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【蒼空に架ける橋】第2話の裏 幕開けのエクソダス

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【蒼空に架ける橋】第2話の裏 幕開けのエクソダス

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第三章 藪蛇ってレベルじゃねーぞ

――倉庫で手に入れた物を手に、ヴァンビーノは武器庫へ向かっていた。
 辺りを伺いながら、ヴァンビーノは進む。何人も捕縛者が出てしまい傭兵達の警戒が強まっていたが、ここまでは【隠れ身】と【レビテート】を使い、見つからずに来る事が出来た。
「……ベネ(よし)、ここまでは順調だ」
 ヴァンビーノが一人呟く。

 彼の目的地は武器庫であるが、武器が目的ではない。陽動狙いの行動である。倉庫で手に入れたメモ帳、工具、ライターはその為の物だ。
 メモ帳は確かにメモをする為にもヴァンビーノが欲しい物であったが、燃やすという目的――武器庫で火を起こし、注意を引くという目的の為に必要な物であった。
 武器庫は火気厳禁。火災探知機等が備えてあるに違いない。そんな場所で火が起きたとなると、傭兵達は無視することはできない。
 更に工具を使って扉を開ける事が出来なくすれば時間を稼ぐことができる。
 そう考え、行動を起こしていたのである。
 確かに、実際そのような事が起これば傭兵達は無視できない。ある程度の人数を武器庫へ回さなくてはならなくなるだろう。

――だが、結果から言うとヴァンビーノの策は失敗に終わる。

「……ここ、だよな? どういうことだ……!?」
 聞いていた武器庫の場所――いや、武器庫であった場所というべき前で、ヴァンビーノは足を止め愕然とする。

――扉があるはずの場所には、残骸が散らばっていた。ぽっかりと開いた元入り口から見える中は、所々から煙が上がっており焦げ臭く、悲惨な状態だ。
 武器庫は爆破されていたのであった。少し前に訪れていた恭也が仕掛けた爆薬によって。
「何て事だ……一体誰がこんなことを!」
 自分が似た様な事をしようとしていたというのに悔しそうにヴァンビーノが呟く。
「そうだ、この事をメモに記さなければ」
 そしてネタになると思いメモを取出し、ペンを走らせる。その時であった。
「使える物は何もないわ……一体誰がこんなことを……」
「恐らく脱獄した奴らの仕業ね、さっき通信で言ってたでしょう?」
中から、二人の傭兵が出てきた。恐らく様子を見に来たのだろう。
 さて、ヴァンビーノは現在武器庫であった場所でメモを取っている。そして傭兵達は武器庫であった場所から出てきた。鉢合わせである。
 ヴァンビーノと傭兵達の視線が絡まり、一瞬時が止まった。
 ほんの一瞬であったが、まるで数分にも数時間にも感じる停止。先に動いたのは、
「逃げるんだよォォォーッ!」
ヴァンビーノであった。メモとペンを握りしめたまま、そのまま踵を返し走り出す。
「「逃がすかぁッ!」」
 一瞬遅れたものの、傭兵達も早かった。即座に持っていた銃口をヴァンビーノに定め、引き金を引く。
 電撃を帯びた弾丸は外れることなくヴァンビーノに辺り、その体の機能を止める。大きく体をのけ反らせ、倒れ込んだヴァンビーノは動かなくなった。
 傭兵達は銃口をヴァンビーノに向けたまま近づき、軽くその身体を突き反応がない事を確かめる。
「……ん? こいつ、何か握ってる?」
「何かしら……メモ帳と、ペン?」
 傭兵達はヴァンビーノが固くメモ帳とペンを握りしめている事に気付いたが、それが漫画のネタをメモする為の物だという事は解るわけも無かった。