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【第四話】海と火砲と機動兵器

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【第四話】海と火砲と機動兵器

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 数分前 迅竜 居住区画
 
 クルー用にあてがわれた部屋の一つ。
 そこでティー・ティー(てぃー・てぃー)はベッドに眠るイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)の髪をそっと撫でた。
「心配かけて……辛い思いさせて、ごめんね」
 泣き疲れて眠ったイコナ。
 最近、イコナはティーと源 鉄心(みなもと・てっしん)の二人を怖いものを見る目で覗き見るようになっていた。
 イコナにとって大事な存在である二人が、居なくなってしまうかもしれないのは恐ろしくて。
 それでも、離れたくないのに。
 どうしようもなくて、イコナ本人にもどうしたらいいのかも分からなくなっていた。
「また、必ず帰ってくるから…でも、もし私が少し居なくなっても。……鉄心のこと、お願いね」
 イコナにそっと語りかけるティー。
 それを見ながら、鉄心は一人物思いにふけっていた。
 鉄心がティーを静かに見守っていると、彼女はイコナの寝顔から顔を上げ、鉄心に目線を移す。
 不安そうな目をするティーを安心させるように、鉄心は優しげな微笑みを浮かべると、一度ゆっくりと頷く。
「力を貸すとは言ったが、大切なことはいつも君自身に決めさせてきた。そういう『契約』だったからな……今回も、好きに選べば良いさ」
 ティーが戦いに迷いを感じ始めているのに気付いた鉄心は、彼女をそっと見守ることにしたのだ。
「いきましょう」
 ティーはもう一度、イコナの髪を撫でてから立ち上がる。
「ああ」
 鉄心が言うのはそれだけだ。
 そして、二人は並んで格納庫へと歩き出した。