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砂上楼閣 第二部 【後編】

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砂上楼閣 第二部 【後編】

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一行が、館から撤収しようとしたとき、周囲から火の手が上がる。
仁藤 輪子(にとう・りんこ)と、
イルミース・アンダーワン(いるみーす・あんだーわん)が、
鏖殺寺院とつながろうとしていた事実を消すために、
屋敷に火を放ったのだった。
(この状況は私達に取って不味い。
 アーダルヴェルト卿の事は未だしも、
 私達は寺院にもパイプを作ろうとして居ましたから……。
 で、ですから……最低でも……ジャルディニエに生きていられると困ります。
 できれば彼の私物も全て無くなる事が望ましい、
 何処から私達に繋がるか分かりません。
 万一の用心を。
 ……アーダルヴェルト卿も死んで下さいますとさい、最良ですけど。
 あれだけの数の契約者が動いてる……今、それは難しいでしょう。
 あわよくば程度で……)
「手札整理の判断は早い方が良い。焼き消してしまえ」
輪子とイルミースは、
イルミースのトラッパー、破壊工作、火術を用い、
火薬を設置して火を放ったのだった。
火薬の量は少量でも、輪子の予想通り、古い別荘はよく燃えた。
 
 
 
レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)と、
織田 信長(おだ・のぶなが)は、燃え盛る屋敷の中で対峙していた。
「お初に、お目にかかる。第六天魔衆盟主、織田信長」
レオンハルトは、お互いの因縁に決着をつける好機と名乗りを上げる。
「教導の獅子レオンハルト・ルーヴェンドルフ。
外務大臣襲撃の実行犯として貴君を拘束させて貰う」
「わしを陥れようと火を放った……あるいは第三者の仕業かもしれないが、
 もはや、どちらでもよいだろう」
レオンハルトと信長は武器を構え、相手を見据える。
先に動いたのはレオンハルトだった。
いずれも光条兵器の、刃渡り1メートル程の片手半剣を右手に持ち、攻撃に、
左手の刃渡り30センチ程の短剣を、守りに使用する。
「伊達の二刀流か。
 しょせんおぬしは張子の獅子よ!」
実力的には、レオンハルトの方が若干上であったが、
両手に武器を持ったために隙が生じたのを、信長が見逃すはずもなかった。
試作型星槍と光条兵器が交錯し、
二人は同時に倒れる。

「レオ君っ!?」
「……ダブルKOなら勝ちに含めていいですよね」

「ヒャッハー!
 とっとと逃げねえと燃えちまうぜェ!」
「ドルンドルンドルルルルルン」
ルイン・ティルナノーグ(るいん・てぃるなのーぐ)シルヴァ・アンスウェラー(しるば・あんすうぇらー)
南 鮪(みなみ・まぐろ)ハーリー・デビットソン(はーりー・でびっとそん)は、
それぞれレオンハルトと信長を連れて逃げる。
 
 
 
燃える屋敷から一行が脱出したときには、
すでに輪子とイルミースは逃走した後であった。

屋敷は崩壊してしまったが、全員が無事だった。