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リアクション
第6章 無策で特攻は危ないのですよぉ!作戦会議 Story6
クーラーのかかった校長室とはいえ、これだけの人数だ。
だんだん部屋の温度も上昇していく。
「白熱した時は、甘いものとクエン酸で疲労回復。これからも長そうだしね」
暑さでバテバテになって倒れないように、斉民は梅と氷砂糖で作ったシロップを水で割ったドリンクを配る。
「ありがとう♪一口ゼリーもおいしーにゃ」
「わぁい。すっごく回復するんだよ!(まじめなお話、ずっとしてると疲れちゃう)」
退屈気味になっていたルルゥ・メルクリウス(るるぅ・めるくりうす)も、冷たいドリンクに口をつける。
「おねーちゃん、メール見てるの?」
ポチポチ携帯をいじっているエリシアへ振り返り、画面を覗き込んだ。
「もしかして、おにーちゃんから?」
「ふっ。そのもしかしてですわ」
エリドゥで買ったドライフルーツを食べているノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)にも、御神楽 陽太(みかぐら・ようた)からのメールを見せた。
-暑い日が続きいてますね-
毎日、暑い日ばかりですけど、夏バテしたりしていませんか?
そうそう最近、新作の水着を買ったんです。
妻と一緒にプールを泳いだりしてますよ。
今日のおやつはかき氷でした。
エリシアはブルーハワイ、ノーンは宇治金時が好きでしたっけね。
冷たいもののとりすぎは体に悪いので。
たまには、熱い食事なども食べなきゃいけませんけど。
なので、こちらは今晩のご飯は、ハヤシライスです。
2人も冷たい食べ物ばかり食べないようにしましょうね。
また寒暖差のある地帯へ行くようですけど、体に気をつけてください。
by陽太
「こういうのって、おなかいっぱーいっていうのかな?」
「ふふっ、正解ですわよノーン」
イチャイチャメールご馳走様すぎて、満腹というような生暖かい笑みを浮かべた。
「エリザベートたちが戻るまで、ちょい休憩ってことよね」
尋問のために牢から出したボコールを、再び投獄すべく席を外しているため、小休憩なのかとルカルカが言う。
「中断?じゃあいったんテーブル片付けるわ。テスタメント、さっさとやりなさい」
朝からずっと話っぱなしで、もう午後の1時近くだった。
休憩を挟まないとせっかく話したことも頭に入らないさそうだ。
テーブルをテスタメントに片付けさせる。
「刀真も行っているようだからな。いない間に、話しを進めるわけにもいかないだろ」
「その間におやつ食べちゃおうか♪今日は何かな〜」
「待て、勝手に荷物を探るな」
ダリルはクーラーボックスを漁ろうとするルカルカの頭を、ぽむぽむ叩いて退かせた。
「いつも用意がいいのね、ダリル」
「ケーキはすぐできるものじゃないからな。作っていたんだ」
「冷たいものばかりだと、お腹が冷えちゃいそうだから。あったかい飲み物がいいわね」
ポットのお湯を熱すぎない程度の温度にして、紅茶を淹れて皆に配る。
「マスター、こんなにお菓子がいっぱいです。食べ放題ですね」
並べれたお菓子が視界に入り、フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)はキラキラと目を輝かせた。
「おいおい、食べ放題ってわけじゃないぞ、フレイ。皆の分のことも考えろよ?」
「なんでふかまふふぁー。ふぁべなふんでふか?(訳:何ですか、マスター。食べないんですか?)」
注意しても時すでに遅し、口いっぱいに頬張っていた。
「やべぇぞ!完食されちまいそうだ」
カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)も負けるものかと、ケーキやゼリーなどをガツガツ食べる。
「わたしも負けないんだからっ」
「ルカだって!あぐあぐ…」
「テスタメントにもくださいなのです!」
なくなる前に確保しようとカスタードプリンを自分のほうへ寄せた。
「にゃはは、美味しいものいっぱいー。幸せ♪」
「リーズッ、お前もかぁあーーーっ!?」
予想はしていたがカノジョであるリーズまで参戦してしまった。
