葦原明倫館

リアクション

「…………」
　テレサは一人、巡回をしていた。
「やっぱり、見つかりませんね……」
　ため息をつくテレサ。
「こんばんは、テレサちゃん」
　そんなテレサの元にやってきた、富永　佐那（とみなが・さな）、エレナ・リューリク（えれな・りゅーりく）、立花　宗茂（たちばな・むねしげ）。
「あなた方は？」
「あたしは、ジナイーダ。アカデミーでイコンパイロットやっているの。よろしくね」
「エレナ・リューリクです」
「伊東万所です。よろしく」
　宗茂はそう言いつつ丸めた案内パンフレットで佐那を叩いていた。
「あなたは一騎当千のパイロットと渡り合わねばならない。ならば、このくらいの気配も読めずにどうします？」
　どうやらその行為が特訓だったらしい。
「同じ、アカデミー生でしたか……。よろしくお願いします。それで、こんな夜遅くにどうかしましたか？」
「いや、テレサちゃんが外にいくのが見えたからね。ちょっと気になって――っと」
　宗茂の攻撃をサッと避けた。
「そうでしたか……」
「あなた、執行官なんでしょ？」
「……！」
　その言葉に警戒する、テレサ。
「なぜ、それを？」
「以前、イコン模擬戦で一緒だったアカデミー第四席で執行官のジャンヌちゃん。性格とか色々違うけど……雰囲気はそっくりだったから」
「あぁ、なるほど……」
「……先ほどから元気がなさそうですが、どうかなさいましたか？」
　元気のないテレサの様子が気になり、心配するエレナ。
「えっと……」
「みんなの前では言えないこととかあるのかな？　もし、言えるならあたし達に言って欲しいな」
「……そうですね。わたしの事知っていますし。実は――」
　コード：Ｓ＾２の事について話すテレサ。
「神を冒涜する所業によって生み出された存在、ですか……」
「それが、昨日現れたと」
「……わたしは断罪する事はできるのでしょうか……。昨日やっと見つけたというのに何もせずに逃がしてしまいました。今も必死に探しているのに見つける事すら出来ません……。もし、見つけるのが遅れれば皆さんにも被害が広がるかもしれません」
　俯くテレサ。
「……テレサさん」
　そのテレサをギュッと抱きしめるエレナ。
「私では足手まといになるかもしれません。でも、私はあたなと支えたい。ですから――同じ道をいくと決めました」
「エレナさん……ありがとうございます」
「あたし達も手伝うわよ。だから元気だして、頑張って探そう？」
「……そうですね。皆さんありがとうございます。私はまだ……頑張れます！」
　励まされ、笑顔を浮かべるテレサだった。