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リアクション
<それで、貴様はわたしに秘匿通信をかけたと?>
通信の向こう、カーリー・レイブラッドの問に「そうです」と柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)が返事をした。和輝たちとは別の【装輪装甲車】の中で。
唯斗とレイラをある場所へと送った後、依頼の遂行具合の芳しくなさを考えると、依頼主である総統カーリーがあまりにも不憫に思えた。
作戦では裏切り者/その一人に与したとは伝えない/が出て、レイラ博士は第三の地に逃亡した。レイラの身柄に金をあてがうつもりだったテロリストが出た。商業都市の下、アンダーグラウンドで爆弾を製造した輩――つまり生駒、こちらもテロリストと言える――が出た。
はっきり言って、カーリーの契約者への心象はいいものではないだろう。冷静保っている冷たい声の奥に威圧を感じる。
そこで、恭也が下した決断は、今ある情報を持ってカーリーに取り繕うことだった。
与えた情報は以下――
裏切り者・テロリストの名前
ウサギの位置
ESC社が開発していた大型兵器(AN/P)の情報
そして、
「スティレットに関しては一番近い奴が処分に行っている。方法は別俺達に任せてもらっていいんだよな?」
<わたしに処分の仕方まで決めろと? 言ったはずだ『【ノース】にデータを渡すな』と。処分の方法は貴様らが考えろ>
処分の方法は元々不問だった。最初に挙げられた依頼内容は「脱走者の確保、特殊戦略兵器の回収。【ノース】への情報漏洩の阻止」全て失敗して「戦略兵器の処分」に変わったが「【ノース】への情報漏洩の阻止」は変わっていない。
「じゃあ好きにさせてもらうぜ。序に総統の狗になってやるぜ?」
<しっぽを振る狗はいらん。必要なのは死なない戦士だ>
「なら、バッチリだぜ? 死なないことなら右に出るものはいないぞ? あんたと同じで義腕に義眼なっても生きているからな」
<……重要な情報があれば随時渡せ、貴様が貴様らの裏切り者になりたいならな>
通信が切れる。
「この愚弟、最高に最悪だな」
柊 唯依(ひいらぎ・ゆい)が弟を罵倒する。
情報を渡しただけならまだいいかもしれない。ようは“仲間を売った”と同じだ。
「もしかしたら、ノース軍と一線交える事になる。交戦許可は貰ったか?」
「『貴様らが勝手にやっていることだなんぞしったことか』だとさ」
「責任丸投げってことか? てかそのための私らか。で、これからどうするんだ?」
装輪装甲車を走らせながら、恭也はどこに向かおうというのか。
「国境の街にいこうかと。このまま【ノース】にいるのは不味いしな」
「……結局のところプランなしかよ。この愚弟」
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