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海に潜むは亡国の艦 ~大界征くは幻の艦~(第1回/全3回)

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海に潜むは亡国の艦 ~大界征くは幻の艦~(第1回/全3回)
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リアクション

 

ゲートの先へ

 
 
「どうやら、敵の親玉はすでにニルヴァーナへと逃げてしまっていたようだな」
 土佐の第一艦橋に戻ってきた湊川亮一が、窓から外の様子を見ながら行った。
 戦闘終了と共に、待ち構えていたかのように恐竜騎士団がやってきて、いろいろと後始末を仕切り始めている。
 捕虜や、破壊した敵の残骸などは、すべて恐竜騎士団が確保していた。もともとがエリュシオンの賊と言うことで、その所有物はエリュシオンに帰属するという主張で、すべてを本国に輸送するようだ。おそらくは、機密保持などの問題や、敵の情報の独占が目的なのだろう。
 敵の艦を報酬として手に入れられると思っていたフラン・ロレーヌや、アーテル・フィーニクスを鹵獲して調査してみたいと思っていたイーリャ・アカーシなどは、恐竜騎士団に出し抜かれてしまった形だ。
 立場上、恐竜騎士団の主張は建前としてはもっともであり、ここで小競り合いを起こしても問題をややこしくするだけであった。
「この後、ニルヴァーナへ、敵を追いかけていくのですか? でも、この土佐は、ゲートをくぐれるのでしょうか?」
 高嶋梓が、湊川亮一に聞いた。
 土佐もそうだが、H艦隊の艦船は機動要塞をベースとしているため、厳密には艦船ではない。大きすぎて、ゴアドー島のゲートはそのままではとても通りそうもなかった。
「ああ。それなら、できないこともない。土佐の左右にあるイコンデッキ部分は、分離可能になっているからな。本来は、被弾時の誘爆を防ぐ緊急装置だが。左右のブロックを取り外せば、全幅は50メートルほど、艦の高さはそれよりあるとは言え、ゲートに引っ掛かるほどではないだろう。もっとも、切り離した船体を再び接続するのは、専用のドックで丸一日はかかるだろうがな」
「それで、ニルヴァーナへは行くのですか?」
 高嶋梓が湊川亮一に訊ねた。
 
    ★    ★    ★
 
「落ちているものはすべて、破片一つといえども回収しろとの御命令だ。後が怖いからな、確実に実行しろよ。恐竜騎士団の輸送用大型飛空艇で、直接エリュシオン帝国の研究施設に運ぶ」
 恐竜要塞グリムロックの中で、ジャジラッド・ボゴルが、如月和馬らに本国からの命令を徹底させていた。逆らったら、後で創龍のアーグラや、ラミナ・クロス団長からどんな目に遭わされるかしれたものではない。
 
    ★    ★    ★
 
「負傷者リストです。幸いなことに、死亡者は確認されてはいません」
 トマス・ファーニナルが、ミカエラ・ウォーレンシュタットの纏めた報告書をホレーショ・ネルソンに手渡した。
「人的損害は、修理できるというものではないからな。これも、医療班のおかげと考える。御苦労であった」
 ホレーショ・ネルソンが、そうトマス・ファーニナルたちをねぎらった。
 
