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新米冒険者のちょっと多忙な日々

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新米冒険者のちょっと多忙な日々

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■幕間:初めての戦闘

 スプリングロンド・ヨシュア(すぷりんぐろんど・よしゅあ)を先頭に一行は森の中を進む。
 狼の姿をしている彼は周囲を警戒するように時折立ち止まっては鼻を動かす。
「使える犬ね」
 風里の一言にスプリングロンドは「くぅ〜ん」と物悲しげに振り向いた。
 何か物言いたげな彼にリアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)が「はい」と看板を咥えさせた。そこには『おおかみ』と書かれていた。
 スプリングロンドはそれを風里に見せつけた。
 犬ではなく狼だと伝えたいらしい。
 だがその思いは届かない。
「賢い犬ね」
「――っ!?」
 がっくりと首を落とした。
 そしてピクッっと鼻を動かした。真剣な面持ちになる。
「グルルルゥ」
 唸り声をあげ前を見た。
 木々の奥から幾匹かの獣が姿を見せる。
「お義父さんと私が前に出るから、優里君たちは後続でお願いね」
 リアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)が後ろに控えていた東雲姉弟に言った。
「はい」
「わかったわ」
 獣がゆっくりとした足取りで囲むようにばらけ始める。
 そして戦闘を歩いていた獣が飛びかかってきた。
「危ないよ」
 スッと、リアトリスが踊るように身をひるがえす。
 獣の牙が空を切った。
 すれ違いざま手のひらで獣の身体を叩く。
 きゃうん、という悲鳴をあげて退いた。
「ほらほら、二人とも見てないで戦ってよ」
「あ、行きますよ!」
「援護するわ」
 優里が短刀を手に、獣たちへ斬りかかった。
 シュッと線を引くように腕を動かす。獣の肩口から背にかけて赤い線が奔った。
 優里の横や後ろに回っていた獣が彼に襲い掛かろうとするが――
「飛んで火に入る……」
 風里の指先から火の玉が出現し、獣たちの眼前で爆発四散した。
 獣たちが驚いてその場に転がる。
「しむr……風里ちゃん、後ろ後ろー!」
 ロートラウトが叫ぶ。
 見れば風里の背後、茂みに獣が潜んでいるのが見えた。
「油断しちゃだめよ。特に獣は森に慣れてるから、隙を見せたら最悪死ぬわ」
 セレアナが手にした銃で獣を撃ち抜いた。
 悲鳴もなく獣が倒れる。