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リアクション
ところ変わって空京スタジアム。
2020年に開催された、ろくりんピックの競技、ドッジボールの舞台である。
「あの時は、皆で連携プレーしたのが楽しかったな。
もう一度やってみたいけど、今の皆の能力だと、
ドッジボールでも地形が変わっちゃうよね。
全員が種もみ剣士になってプレイするとか制限を設ければ大丈夫かな」
「詩穂、それだと、金色の稲穂で
大地が埋め尽くされてしまうんじゃないですか?」
試合を懐かしむ詩穂に、アイシャがツッコミを入れていると。
「あら、ちょうどよかったワ!
この空京スタジアム、愛称「2020ろくりんスタジアム」で、
ぜひアイシャを招待してまわりたかったのヨ!」
ろくりんくんこと、キャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)が、
走ってきて、アイシャの手をがしっとつかむ。
「2020年の大会は、
女王アムリアナ・シュヴァーラが国家神として復活したのを記念して
大々的に行なわれたのヨ。
当時の蒼学の校長が過労で倒れたけど盛況だったワヨ。
ところで、次の大会に向けて準備しなきゃいけないワネ。
それには、アイシャの協力が不可欠なのヨ!」
「あの、私にはろくりんピックには権限はありませんが……」
「そんなことないワヨ!
テレビで一緒に紹介してもらうことが大事なのヨ!」
「は、はあ……」
キャンディスに圧倒されているアイシャだったが。
そこに、変熊 仮面(へんくま・かめん)がまたも乱入してくる。
「古来、こうした競技は全裸で行うと相場が決まっているのだ!
俺様の肉体美を見ろ!」
そこに、詩穂が全力のドッジボールを投げつけ、変熊をぶっ飛ばす。
「ぐはっ!?
さすが、超コントラクター級ドッジボールの技!
だが、この程度ではまだまだ!」
「って、1回じゃアウトにならないなんてさすが変熊さん。
でも、存在そのものがアウトだよ!」
詩穂がボールを投げまくり、変熊を撃退する。
「じゃ、行きマショ」
「あ、あの……!?」
アイシャの顔に「助けて」と書いてあったが、
その隙にキャンディスが連れて行ってしまうのだった。
キャンディスとアイシャは
2022年冬季ろくりんピックの会場にやってきていた。
「当時東西に分かれていたシャンバラ王国も統一を果たし、
エリュシオン帝国との協力のもとに、地球ともパラミタとも全く異なる新たな世界、
『ニルヴァーナ』を目指したのネ。
この激動の時代に、シャンバラ王国内での結束を一層強める意味も含めて、
スポーツの祭典『冬季ろくりんピック』が開催される運びになったワケネ。
この時も、ミーは運営、審判、解説と大忙しだったノヨ」
キャンディスが真面目な表情で、過去の活動を振り返る。
すると、今度は、変熊が、マフラーをなびかせて、スキーで滑ってくる。
「この赤いマフラーを見ろ!
俺様こそが冬季ろくりんピックマスコットにふさわし……ぎゃーーーーーーーーーっ!」
変熊は、そのまま、崖を滑り落ちていった。
「さ、次行きマショ。
若干、時間押してるみたいダカラ」
「は、はあ……」
何事もなかったかのように言うキャンディスに
圧倒されるアイシャだった。
そして、アイシャがキャンディスに連れてこられたのは。
「2024年夏季ろくりんピック シンクロナイズドスイミング競技場ヨ!」
「ここ、若葉分校のプールじゃないんですか?」
「ええ、もともとはそうだったのヨ。
イングリット・ネルソン、
アレナ・ミセファヌス他、
たくさんの娘が選手として協力してくれると言ったのヨ。
ミーの人望のなせるわざネ」
「みなさん、本当にそんなこと言っていたんですか?」
人を疑うということを知らないアイシャだが、
さすがにこれまでの流れからも不安になってきているらしい。
「もちろんヨ!
だから、アイシャも、協力して!
選手として出てもらうのも大歓迎ヨ!
今後のろくりんピックはアイシャにかかってるワ!」
そこに、変熊がすごくいい笑顔でプールから出てくる。
「はははははは! 俺様を見ろ!
この美しい俺様こそ、シンクロ選手にふさわしい!」
「お、重いにゃ、ししょー」
変熊は、にゃんくまにささえられていたが、にゃんくまの腕はプルプル震えている。
「げ、げんかいだにゃ……」
「ぬなっ!? うごあーーーーーーーーーーーーーっ!?」
盛大な水音とともに、思いっきり全身を打ち付けた変熊が、
力なくプールに浮かんだ。
「……と、このように、
ろくりんピックはみんなの夢を乗せたイベント!
今後もよろしくネ!」
「えっと、よ、よろしくお願いします?」
キャンディスに言われ、流れで頭を下げるアイシャだった。
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