    ★    ★    ★
 
「敵の旗艦とやらを俺が沈めたんだ。報酬をくれ!」
 フリングホルニの第二艦橋にやってきた国頭武尊が、エステル・シャンフロウにむかって言った。
 戦いは終結したが、いろいろと謎が残った。手のすいた主だった者たちは第二艦橋に集まって、状況分析の真っ最中であった。
「と言うことなので、約束通り、あなたが払ってあげてください。無償の資金援助、感謝しますよ」
 グレン・ドミトリーが、あっさりと国頭武尊をリリ・スノーウォーカーに押しつけた。
「ゴアドー島やイルミンスールからの情報を纏めますと、敵はすでにニルヴァーナへ渡った可能性が高いと言うことです」
 逐次入ってきていた情報を纏めて、リカイン・フェルマータが報告した。
「やはり、本命はゴアドー島のゲートだったのね」
 そうじゃないかと思っていたと、ヘイリー・ウェイクが行った。
「しかし、陽動にしては、敵の動きは不自然すぎましたね。こちらはこちらで、宇宙港の攻撃が目的のような行動をしていましたが」
 敵の思惑を推し量るように、グレン・ドミトリーが言った。
「むしろ、我々と戦うこと自体が目的の一つのようにも感じたが。ソルビトールの奴は、いい口実に使われただけだったのかもしれないな」
 結局、首謀者であると目されたソルビトール・シャンフロウはスキッドブラッドに乗ってさえいなかったわけだ。
「いずれにしても、手駒を失ったソルビトールに、もう打つ手はないでしょう。もっとも、ニルヴァーナに強力な援軍がいるのであれば話は別ですが。しかし、ソルビトールにそこまでの力があるとは思えないのですが……」
「とはいえ、今回も、これだけの戦力を持ち出してきているんだ。侮ることはできんな」
 グレン・ドミトリーとデュランドール・ロンバスが、今後について話し合う。
「それで、ニルヴァーナへは行くのか?」
 話を聞いていた御凪真人が、核心を突いた。
「もちろん、あの男を放っておくわけにはまいりません。どんな思惑があるにしろ、それを防いで報いを受けさせなくては」
 きっぱりと、エステル・シャンフロウが決断した。
「フリングホルニは、これよりゴアドー島のゲートにむかい、ヴィムクティ回廊を通ってニルヴァーナへとまいります!」
 

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 
 お待たせしました。キャンペーン第一回のリアクションです。
 予想以上に濃くなってしまったので、ちょっと時間がかかってしまいました。その分、ほとんどのキャラは、登場してからはほぼ出ずっぱりです。
 あちこちでキャラが顔を出していますので、大変でしょうが頑張って読んでくださいませ。ほぼ文庫1冊分あります。
 まだ最初ですので、ほとんどの謎は未解決ですが、ヒントはそこら中に鏤められていますので、細部まで目を通すと、いろいろと発見があるかもしれません。
 
 ゲームとしての結果は、集結時に意思統一のために思ったよりも手間取ってしまって、やや進行が遅くなったのと。途中でのフリングホルニ艦内での事件のために敵に一端制空権を取られたために、迎撃に手間取ったことで、宇宙港の一部が破壊される結果になっています。そのため、マスドライバーは修復を余儀なくされたので、大型飛空艇を月に打ちあげることは不可能のままになりました。
 パラミタ内海で敵機動要塞が目撃されていますので、まだ敵には戦力が残っていると推測されていますが、スキッドブラッドを中心とした2個艦隊は壊滅しています。
 ゴアドー島のゲートは無傷ですが、何かのデータを持ち去られた形跡があります。ソルビトールは、ゴアドー島のゲートからニルヴァーナに渡り、潜伏しました。これらの発覚は早かったため、足取りは追いやすくなっています。
 
 第二回は、ソルビトールを追ってニルヴァーナの古代遺跡へと赴くことになります。
 リアクションでゲートの大きさは詳しく説明されていますが、直径100メートルのリングを抜けられない物体は通れないことになります。
 大型飛空艇や機動要塞、特に機動要塞でこれに引っ掛かる場合は、ニルヴァーナへは持って行けませんので気をつけてください。ただし、第二回では、艦船の活躍の場はありません。イコンは使えます。その代わり、第二回でニルヴァーナに移動したということにしておかないと、第三回で使えないことになります。
 第三回では、艦船がメインで、イコンは著しく使用制限を受けますので、艦船やイコンをパラミタにおくのかニルヴァーナにおくのかはもの凄く大きな問題になりますので、よく考えて配置してくださいませ。