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リアクション
「んっふっふっふ、今よディアーヌ」
「えっ、ボク? 何が今なんですか?」
常葉樹 紫蘭(ときわぎ・しらん)にディアーヌ・ラベリアーナ(でぃあーぬ・らべりあーな)は無理矢理連れてこられていた。
それだけではなく今は、自信に満ちあふれた顔で何かを求められ困っていた。
「あ、何か悪いこと考えてる!! ねじゅおねえちゃんに言われてるから止めないとですー」
パストライミは何か悪巧みを考えているだろう紫蘭に気がつくと、ワインボトルを手に取った。
「紫蘭さん、お酒のみましょう〜!」
小さい背丈のために、かろうじて中型ワインボトルを全身で抱えて紫蘭に差し出す。
「気が利くわね。ってあら……」
ワインボトルを受け取りながら紫蘭は目をきょとんとさせた。
「え……あ……」
パストライミは突然、強い力でハグされ、頬をすりよせる。
「く、くるしいぃですぅ〜」
どうにかして紫蘭のホールドから逃れようとするが、小さいかつ非力な体では抜け出せない。
それどころか。
「そうやってじたばたするところも可愛すぎよっ!!」
「きゃー、すりすりするのや〜め〜て〜」
紫蘭の暴走を加速させているようだった。
「うふふ〜、なんだかかわゆいね〜。わたしぃも混ざってよいかな〜」
「きゃあっ、な、なんですの!?」
ネーブル・スノーレイン(ねーぶる・すのーれいん)が突然紫蘭を抱きしめた。
あまりの出来事に紫蘭は慌ててパストライミを離すが、ネーブルは離れなかった。
「ふぎゃっ」
紫蘭は突然頭をたたかれた。パストライミの体はホールドから解放される。
「心配したとおりね、紫蘭さんが何か企んでると思えば……」
「ねじゅおねえ〜ちゃん」
パストライミが涙を浮かべながらネージュへと走ってくる。
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)がため息をつきながらパストライミの頭をなでた。
「っく〜あの、えへへ〜いっしょにのみません〜か〜?」
「えっ?」
紫蘭を離したネーブルはふらふらしながらネージュたちの元へとワインを持ってくる。
ネージュが突然のことに驚くと、ネーブルは突然涙を目に浮かべた。
「飲んで……のんでくれないんですか……ふぇええええそんなああああ」
そのまま泣き出してしまった。
戸惑うネージュとパストライミはお酒をネーブルから受け取った。
「わぁああああい〜ありがろ〜、ほらどんどんお酒あるから飲もうよ〜」
ネージュたちが飲むのを見届けるとネーブルは喜び、その場を何度も飛び跳ねていた。
「あの、私たち飲むよりお風呂につかる方が良いかな〜って、あはは」
何度もパストライミと目配りしながらもしどろもどろで、ネージュは断ろうとする。
が、断るたびに
「ふぇええええ、わ、私嫌われました!?」
ネーブルは泣き落としもとい、泣き上戸だった。
「じゃ、じゃあ、ネーブルさんも一緒にお風呂入る?」
「ふぇ? お風呂ですか、一緒にですか!?」
突然ネーブルは笑顔を浮かべるとネージュの手をしっかりと握った。
「ありがろありがろ〜はいりまひょうよ〜。仲良くおふろ〜」
「って、そんない、急がなくても良いんだよ!?」
そういうと、ネーブルは慌てるネージュとパストライミの手を(無理矢理)引っ張ってお風呂に突っ込んでいった。
「ぐぬぬ……よからぬ邪魔されたわ……ディアーヌ!」
「だ、大丈夫?」
気を失って床に伏せていた、紫蘭をディアーヌが抱え起こす。
「これを呑みなさい」
「え、うわっがぶ☆△ぬだすの!?」
紫蘭は床に転がっていたワインボトルの口をディアーヌに突っ込んだ。
次第にディアーヌの顔、あごからおでこへと真っ赤に染まっていく。
「ふわああ、なんだかぼーっとなって、とと〜?」
ワインボトルを口から離したディアーヌは立ち上がろうとするが、その足はふらふらとおぼつかない足取りになっていた。
「さあ、そのまま『どーんっ』ですわっ!」
紫蘭はそんなディアーヌを両手で強くお風呂に突き飛ばした。
「がぼっがぼっ……ふ、ふわああなんだか、熱くなってきましたよ〜」
ワイン風呂におぼれる、ディアーヌ。
どうにかワイン風呂にたつと、体を左右にゆっくりゆらぎはじめる。
「よ……酔ったのかな、視界がふらふらするよ〜」
「きゃっ、って、ネージュおねーちゃん!?」
「パストラミちゃん、あたたか〜い……」
ネージュは顔を真っ赤にしながら、パストラミを正面からハグする。
すでにこのときネージュの体は顔だけではなく全身が火照っていた。
「あれ、私もなんか……おねえちゃ……んむにゃ」
パストラミは眠気に襲われ、そのままネージュの胸に頭を預け、目をつぶれていく。
パストライミが最後にみたときは、ディアーヌが何か粉のようなものをまき散らしていた。
「ぽ……ぽぽ……ぽぽぽぽ〜んっ」
「ふっ、ふっふ……さっ、私も騒ぎに混ざるわよ〜」
紫蘭は笑いながらネージュたちの元へと走り寄った。
この紫蘭の企みのおかげで、お風呂はいっそうへべれけ度が増したのだった。
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