波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

リアクション公開中!

“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

リアクション

 数日後 某時刻 某所

 エッシェンバッハ派の秘密格納庫。
 そこにはシュバルツタイプのパイロット達が集まっていた。
 
「――ということです。各校の首脳が集まるこの状況で連中を叩き一網打尽にすれば、我々は九校連に大打撃を与えることができる」
 パイロット達に向けて語るスミス。
 彼に航が問いかける。
「随分と詳しいな?」
「こんなこともあろうかと迅竜の内部に協力者を作っておいたのです。その人物に教えてもらったんですよ」
「そうだったな。あんたの顔の広さは折り紙つきだ」
「それはどうも。当然ながら相手も最大限の力で防衛線を敷いてくるでしょう」
 スミスの言葉に、パイロット達は黙って聴き入る。
「この作戦が今後に与える影響は、今までの作戦と比して殊更大きい。まあ、皆さんなら既に承知とは思いますが」
 パイロット達は一斉に頷いた。
「では、出撃準備をお願いします。全機、修理も整備も完了しておりますので」
 三々五々、愛機へと向かっていくパイロット達。
 そんな中、スミスは来里人を呼び止めた。
「来里人くん」
「どうした?」
「貴方の機体ですが、今回の修理を期に改修を行い、新たな装備を用意しました」
「新たな装備だと?」
「ええ。今までに完成した六つの“ユーバツィア”。それらのデータを基に完成した七つ目の“ユーバツィア”です。あるいは最終決戦仕様、とでも言うべきでしょうか」
 語りながらスミスは目線でフェンスの向こうを示す。
 彼の目線を目で追う来里人が目の当たりにしたのは、妙な追加装甲を纏う愛機だった。
 
 戦闘スタイルが『個性』として見て取れる今までの“ユーバツィア”とは違い、そのディティールには特徴らしい特徴が見当たらない。
 深い光沢を放つ漆黒の装甲は機体にフィットするように取り付けられており、表面には武装どころか起伏の一つとしてない。
 あまりにも滑らかなその外装は、装甲というより、噴水のオブジェ表面を伝う水を思わせる。
 
「これが七つ目の“ユーバツィア”」
「はい。従来の六つを超える――いわば、“ユーバツィア”という装備における一つの完成形です」
 
【第七話】出会いも戦場、別れも戦場 完
 To be continued.