来た古代の霊獣、吉兆の鷹、麗茶牧場のピヨ、賢狼が存分に活躍している。
「うわぁ、かわいい」
 そう言いながら蛇になった女の子が麗茶牧場のピヨと戯れてる。

 その様子をウォーレンは、
「……大丈夫だろ」
 と苦笑しながら見ていた。普通に考えれば危険な風景だが、子供のためか蛇の大きさは結構小さいので問題は無い。

「……」
 賢狼に触りたいが、少し怖くて触れない守護天使の男の子。
「こいつは、大人しいから怖がらなくていいぞ」
 ウォーレンは大丈夫だと賢狼の頭を撫でながら言った。
「う、うん」
 ウォーレンが平気なのを見て恐る恐る触れ、無害だと知るやいなや思いっきり撫でまくる。

「お兄ちゃんも獣人だよね」
 獣人の智知がウォーレンの腕に止まっている吉兆の鷹を撫でながら訊ねた。
「あぁ、兄ちゃんはコウモリの獣人だ」
 ウォーレンはニカッと笑いながら答えた。
「コウモリ?」
 智知は何だろうと小首を傾げた。
「コウモリっていうのはな」
 ウォーレンはコウモリについて話し始めた。
 洞窟の壁や天井などにいるとか夜行性で冬眠する種類もいるとか超音波を使って障害物や獲物の方向位置や大きさを探知するから目を頼らなくても大丈夫だとか。子供達に分かるようにかなり噛み砕いて話す。

「僕は夜になるとすぐに眠たくなるよー」
 智知はコウモリに感心。
「すごいねー」
 話を聞いてた他の子供達も感心の声。

「ねぇ、他には?」
 ウォーレンの話に興味を持った智知はもっと話が聞きたいとおねだり。
「……そうだな」
 何から話そうかと考えるが、智知が吉兆の鷹を撫でているのを見て鷹についての豆知識を話す事に決めた。話は鷹に始まり、次々に連れて来た動物の豆知識や披露した動物が登場する面白い物語を話した。

 そうやって楽しい時間を過ごしていた時、
「あ、お兄ちゃん!」
 とても慌てた様子の鳥になった少年が飛んで来た。
「レッキ、どうした?」
 ウォーレンが訊ねた。何か大変な事が起きたのだろうと思いながら。
「早く来て! トモやんが大変なんだ」
 レッキは焦っていて事情を上手く説明出来ず、ただ助けが必要だと訴えるだけ。
「分かった。みんなはここで待ってろ」
 ウォーレンはレッキに答えながら心配そうにしている他の園児達に言った。
 それだけではなく、誰か自分が不在の間、面倒を見てくれる者はいないか周囲を見回し、ある人物を発見して声をかけた。

 森、入り口。

「ここにいたら危険だ。友達の所に戻った方がいい」
 ダン・ブラックモア(だん・ぶらっくもあ)は、森に入ろうとする三人組の園児に言葉をかけた。
 ダンはこのために森を監視しているのだ。

「やだ、森の方が面白そうだもん」
「それに友達が中にいるし」
「探しに行きたい」

 園児達は各々主張を始める。

「好奇心旺盛なのも友達を心配するのも良い事だが、ここにいては先生を心配させるだけだ」
 ダンは屈んで視線の高さを園児達と同じにしてから話しかけた。

「……つまんない」
「やだ、探しに行く」
「友達、見つけてくれる?」

 じっと口を尖らせた文句顔でダンを睨む。

「捜しに行ったお兄ちゃんやお姉ちゃんは強いからみんな無事に戻って来る」
 ダンはきっぱりと言い切り、まっすぐ園児達の目を見る。
「戻ろう、先生を心配させてはいけない」
 ダンはもう一度、戻るように言った。
「うん」
 今度はこくりとうなずき、園児達はダンに連れられて森を離れた。

 アスレチック広場に向かう道々。

「じゃ、何かしよう」
「何か面白い話して」
「ねぇ」
 園児達は、友達の心配が薄れた途端、遊びたくてうずうずし始めた。

「……面白い話か。俺が知っているのは聖書ぐらいだが」
 ダンはどうしたものかと考え始めた。子供の好きそうなお伽噺など知るはずもないが、がっかりさせたくはない。

 その時、
「おい、少しの間だけ子供達を見ててくれねぇか」
 通りかかったダンを発見したウォーレンが声をかけてきた。

「何かあったのか?」
 ダンはただ事では無い様子にウォーレンに訊ねた。
「あぁ、俺も何が起きたかは知らねぇけど。大変な事が起きたらしい」
 ウォーレンは手短に事情を話す。
「お兄ちゃん、早く早く」
 空には泣きそうな声でウォーレンを急かす鳥になったレッキ。
「……早く行った方がいい」
 ダンは代役を引き受けた。園児が大変な事になっているのだから断る道理は無い。
「助かるぜ」
 ウォーレンは礼を言うなりすぐコウモリの羽を出して空へ。
「兄ちゃんが助けるから友達の所に案内してくれ」
 ウォーレンは少年の案内で救助に向かった。