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【琥珀の眠り姫】聖杯と眠りに終焉を

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【琥珀の眠り姫】聖杯と眠りに終焉を

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辿り着いた先の洞窟は、ほとんど崩れかけていた。キロスはユーフォリアの待つ別の洞窟へと移動してしまったため、今はいない。
「行き止まりが多くて難しいね」
 二頭の牧神の猟犬を連れて、クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)は聖杯の気配を追っていた。
 先ほどから猟犬が反応する道はあるのだが、途中で落盤が起きていたりして、なかなか思うように進めずにいた。
「焦らず、地道に探すしかないかな。下手に進もうとして崩落が起きては、元も子もない」
 クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)が慎重に足場を警戒しながら答える。
 二人の少し後ろには、御神楽 舞花(みかぐら・まいか)エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)の三人の姿があった。
「もうすぐ眠り姫が目覚めるんですね。是非その場に居合わせたいですね」
 そう言って舞花が微笑むと、ノーンがすぐに大きく頷いて同意する。
「わたしも会ってみたいな! というか、もうすぐそれも叶うんだね!」
「そのためにも、聖杯を見つけなくてはなりませんわ」
 ノーンの言葉に、エリシアがすかさず返す。と同時に、五人は分かれ道にさしかかった。
 分かれ道と言っても、片方はすぐに土砂で埋まってしまっているのが見えているので、実質一本道だ。
「あ、そうだ! 崩落していて進めないって言っても、少しでも隙間があったら見てこられるよ!」
 少し前を歩くクリスティーたちにノーンが提案すると、ほぼ同時に猟犬が崩れている方の分かれ道に向かって吠え始めた。
「また崩落した道ではあるけれど……通れそうといえば通れそうかな?」
 クリストファーは、崩落地点を見やって唸る。
「試してみないと分かんないし! ということでこのキノコ試してみるね!」
 ノーンが取り出したのは不思議なキノコだ。
「大きくなるか小さくなるかは運次第!」
一口かじったノーンの背が、見る見るうちに縮んでいく。
「成功したみたいですね。それでは、調査をお願いしますね」
「はーい!」
 舞花の言葉にノーンは軽く答えると、お供にスペースゆるスターを従え、崩落した岩盤の間へと入っていった。
「わたくしたちはここを守れば良いのですわね」
 エリシアは暗視で洞窟の中の気配をじっと感じ取っている。
「……何か大きなものがうごめいているような気配がしますわ。でも、ここよりは少し離れているみたいですわね」
「ノーン様の調査結果が分かると良いのですけれど……」
 舞花が心配そうに呟いたとき、四人の脳内にノーンのテレパシーが届いた。
『こっちに台座があるよ! その道を通れるようにできないかな?』
 エリシアはすかさず、落盤地点に向き合った。周囲の壁を崩さないように気をつけながら、真空派を飛ばす。
 細かく切り刻まれた土砂となり、その道は少しだけ隙間を作った。
「この大きな土の塊をどければ、充分先に進めそうですね」
 舞花はトラクタービーム発射装置を使って、大きな地盤を引っ張った。
 その塊はぐらりと転がるように動いて、手前に倒れた。
「慎重に進めば、もう充分いけそうだね」
 クリストファーの先導で、皆は道の奥へと進んでいった。ほどなくして、土壁が人工物である石造りの壁に変わる。
 その先には、台座とプレートが置かれていた。クリスティーがプレートを手に取って読み上げる。

『我が妹を守るため、王国の崩壊の余波にも耐えられる禁断の封印を使用した。
 君に、禁呪を施す鍵となる3つの聖杯を託す。
 この聖杯で祝福をすれば、琥珀の棺は開き、我が妹は目覚めるだろう』

 この近くに、聖杯があることは間違いないようだった。
 クリスティーは、猟犬二頭とスカイフィッシュをその部屋に放った。――すると、台座の周りを回ったり、吠えたりし始めた。
「台座自体に聖杯が隠されているかもしれないよ」
 クリストファーの指摘を受けて、ノーンと舞花が台座を調べる。
「これでしょうか」
 舞花が台座の裏に隠し扉を見付けた。ピッキングで開いてみると、そこには聖杯が隠されていた。
「やった! これで三つ目の聖杯も手に入れたね! ここにしまって持ってこう!!」
 ノーンは嬉しそうに言って、ランドセルを差し出した。
「ここに溝のようなものがあるね。何か、解呪の鍵になるかもしれない……」
 クリスティーが受け取った聖杯の底を見て気付く。
 聖杯は、不思議なオーラを纏っているようにどこか輝いて見えた。