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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

リアクション

「ついにこの日が来たわ……!」
 一人燃えているシルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)
「イコンを合法的に潰しても良い日が……!!」
「ふぅ……フィス姉さん燃えてますね」
「まぁ、いつもは止められるものが今日に限っては別に止められないのですからね」
 その様子を遠くから見守るリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)ヴィゼント・ショートホーン(びぜんと・しょーとほーん)
「未来は無限、過去も無限……」
 そして、不思議な事を言いながらふよふよしているケセラン・パサラン(けせらん・ぱさらん)
「ヴィゼント。もし、フィス姉さんが暴れだしそうなら、その時はよろしくね」
「任せてください」
「ただひとつは、今この瞬間のみ……」

「…………」
「こんにちは〜、そんなに不安そうな顔をしてどうしたの?」
 キョロキョロしているテレサに声をかけたのは葉月 可憐(はづき・かれん)アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)
「あ、こんにちは」
「テレサ様、でしたね。私は葉月可憐です」
「アリス・テスタインだよ。それで、どうしたの? そんな不安そうな顔をして」
「いえ……その」
「もしよければ、何か力になれるかもしれません。お話を聞かせていただけませんか?」
「…………」
「んー、根回しでこの交流会について聞いてまわってたんだけど、もしかして教会絡みなのかな?」
「……」
 教会という言葉にピクッと反応をしめすテレサ。少し考えた後、小さく頷く。
「え、えぇ。そうなんです。実は――」
 昨日の出来事について説明する。
「……誰かがその、神を冒涜する所業によって生み出された存在に襲われてないか気にしていた……ということですか?」
「はい、昨日現れた時は結局逃げられてしまいました。もし他の人が狙われてないかと思うと不安で……」
「そうだったんですか……」
「私たち、これからイコンの模擬戦に出るんだけど、それまでの間暇だから一緒に行動しない?」
「え?」
「ご協力いたしますよ」
「……ありがとうございます」

 イコン戦会場。そこにシルフィスティ、ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)平等院鳳凰堂 レオ(びょうどういんほうおうどう・れお)。そして、対峙するのはフリーダムとラードゥガ、雲隠の三機。
「……なぁ、本当にやるのか?」
 トーマスが三人に聞く。
「もちろんだ」
「良いからさっさとはじめましょ!」
「まぁ、そういうなら構わないが……」
 三機のイコンが準備を終える。
『いつでも良いぞ』
「ならいくわよ!」
 シルフィスティが突撃する。
「くらえっ!」
 フリーダムがアサルトライフルで攻撃。全員が散開する。
「さぁ、いくよ!」
 レオがシルフィスティと同じく、前に出る。
「そこです!」
 雲隠の新型アサルトライフルがレオを狙う。
「……!」
 行動予測ですぐさま、射程外に移動。
「はっ!」
 アクセルギア、ゴッドスピードで加速したシルフィスティ。レーザーマインゴーシュを手に跳躍。フリーダムを狙う。
『当たるか!』
 だが、すぐに距離を取るフリーダムには届かない。
「こっちだぜ!」
 前で動く二人とは違い、密かに接近していたラルク。シルフィスティから距離を取る為に下がったフリーダムへ、プロミネンストリックで急接近。
「そこだ!」
『させませんよ』
 フリーダム向けて、自在を放つラルク。割って入ったのはラードゥガ。ビームシールドを手に、ブロックする。
『サンキュー! お返しだ!』
「ちっ!」
 フリーダムのアサルトライフルを神速で加速し、回避するラルク。
『チャンスです!』
 その先には雲隠。
「やらせないよっ!」
 アサルトライフルを構える雲隠目掛けレオが光条兵器を投擲。着弾時に光度を上げる。
『わわっ! 光学センサーの性能低下!』
 ラルクへの攻撃のキャンセルに成功。
「今だ!」
 そんな雲隠を狙うシルフィスティ。
「いくと思ってましたよ」
 だが、さらにラードゥガがそれを狙っていたとばかりに現れ、アサルトライフルをシルフィスティ向けて射撃。
「くっ!」
 弾の一発が、胴体を直撃。
「シルフィスティ!?」
『おっと、余所見はよくないぜ?』
 レオにぴったりついていたフリーダムがレオを射撃。避けられるわけもなくレオに命中。
「喰らえ!」
 そのフリーダムの上に飛んでいた、ラルクが急降下。フリーダムの左腕に乗り、自在でコーティングをはがし、七曜拳を叩き込む。だが、機能低下程度のダメージで致命傷にはなっていない。
『やってくれるな!』
 すぐさま、ラルクを振り落とす。
『ラードゥガ!』
『はい! 雲隠もお願いしますね!』
『はい!』
 残るラルクに対し、三人による集中砲火。
「ぐはっ!」
 もちろん、それを回避できるわけもなく、ライフル弾が命中。
『よし、これで終わりだ!』
 動きが鈍ったところにフリーダムがサーベルを構える。
『……! ま、待ってください!』
 それを見て、雲隠が割ってはいる。
『な、なんだ?』
『それ以上やったら大怪我しちゃうよ!!』
『相手はイコンではないのですから! 一撃入れば十分でしょう!』
『……と、そうだな。わりぃ。つい熱くなって大怪我させるところだったな』
 可憐達の呼びかけでサーベルを納めるフリーダム。

「さすが、エース級のパイロット。全く歯が立たなかったよ」
「そうだな……、せめて一機ぐらいは倒したかったぜ……」
 戦闘終了後、リカイン達の手当てを受けていた。
「納得いかない! もう一度――」
「ヴィゼント」
「大人しくしててください」
 ヴィゼントがシルフィスティにライトニングブラストを放つ。
「きゃぁぁぁぁ!!」
 パタリと静かになるシルフィスティ。
「第一世代ならまだしも第二世代じゃ勝ち目がない事をいい加減認めてください」
「ま、まだよ……」
「あ、あはは……」
「しかし、時を越えし旅人にはその今すらも許されない。ねじれつながる輪の如く、表も裏も終わりも掴めぬ堂々巡り。旅人よ、その果てに一体何を見る?」
 こうしてイコン対生身の戦いは幕を閉じた。