校長室
学生たちの休日10
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★ ★ ★ 「はーい、おかわりどうぞですー」 「うっ、いただきます……」 ティー・ティー(てぃー・てぃー)に言われて、源 鉄心(みなもと・てっしん)が、おずおずとどんぶりを差し出しました。そこへ、ティー・ティーが、年越し蕎麦ならぬ年越しうどんを大盛りで持っていきます。 「ま、まだ、そんなにたくさんあるのか……」 「ううん、もっともっとあるから、たくさん食べてくださいね」 絶句する源鉄心に、ニッコリと無邪気な微笑みを浮かべてティー・ティーが言いました。 ニルヴァーナの中継基地にある「UDON!」といううどん屋さんの開店に合わせて、大量のうどんが用意されていたのでした。それはもう、大量に……。 まあ、それでも、なんとか出されたうどんは平らげた源鉄心でしたが……。 「もうじき新年ですね」 そう言いながらおせち料理を作っているティー・ティーを見て絶句しました。 お汁粉にうどん、お重にうどん、お雑煮にうどん、汁にザルに焼きにつけに……。大量に用意されたうどんが、どんどん調理されていきます。 「こ、これは……。よし、俺も手伝おう」 そう言うと、源鉄心は、自らうどんを茹でていきました。 「さあ、できたぞ。お前たちも遠慮しないで食え」 「わーい、おすそ分けですわ」 運べと言いつけられたイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が、喜んでうどんを運んでいきます。 ペットのボーやレガートやサラダたちが最初喜びましたが、食べても食べてもなくならない餌のうどんに、やがて恐怖しました。 「いいかげんカレーでも食いたいな……」 「カレーうどんですか?」 「い、いや……」 すかさずティー・ティーにい分けて、源鉄心が青くなります。 「そうだ、初詣に行こう。なっ、なっ」 そう言うと、なんだか逃げるようにして源鉄心がみんなと共にヒラニプラの神社にむかいました。とにかく、ここを離れてさえしまえば、うどんからは逃げられる……かもしれません。 うどんでお腹がいっぱいのペットたちの腹ごなしも兼ねて、それぞれに乗っていきます。 「うーん、猫がうどんをこねています……。むにゃむにゃ……」 夜更かしが堪えたのか、サラダの上で眠りこけているイコナ・ユア・クックブックが寝言を言っています。どうやら悪夢でも見ているようですが。 「初夢がうどんに襲われるというのだけは勘弁してくれよな……」 本当にそんな夢を見そうだと、源鉄心がつぶやきました。 「やった、うどん以外の物が売ってる……」 感激する源鉄心でしたが、すでにお腹がいっぱいで、これ以上何かを食べたら逆流しそうです。 それでなくても、結構人が込んでいたので、なかなかにハードな初詣となりました。 「ふう、一休みしよう」 もの凄い人だかりの札所のおみくじ販売を横目で見ながら、源鉄心が言いました。 「そうですね。ああ、こんなこともあろうかと、おみくじを作ってきたんですよ。はい」 そう言って、ティー・ティーが、源鉄心とイコナ・ユア・クックブックにお手製のおみくじを渡しました。どうやら、中身は有無をも言わせず、最初から決定されているようです。 「今年の運勢は、うさ吉ですうさ?」 「わーい、わたくしはぴょん吉ですわ♪」 「よかったですね」 困惑する源鉄心とイコナ・ユア・クックブックに、ニッコリとティー・ティーが言いました。 「意味が分からんな……」 さすがに、源鉄心が、ちょっと困惑します。 「さあ、家に帰って、またおうどんを食べましょう♪」 「わあい♪」 「えっ!?」 ティー・ティーの言葉に喜ぶイコナ・ユア・クックブックを見て、源鉄心が恐怖しました。 「い、いや、もうちょっと、初詣がしたいなあ……。そうだ、空京神社へも行こう、そうしよう」 ちょっと気がかりなこともあって、源鉄心が初詣のハシゴにティー・ティーとイコナ・ユア・クックブックを誘いました。