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リアクション
幕間:幕間:暴食の異形
その顔は能面のようであった。
ズズッ、と大地に擦れる足音はのた打ち回る蛇のようであり、背中から生えた水晶らしき突起群は自然物と人工物を合わせたようで、美しくもあり醜くも感じさせる独特の禍々しさがあった。
緩慢とした動きは意思を感じさせることはない。
その姿は異形と呼ぶのがふさわしい。
しかし腕と脚、顔の存在が、それがヒト型であることを見るものに伝えていた。
彼、と呼ぶべきなのだろうか。もはや人の姿を維持していないかの異形はエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)と呼ばれていた。
「…………」
漏れた音は声なのか吐息なのか。
アザトースが視界に入った動物に向かって移動する。小鹿だろうか、痙攣しその場から動けない動物に向かって腕が伸ばされる。
グチュ、という肉を潰したかのような音が響いた。続いたのは固いものを折るような音だ。まるで咀嚼しているようである。しばらくしてアザトースはその場を離れた。動物のいた位置には血だまりだけが残っていた。
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