「オイラの分がなくなっちゃう!急いで食べなきゃ、あむあむっ」
「なんとも言えん光景だな…」
競い合うようにスイーツを頬張る女子プラス男子2人の姿に、夏侯 淵(かこう・えん)は唖然とする。
「会議というのは、こういうことですの?」
「違う!断じて違うぞ、オメガ」
何やら誤解しているオメガの認識が、おかしな方向へいかないうに言う。
「ダリル、俺たちの分はあるのだろうか」
「こうなることは予想していたからな」
甘いもの大好きな人たちが集まれば、テーブルが戦場になるのは分かっていた。
「ありがたい。…ほら、オメガの分もあるぞ」
紙皿に盛られたケーキをオメガのほうへ寄せた。
「これは手作りですの?」
「あぁ、ダリルのな」
勧めたケーキに手をつける魔女をじっと見つめる。
「お〜い、何じぃ〜っと見てんだ?ふむふむ、ケーキをはむはむしているオメガを見ていると…」
「―……っ!な、カルキッ。断じてそのようなことはっ」
「見ていると〜までしか言ってねぇーのに。言わんなら、俺が言おうホトトギス♪」
あわあわと慌てる淵にケラッと笑う。
「って、本人が見ているみてーだぞ」
「はっ!?こ、これは、カルキが勝手にっ」
「淵さん…」
「(いかん、妙な誤解が)」
笑顔を消したオメガの表情に心臓がマッハで脈打つ。
「すみません…、口についていたのを教えてくれようとしていたのですか」
「ぁ…あぁ、そうだとも」
“そういうことにしておこう!”と、こくこくと頷いた。
「おー淵さん。さっきはリーズまでケーキ食べ過ぎすてすんません」
「七枷殿か。いや、なに…ダリルにもらえたから問題ない。いつお世話になっているな、感謝する」
「や、そんな言われるほどじゃないんやけど!」
「俺たちは4人とも、スペルブックを使うからな。かなり助かっている。遠野殿にも礼を言っておかねば」
「歌菜ちゃんたちは、立食してるみたいや。テーブルが大変なことになってるし、近づけんからな」
さすがに戦場と化している場には近づけないようで、リーズにとってきてもらっているようだった。
「ふむ。パートナー同士でくつろいでおるのだな」
ゆっくりしているとこに声をかけるはよしておこうと、礼はまた今度言うことにした。
「休憩中ということで、質問あります!枯れてるそうですが、興味はあるのですか?」
「へ?枯れているってどういうことかな。それが分からないとさ」
テスタメントの質問の意図が見えず、ラルコットはいったい何のことかと言う。
「胸は大小どちらが好み?例えば、真宵見たいな些細なサイズは?」
真宵が渡した土産を勘違いしているテスタメントは、余計なお世話な質問をする。
「えぇーっと、何でそんなこと聞きたいわけ?」
「それはですね…」
「こら、テスタメントッ!何へんなこと聞いているのよ」
「小さいほうなら期待がもてるじゃないですか、真宵」
「意味分からないわっ。私のその…で、何の期待を……」
大声で怒鳴っていたが、バストの話題へさしかかると恥ずかしそうに、ごにょごにょと口ごもった。
「とても大事なことですよ。さぁ、答えるのです」
「正直、どうでもいいかな。年だし…っていうかさ、昼間っから話すことじゃないよね、これ」
「そ、そうよ、皆だっているんだから!」
「あわわっ」
恥ずかしい思いをさせた罰として、頭をぐりぐりされて粛清されたのだった。
「ラスコット先生もどうですか」
話しかけるタイミングを見ていたベアトリーチェが、醤油をかけた玉子豆腐を勧める。
「ありがとう、ベアトリーチェ」
「美味しいですか…?」
「これって手作りなのかな。きみって料理上手だよね」
「作るのが趣味のようなものですから…」
料理の腕前を褒められたベアトリーチェは照れたように微笑む。
「ややっ。かわいくってスタイルがよく、料理が得意でそれでいて真宵よりも…」
「いちいち比べるんじゃないわよっ」
「大丈夫です、真宵。2人はお友達のような感じのようですから!期待をもつのですよ」
「だ、だから、何の!?」
何を思って言っているのか訳が分からず、テスタメントの励ましの言葉に困惑した。
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