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【琥珀の眠り姫】聖杯と眠りに終焉を

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【琥珀の眠り姫】聖杯と眠りに終焉を

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 母艦へと侵入したキロスたちは、その船内が要塞と化していることに気付いた。
「首領を探すぞ! 恐らく艦橋にいるはずだ!!」
 ダリルの声と共に、契約者たちは飛空挺内を駆け出した。
「殲滅より首領を見つけ出すことが先決、であります!」
 吹雪は壁を蹴るように跳びながら、飛空挺の奥、艦橋を目指していく。
 混乱した船内を、キロスを戦闘に契約者たちは駆けていく。
 配備されている空賊たちの攻撃を剣ひとつで受け流し、キロスは艦橋に辿り着いた。
 ――舵や羅針盤の備わったその指揮所には、あの女首領の姿があった。キロスに向けて、カットラスを突き出している。
 周囲を囲む三人の空賊たちも、めいめいに銃口をキロスに向けていた。
「やはり来たか……」
「賊に奪われたまま、というわけにはいかないんでな。返してもらうぜ」
 キロスは女首領の突き出す刃を見て、笑った。
 その時、キロスの背後で、たん、と地を蹴る音と共に空賊目掛けて空を跳ぶ者がいた。――美羽だ。
 素早く空賊を殴り倒し、その傍で引き金に手をかける別の空賊にも重い一撃を食らわせる。気絶した二人の空賊が折り重なるように倒れた。
「動かないで」
 コハクは一人残った空賊にサイコキネシスを使い、動きを封じる。そこに、美羽の拳が入った。
「さあ、聖杯を返してもらおうか」
 キロスは剣を構えながら、首領に近づいた。
「ふん。これが欲しいならくれてやろうか」
 首領は聖杯を取り出して、翳してみせた。食えない笑みを浮かべて、首領は聖杯をくるくると回す。
「貴様……何を企んでいる?」
「別に。至宝さえ奪い取れりゃあ満足だ。呪いの解除だのなんだの面倒なことはやってもらった方が楽だろう?」
 刹那。一瞬の緊張の隙間を縫って、ダリルが密かに溜めていた滅技・龍気砲を放った。
 素早く横跳びにかわした首領の懐目掛けて、聖槍ジャガーナートを構えたルカが飛び込む。
 その背後から、コードも聖槍ジャガーナートを手に跳んだ。勢いそのままに突き立てる槍の柄が、聖杯を弾き跳ばす。
「後は任せて!」
 コハクがサイコキネシスでその聖杯の軌道を整える。ダリルがその聖杯をキャッチした。
 ルカとコードの攻撃をひらりとかわした首領はさっと窓に駆け寄ると、非常用と見られる脱出窓から素早くその姿を消した。
「後を追おう!」
 コードがその後を追って窓から飛び降りた。
「自分たちは他の仲間に連絡をするであります!」
 吹雪も飛び降りると、コルセアの乗っているドラゴンの背にひらりと飛び移った。
 キロスたちも二人のその後を追って甲板へと降り立った。
「フハハハハ! それで勝ったつもりだと言うのか?」
 その時、キロスの耳にどこからともなく聞き覚えのある高笑いが聞こえてきたのだった。