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リアクション
00:オリュンポス
勇者たちが出撃するしばらく前、要塞から湧いてきた謎の軍団は、自らを【オリュンポス】と名乗った。
国軍の科学者たちはデータベースにアクセスし、該当する組織がないかどうかを確認した。
「思い出した!」
そう叫んだのは、自らもデータベースに接続して検索をかけていたコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)だった。
ハーティオンは、かつて国軍によってとある遺跡から発見された人間サイズのロボットで、自由意志をもつ不思議な存在だった。
「ハーティオン、どこにあったの!?」
尋ねたのはハーティオンを発掘した科学者の一人高天原 鈿女(たかまがはら・うずめ)。国軍においてはハーティオンの良き上司である。
「500-3DSF-65KJのデータベースを開くんだ」
「分かった!」
そして鈿女がハーティオンの指定したデータベースを開くと、そこにはオリュンポスに関する記述が存在した。
クロノスという首領をトップにした正体不明の組織。ロボットと怪生物を擁し、配下には怪人や魔法使いなどを従えている強大な組織だということだ。
「ふむ、例のやつか……」
そう呟いたのは三船 甲斐(みふね・かい)。それに対して佐倉 薫(さくら・かおる)が知っているのですか? と尋ねた。
すると甲斐は鷹揚にうなずき
「大昔から、時折出てきていた記録がある。そして、奴らがあらわれるとき、そこには対になる存在があらわれるという」
その言葉を聞き、猿渡 剛利(さわたり・たけとし)が「それが勇者ですか?」と尋ねた。
「そのようだな。ハーティオンもその仲間のようだが、残念ながらあたしらの技術では本来の実力を発揮させることは出来なかった」
それを聞いて、ハーティオンは一度下を向き、それから顔を上げて言った。
「それでも、私は出る! 奴らは敵だ。それだけははっきりと分かる!」
「そう言うと思ったわ」
鈿女はそう小さく言うと、ハーティオンの出撃を許可した。
「ただし、敵のデータ取得を最優先。いいね?」
「了解!」
頷いてハーティオンがでていこうとするところを、剛利が止めた。
「ちょっと待った」
「なんです?」
訝しがるハーティオンを尻目に、剛利は甲斐に目配せをした。
「うむ。こんな事もあろうかと開発しておいた兵器がある。B号格納庫に立ち寄るがいい」
甲斐は目配せに頷いてそう言った。そして、薫が続ける。
「わしからもプレゼントがある。敵に魔術師が居るのであれば、有効に使えるはずだ」
「さすがは魔女だな。対魔術師用の兵器を開発するなんて。こんなことがなかったら予算の無駄遣いだったぜ」
剛利がそう言うと、薫は剛利にげんこつを食らわした。
「誰が魔女か。貴公、師匠に向かってその言い草はなんだ!」
薫は技術者として剛利の師に当たる。なので無礼な弟子にちょっとしたお仕置きというわけだ。
「すいません、師匠」
剛利はしおらしく謝ると、コンソールを操作して何かを動かし始めた。
「さて、ハーティオン。お前が格納庫に到着する頃には温まってるはずだぜ」
エンターキーを押すと、剛利は立ち上がってハーティオンの肩を叩く。
「行ってこい!」
「はっ!」
そして、一人の勇者が出撃した。
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